第24話 オーブ奪取阻止



「アタシ達の方が向こうより先に辿り着けるようかっとばすわよー!」


「ハイっ!」


 部屋にたどり着くと台座の上に乗せられたオーブがキラキラと輝いていた。オーブって思ってたよりもデカいし意外にも重そうね。


「コレがオーブ…おっきいーっ!」


 — ミシッ —

 アタシとメアリー以外にも足音がする……という事はいるわね例の女が。何か特殊な能力スキルでもあるのかしら? コチラが透明化していてもちゃんとついて来るのね。


「メアリーちゃんどうやらすでにいるみたいよ」


「えっ…まさか例の?」


「気を付けて!もしかしたら目の前にいるのかもしれないわよ」


「じゃ先生!こんなのはどうですか?挑発プロヴォケーション


 メアリーの能力スキルにより不可視化の魔法がかき消され、彼女は姿を晒され動揺している。

 ……まぁついでにアタシの透明化インヴィジブルも消されちゃったけどね。


「む…無効化スキル? ウソでしょ! 見えてるって事はアタシの不可視化魔法がかき消されちゃったって事? 」


 まさかの新能力ニュースキル? 剣も魔法もダメなメアリーがこんな能力まで使えるようになるなんてねぇ一体誰が想像出来たのかしら


 その時、灯台にある鐘がカンカンとけたたましく鳴りだした。


「あらあら大変よーっ? 魔物供が町の中に入り込んじゃったみたいねぇ。ホラホラはやく助けに行かなきゃ今アタシにかまっている余裕なんて無いんじゃなーい?フフフフっ」


 どういう事?じゃあミンジュン達が戦っているのはおとりだったって事??


「それに反対側からアタシが差し向けた盗賊達ももうじきやってくるだろうしこの町はもう終わりよフフっ氷結弾魔法フリーズブリッド


 彼女が不意に唱えた氷結魔法を左右に素早くかわしたメアリーとアタシだがその隙にすでに他の魔法をかけられていた。コイツ攻撃の隙がないわねーっ……

 まるでRPGゲームとかに登場する連続攻撃が出来るモンスターみたい?



 な…何よコレ地面から起き上がれないじゃないの

 メアリーもうつ伏せになり脇を閉め顎を引いた状態で地面にへばりついたまま苦しんでいる。

 あぁっ急所を守ろうとして偶然、亀のような形になっちゃったのか、でもアタシよりはまだマシよアタシなんかまるでまな板の上に載せられ、じっと料理されるのを待つしかない運命におかれた魚みたいな状態なんだけどね。………それにしてもこの状況はマズイわね


「フフっ、アタシの重力魔法グラビデイはどうかしら。もう何もできないでしょう」


「ううっ……先生……」


 メアリーちゃん、まだもうちょっとだけ辛抱していてよー

 まだどこかにチャンスがあるハズ……

 今この目の前にいる女をヒイヒイ言わせるための

 起死回生の一手が……


「はいっこれでお終いよ燃やし尽くしてやるわ! 炎よ、我が敵を射抜く槍となれ、炎槍魔法フレアランス



 ルビアナの放った炎の槍はメアリーに当たって燃え出したが彼女の持つ能力スキル「炎耐性Lv3」によってほとんど無効化していたのだ。燃え出してから1分…2分と時間が経つがメアリーにダメージは全く無い。


「消し炭になるまで燃えてなさいハハハハーッて

アレ?……何よコレ?…おかしいわね?……何でいつまでも燃え続けてるの??」



《 必要条件が揃った事によりレア能力スキル炎纏ホノオマトイ』を獲得……を確認しました 》


 ハァ?嘘でしょこんな時にこの娘は

 バカと天才は紙一重っていうけど彼女こそまさに状況次第でそのどちらにも当てはまる存在ね

 それにしても必要条件って何なのかしら?


 鑑定してみると【火事や火炎等で何度も焼き尽くされるような目に合う】ですってー うわぁまさに彼女のために存在するような能力スキルね。


「ならとっておきの魔法を最後に見せてあげるわフフっアンタ達も今度こそおしまいよ」


 いやいやそんな暇与えないわよ。だってアタシたった今面白い必殺技を思いついたのよ。

 行けGOメアリー!


 念力サイコキネシスで燃えているメアリーをそのままルビアナに向けて飛ばした。


「な…あっちいぃいーっ!」


「さぁメアリーちゃん!アナタの出番が来るわよ」


 メアリーの纏う炎を受けダメージを負ったと同時に重力魔法が解除された瞬間、メアリーはすぐに立ち上がり、炎を纏ったまま思いっきり踏み込んで後退しだしたルビアナの所へ間合いを詰め、上段突きを腹部に叩き込んだ。


「ガハっ!」


 たまらず体をくの字に曲げるルビアナの顔面に裏拳が飛んで来た。さらに——1発、2発と殴り続ける。そしてとどめの一撃———


「硬化拳はぁぁーっ!」


「あぼあぁぁっ……チグショウー今回はオーブを諦めるがまた奪いに行くからな! 次は覚えてろよっ!転移魔法ワープ


 アラ、転移魔法でアイツ逃げちゃったのね。根性ないなぁ! もう少し諦めない気持ち持った方がいいんじゃないかしら……でも何とかオーブを守れたわ


「先生、大丈夫ですか?」


 満身創痍のメアリーが駆け寄って来た。


「アタシは自動回復があるからまだ何とかね。

 それよりメアリーちゃんの方はどうなの焼けたハンバーグみたいになってたけど」


「ハンバーグいいですね。私もうお腹空きましたよ。今晩はご馳走に期待したいですねエヘへ」


 そこへ棒を構えたシスター達が必死の形相でアタシ達の所へ走って来た。大きな物音がしたので魔物に侵入されたのかと不安になって恐る恐るここまで来たんだとか———

 彼女達の話によると町中では魔物が暴れているらしくこの建物もすでに入り口を厳重に封鎖して奥の礼拝堂へと避難しているらしい


「では先生、私達でその魔物供を倒しに行きましょうよ!」


「ハァっ! もうしょうがないわねーっ、んじゃさっさと済ませて店に帰るわよ。」


 今から外で暴れている魔物供をやっつけに行く事を伝えるとシスター達は回復薬ポーションを5本譲ってくれ、塔の上まで案内してくれるそうなので面倒くさいけど上まで登る事にした。

 ちょっと現在の状況が気になったので探知ディテクションで辺りを調べてみると外の魔物の大群の反応が無くなっていた。

 という事はミンジュン達の方はどうやらうまくいったようね。


 そして裏山の方でもすでに敵の反応がないわね?

 誰かが盗賊達を上手く撃退してくれたみたい

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