第6話 水竜ふたたび
す…数値がものすごく上昇してる……もしかして名前とともに生前の騎士だった頃の記憶も思い出したのかしらね?
海猿が距離をとり出しアーヴァインを睨みつける
本来の力を取り戻した彼の前に歯が立たないという事を悟って悔しがってんのかな?
あたりをキョロキョロと見回し口笛を吹くと先程の仲間達が駆けつけて来た。海猿3匹にマーマンが6匹ってコレはちょっと数多くねぇか?
それにしても海の底にいるのに口笛って……
でも正直言ってピンチよね今の状況は
ステータスを見る限り海猿よりもアーヴァインの方が間違いなく強い、でもこの数だとどうかしら?
アタシ達すでに囲まれてるし。
突然。紫色の霧が立ち込めて来た。コレってまさか……この状況でまたアイツが来るの?
霧の中からあの水竜が現れ、海猿やマーマン供はアタシ達の方に気を取られて反応が遅れたのかなす術なく食い荒らされ、わずかに生き残った奴らは必死で泳ぎ、この場を離れようとしている。奴らがいなくなると水竜は口を大きく開きながら勢いよくこちらに向かって来る。しかしアーヴァインが前に出て剣と盾で水竜の噛みつきを受け止める 。
おおぉぉっナイスよアーヴァイン!! でもこのままではアタシ達がコイツに食われるのも時間の問題
何か……何か……何か良い手はないのかしら??
丁度目の前に頭部を食い荒らされた海猿が横たわっている。確かコイツさっきアタシに発火能力使った奴よね?
胴体が残っているって事は魔石の方は無事なのかな?
よし、頂いちゃいましょ!
海猿の体の中にある魔石をとり出して吸収する。
《魔石を吸収した事により新たな能力『
』を獲得・・・を確認しました》
(ちょっと大変かもだけどそのまま押さえといてくれる? アタシちょっとコイツの口の中に入って来るわ)
(く…口の中に入るだと?……一体何をするつもりか知らんが長くは持たんぞ…… )
目の前にある大きな石の上に乗り、
横たわっている甲殻類の死骸が胃酸でドロドロと溶かされて行く様を見てちょっと引いてしまった。
うぎゃあぁぁ! 足下がネチョネチョで気持ち悪いわね。原型とどめてないので蟹だか海老だか分からないけど硬い皮膚が胃酸でブヨブヨになっちゃってるし……でもコレは足が無くて正解だわ。もし人間の体でここに入ったら足の裏からジワジワと溶けていっちゃうわね。さてと覚えたての
アタシの能力でボアァァっと辺り一面が燃え盛る。
おおぉぉっ水竜の奴、身体の内側から燃やされてその激痛に耐え切れず激しく体を揺すったりして暴れ回り出したわね。
いいわね〜もっと悶え苦しみなさいよ♪
(オイっ貴様まだか……流石にそろそろ限界だぞ)
(もうちょいーっ! 3…2…1…オッケーよ)
ザヴアァァッ!!
アーヴァインは勢いよく水竜の口から出て来たアタシをしばらく見つめている。
水竜はしばらくバタバタしていたがやがて動きが止まり生き絶えた。
コイツ……あの海猿の血の匂いを嗅ぎ分けて来たのかしらねーだとしたらとんでもない嗅覚ね!って事は今までずっと近くにいたって事なのかしら
そういえば残りの生き残った海猿供はもう逃げ帰っちゃったのかな?
(さっきの海猿供はいつのまにやらいなくなっちゃったのね)
(うむ、奴等この水竜が現れ仲間の頭が喰われた途端に逃げてしまいおった。仲間の仇を取ろうとは思わんのか?……うーむっ!!……それにしても全く!! 貴様という奴はまさか体の内側に入って燃やしてしまうとはな…… )
(別に……それくらいしか可能性なかったじゃないのよ。)
(では我はヴァールシュタット王国に帰るとする。たとえ10年いや20年時が経とうとも我が心はヴァールシュタット王国と共にあるのでな!)
(マジで!アンタその顔で帰るつもりなの?)
(当然だ!きっと妻も我の事を話せば理解してくれる。しかし何故我の名前を知っていた?まさか貴様は敵国であるエッフェンタール公国が放った間者か何かではあるまいな?)
( ハア? 違うわよ
(そうであったのか。それならば良いぞ!
うむ………では我はこれにてここを立ち去るとするか。貴様のおかげでこの記憶を取り戻す事が出来たのでこの借りはいずれまた会った時にでも返そうぞ!
……ではさらばだ。)
(ハイハイじゃーねー!)
アーヴァインはあっさりと去って行った。
さてさてアタシはこれからどうしようかしらねー 魚だから陸に上がることは出来ないし
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