第36話 空飛ぶ山賊達?

 ネロ達が召喚してくれた骸骨スケルトン達が不眠不休でガンガン働いてくれるおかげでカルロー村は随分と村っぽくなって来たわね。

 そのおかげでアタシ達はすでにネロの屋敷に引越ししたしね〜

 もうすでにネロの屋敷の周りには数軒の建物が並び、道路はちゃんと石畳みで舗装していった。

 さらにミンジュンの店とをすぐ行き来できるようにとネロが転移魔法陣を設置してくれたおかげでいつでもミンジュンの店へと行けるようになったのでさっそく利用してみた。


 お昼の休憩時間、ミンジュンの店でメアリーとのんびりお茶していると突然、魔物の子供達が寝ている部屋の方からガシャッと大きな音が聞こえた。


「えっ!何ですか今の音は?」


「奥から聞こえたわね?」


 メアリーは足音を立たずに奥の部屋へとそーっと近づいて行く……なるほどこの娘はこんな事も覚えていたんだ。


念力サイコキネシス


 アタシは念力で強引に扉を開けたが窓が開けっ放しになっており既に部屋には誰もいない。

 よしっ、コレはおそらくまだそんなに遠くへは行ってないハズ?

 アタシは念力サイコキネシスでヒョイとメアリーを背中に乗せ、窓から外へと飛び出すと前方に建物の屋根から屋根へと飛び移る連中がいた。

 まさかお昼間に堂々と忍び込んでくるなんてね


「先生、あの人達ですかね?」


「ええそうね。魔物の子を担いで屋根の上を走っているなんて只者じゃなさそうね」


「では私達で捕まえて領主様に差し出してやりましょう!」


 アラ、随分と勇ましくなったわね〜

 もちろんコチラは透明化しているので向こうは後ろに気づいていないみたい、彼等の行動を見ているとなるほど面白いわね、奴ら鉤縄のような物を使って屋根から屋根へと移動しているわけね。


 そして、

 奴らを追跡すること数分後に裏山の奥で山賊達は立ち止まると首にかけている笛を吹いた。森の中からゾロゾロと他の山賊達が姿を現した。皆なんか目つきが悪くふてぶてしい感じがするわね〜 特に立派なお腹と顎髭を生やしたオールバックのオッさんが随分と偉そうね


「オイコラぁ随分と遅かったじゃねぇかあぁん!」


「ああジーノさん、ホラっちゃんと魔物のガキ2匹連れて来ましたから」


 アラっやっぱりこのジーノって顎髭のオッさんはこの中ではリーダー格なのね


「先生、あの人達に照明魔法をかけるのでもう少し近づいてもらえますか」


「えっええもちろんいいわよ」


 アラ〜そうか目眩しに使おうって事なのかしら?

 アタシは思いっきり飛ばして奴等のすぐ後ろに付くとメアリーはスッと手を挙げた。


「じゃ先生いきますよ! 挑発プロヴォケーション

 メアリー能力スキル『挑発』によって山賊達は自分達の意思とは関係無く強制的に振り向かされる。


「何も無いのになぜか後ろが気になっちまう」


「どうなってるんだ一体……」


「うわぁ何だ首が勝手に動くぅぅ?」


 中には後を向いていたがスキルの力で首を強引に曲げられた者もいた。


照明魔法マジックライト


 ピカッとメアリーの掌から光る玉が出現した。


「うわぁ眩しいぃぃっ!」


 山賊達はたまらず持っていた魔物の子供達を落として両眼を塞いだ。


 はーいそれじゃあ魔物の子供達は念力サイコキネシスで回収しま〜す♪


 とその前に彼等にはちょっと子供の頃に思い描いたであろう夢を叶えてあげましょうかしらね〜っ!


 アタシ達は透明化を解いて山賊達の目の前に姿を見せた。


「ジーノさん、き……急に子供と魔物が目の前に現れやがったさっきのおかしな術はコイツらの仕業かよ?」


「ハアァァン何だテメェらは? 拐っている所を見られちまったからには生かしちゃおけねえわなぁ

 オイやるぞオマエら!」


「「ウイィッス!」」


 アラっなかなか元気ハツラツねえ

 でもそれがいつまで続くかしら?


「先生、行きますよ!」


 かかってきた山賊達を迎え討つようにメアリーは剣を振り上げた男の間合いに素早く入ると男は剣を振り下ろして来たのでその力を上手く利用してその男を他の山賊に向けて投げた。


「おう、やるじゃねえかこの小便臭そうなガキ

 オマエ何者だ?」


 ジーノがメアリーに向かって黄色い布袋を投げつけた。


「うっ何これ目が開けられない」


「どうだ! 急性の幻覚作用のある山の幸をたっぷり混ぜたコイツの味はヘヘッ

 コレでオマエはもう目が開けられまい。これが俺たち山賊の戦いだぜ」


 バチン!

 ジーノは太いこんぼうで思いっきり助走をつけてメアリーを叩きつけた。


「うがぁっ!」


 メアリーはジーノの攻撃をまともに受けてしまい、

 山の斜面をゴロゴロと転がり落ちて行った。


「オイお前ちょっとついて来い。あのガキ生きていたら素っ裸にして身柄さらっちまおうぜ!」



 ジーノは目の前にいた部下を連れて山の斜面を下ろうとしたその時、体がまるで金縛りにでもあったかのようにピタリと動かなくなってしまった。


「ねえ、ちょっとアンタ達! あの子を素っ裸にして身柄をさらうですってぇぇ……」


 ジーノ達だけではなくその場にいた山賊全員が

 1ミリたりとも動く事が出来ずにいた。


「何だって……んだこりゃ? カラ……ダが動か…ねえ」


「あげるわ!」


 ピシッと山賊達は自分の意思とは別の力で気をつけの姿勢 を取らされた。


「うわっ?何だよーっどうなってるんだおれの体が勝手に動くぞ?」


 スパッ!スパッ!と念力サイコキネシスで山賊達の服を全て脱がしてやったわ。


「さぁさぁアンタ達、お待ちかねのチンコプターの刑よ〜♪さぁみんなでお空へピューン♪」


「ちょっこんな姿……だ…誰か助けてくれえぇぇっ!」


 山賊達は自力で領主の所までブルンブルンと飛んで行きました。めでたしめでたしってね〜

 メアリーが目を擦りながら自力で戻って来た。




「せ…先生、あの人達はなんでいきなり裸になっているんですか?」


「メアリーちゃんは小さい頃に青空を飛べたらいいなぁって思わなかったかしら?

 彼らのその夢を今アタシが叶えてあげたのよ

 ウフフフ♪」



 

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