第7話 神様の目的とお魚の目標?



 - 異世界転生して数日後 -


 海獣ひしめく深海でヤツらの核である魔石を吸収したらスキルを入手しまくり〜っ!?これは楽しくなってきたわ。オーホホホッ!あなた達の能力スキル沢山いただくわよ〜っ!!


 おかげで能力がかなり向上したわ!


 海の魔物との連戦で流石に疲れてきたのか深海の底で急に眠くなり、どんなヤツにも接近されないよう岩場のなかに入り込んで眠りに入る。


 意識の中にポツンと小さな光が差し込み、それが強く輝き出し勢いよく広がった瞬間


 気付いたら、空がしばらく見入ってしまうほどの凄まじい夕焼けのように赤くなぜか何もない所で雲の上に浮いている?

 えっ?なんで浮いてるのかしら?


 何で雲の上…? まさか眠っている間に何者かに襲われて…? いやそんなまた死ぬなんて…


「違う!貴方は今、深海の底でぐっすりと眠りについておるのだよ

 意識だけ私が引っ張ってきたのだ。」


 声に反応して後ろを振り向くと目の前にいかにも神様のような姿の男性がそこにいた。

 手入れが行き届いてそうな長く美しい髪、

 蓄えた髭、長身

 そして中性的な顔立ちで威厳に満ちた表情

 で腕を組んでこちらを見ている。


 何よ! 何よ! その長い金髪バリカンで全部剃り落として着てる物を剥ぎ取って逆さ吊りにして蝋燭垂らしてヒイヒイ泣かせてやるわ!!


 でも……今はそうだわアタシ…お魚なのよね


 ……そうお魚なのよ……手も足も出ない……っていうかそもそも無い! お魚なのよね!……


 残念で仕方がないわね

 あ〜っ!悔しい! 悔しい!


 もうハンカチを噛んで三角にしちゃって悔しがりたい気分よ〜っ!!!


「えっと?大丈夫なのか?何か不都合でも?」



「い〜え何も無いわよ!特に何もありませんのでお気になさらず!オーホホホっ!

 それでアナタは何者なの??」




「お前達からすれば神のような存在に当たる者である。今回は1つお願いがあって貴方の前に現れたのだ」


「お願いって何なのよ?」



「実は貴方が今いる場所からそう遠くない所に勇者とその仲間らしき者が潜伏しており、彼らを始末して欲しいのだ!」



 「何言ってんのよ! そもそもアタシ今は見ての通りお魚なので海から出る事が出来ないじゃない」


「うむ、言われてみればそうだなぁ それではこの能力を授けよう」


 《 確認しました。新たな能力- 浮遊 《レビテーション》-を獲得に成功しました。》



《 確認しました。新たな能力- 呼吸法ブリージング-を獲得に成功しました。》



 でも勇者達をどうこうするって話は受けるつもりないわよ


「いや実はその勇者なんだがこれがまたなかなかいい男でな……まぁダメだと言うのなら仕方がないので他に当たるとしよう」


「あらやだわ〜!?

 もうなんでもっとはやくそれを言わないのよ〜!

 それなら見てきてあげても良いわよん♪」


 さて、どのくらいレベルアップしているのか気になったので一度鑑定スキルで自信のステータスを確認してみようかな


———————————————————————


 

名称 なし


 種族 深海魚


 Lv30


 HP725 MP0 SP500


 攻撃408 防御509 速さ470


 装備

 無し


 能力スキル

 虚空庫アイテムボックス鑑定アプレイズLv3、探知ディテクションLv3、自動回復オートリカバー Lv3、念話テレパスLv3、能力吸収アブソーブLv3、念力サイコキネシスLv3、透明化インヴィジブルLv3、毒付与ポイズンインフレクト Lv2、浮遊レビテーションLv3、呼吸法ブリージングLv3、硬化スクラーサス Lv2、倍化イラージメントLv3、炎念力パイロキネシスLv3


加護: なし

 称号: なし

 進化: 条件を満たしていません


 ———————————————————————

 おーっ!!

 ものすごくアップしてんじゃないのさ?


「満足頂けたかね」


「ところでその勇者とやらはどこにいるのさ アンタの能力スキルで場所を示してくれないかしら」


「うむ、いいだろう」


 男の掌から白い光が出て真っ直ぐ飛んで行った

 光が飛んだ方向へ指差して魚をドヤ顔で見ている。


「ねぇっ 最後に1つだけ聞いていいかしら?」


「かまわない、何でも聞くがいい」


「アタシを転生したのはアナタなの?」


「イヤ私ではない、もっと上の者が選定している」


「そう」


 魚は無言で頷き、男も頷き返した。


 すると海の底ですぐに目覚め


 魚は勢いよく水面 から飛び出し、浮遊レビテーションで輝く光を追いかけ、勇者のところへ向かって行った。


 それにしても胡散臭い奴だったわね?


 全く信用しょうとは思わない……けど今のアタシじゃ何も出来ないのよね…でも目標が出来たわ


 1つ目はこの世界について知る事


 もし勇者とやらが話の通じるヤツならば共にいろんなところへ行って情報収集してもいいわね


 2つ目はさっきの神様気取りの奴らについて知る事


 さっき他にもアタシみたいな転生者がいるような事言っていたわね〜?

 だったらアタシ以外にも疑問に思うヤツはいるハズだわ! そういう連中を探しだす。


 もしかしたら何か情報を得ているかも知れない


 奴らの正体は何者なのか?

 一体何が目的でこんな事しているのか?


 そうこう考えているうちに目的地に着いたみたい


 アラっ、おかしいわね??

 さっき勇者って確か男って言ってたハズ

 でも目の前にいるのは小汚い少女

 そうよ!こういう時こそ鑑定スキルを使うのよ♪


 少女に向かってロックオンし鑑定スキル開くと情報が開示された



【鑑定結果:メアリー:種族はヒューマン。年齢は11歳。2年前に火事で両親を亡くし、本人は何とか一命を取りとめたが現在はカルロ村の村長の家の納屋で寝泊りしていると同時に虐待を受けている。

 数分前、勇者 イ・ミンジュンは勇者にされた事が嫌で勇者の称号であるペンダントを引き渡しメアリーに付けた。】


 続いてステータスオン!


———————————————————————


 メアリー


 クラス 村人


 レベル 1

 HP4 MP1 SP1


 攻撃2 守り2 速さ1


 能力スキル

 なし


 装備

 ボロ布の服、勇者のペンダント


加護:古の精霊の加護

称号: なし

進化:条件を満たしていません


 


———————————————————————


 何よ何よ〜!

 こんな今にも死にそうな小汚い少女がターゲットって事なのかしら?


 んじゃ、魔法陣の中で眠っている彼女に関してはひとまず置いといて、一通り作業が終わって帰ろうとしている勇者様にお訪ねしますかね〜っ♪



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る