第4話
「佐藤さん。これ届いてました。」
「あ。ども。」
たった一言。
1日同じ職場で働いても
話せるのは一度あるかないか。
近くて遠い距離。
いや。近くて遠い距離は
職場だけの話ではないのか。
彼の左手の薬指には
しっかりと指輪がされている。
見せつけるわけでもなく
ただただ、当たり前に指輪はそこにある。
わたしと彼の間には
見えない壁があるのだ。
わたしはぽちにこれ以上、近づけない。
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