第8話

「残ってるのこれで全部?」

「はい。そうです!」

突然の出来事から小一時間たった頃。

大きく伸びをしている佐藤さんの

間延びした声が聞こえた。


彼は雪崩を起こした書類を

適当に自席に持っていくと

テキパキとそれらの書類を片付けてしまった。

わたしもこれ以上足を引っ張らないためにも

とりあえず、先ほどの出来事はなかったことにして

目の前の書類に集中した結果。

それほど遅くなることなく

仕事を終えることが出来た。


「佐藤さん。すいませんでした。

手伝っていただいてありがとうございました。」

「気にしないで。

それより、場所知ってる?飲み会の」

「あ。はい!」

「じゃあ。案内して?」


なかったことにしていた

動揺は、すぐにわたしを支配し始めていた。





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