第22話 ロッペンハイマー防衛前線
町の守備兵達は特になんの変哲もない鉄の剣、鉄の盾、鉄の鎧を装備している。先頭に立っている若者が他の5人にテキパキと指示している。
「団長達が来るまでお前らは5人でゴブリンを抑えてくれ! オレは勇者様を加勢しに行ってくる!!」
「了解、しっかりなアーリッヒ!!」
勇者コンビのところにアーリッヒが駆け寄って来たのでミンジュンは彼を見て軽く会釈した。
「ミンジュンさん、何か守衛さん達が応援に来てくれましたね。」
「そうだねメアリーさん、これからが本番だ! 先ずはゴブリンと戦っている5人を助ける。その後は俺が切り込むので2人は後ろを5人と共について来てくれ」
「へへっ 了解です勇者様!」
「ハイっ頑張ります!」
アーリッヒは我が目を疑った。
自分達が命をかけて何とか戦えるであろうゴブリンやコボルト数匹をたった1人でしかも1振りで倒してしまったのだから…
イケるコレなら!そう確信したのかアーリッヒは
自ら前に出て目の前にいるオークAに斬りかかったがアッサリ弾かれてしまいスキができてしまったところをオークAのハンマーが横から飛んで来た。しまったと思いアーリッヒは目をつぶって死を覚悟した。
「エア・クイック・シールド! 2ndシールド!」
メアリーの
弾き更にもう一枚盾を出し、盾の反動を利用する為、その上を高くジャンプした。
「そしてーっ!空中からの
オークAはメアリーの必殺の一撃を後頭部に喰らいそのまま倒れ、体格差がある事を瞬時に悟ったメアリーは真っ直ぐ踏み込んでそのままオークBの立派に太った腹めがけて上段突きを入れ、メアリーの後ろにいるアーリッヒがとどめを刺した。
「
「エア・クイック・シールド! 2ndシールド!」
ミンジュンの雷魔法でトロルAの動きを止め、さらにメアリーは盾を2枚展開してトロルAの前、後を盾でググッと挟み込んだところを2人の守備兵達が斬り込んで行った。他の守備兵達もバラバラにならずにしっかりと固まって行動している。
「前衛は勇者様達がしてくれるので俺達は援護と守りに集中するぞーっ!!」
「おおっまかせてくれ
バチバチバチドカーン!!
ミンジュンは動きの遅いトロルやオーガを雷の魔法を使い一撃で倒した。
メアリーが
すでに魔物供の死体の山が出来てしまいそれを見た弱い魔物供はビビって後ろに下がり出し逃げていった。………が魔物の中からゆっくりとこちらに歩いて向かって来る魔物が2匹いた。リザードマンとリカントだが2匹とも武具がチカチカと輝いて見える?
「アレはまさか魔法の武具か?まずいぞ……果たして彼等を守りながらどこまで戦えるか?」
魔物2匹がニヤリと不敵な笑みを浮かべながら少しずつ近づいて来る。
「みんなーっアレをみろ!」
アーリッヒが指差している方向へ振り向くと森の奥にひっそりと隠れているコボルトマージやゴブリンアーチャー供が矢を放って来た。よく見ると矢だけではなく、氷の矢が混ざっている。
「
「あんな所に魔法を使う魔物が隠れていたのか?」
ミンジュンと守備兵達はとっさにそれぞれの盾でなんとか防いだが足元からボコボコと巨大なミミズが1匹顔を出した。
「うわぁ地面の中から魔物がぁ?」
「うおぉーっ走れ雷光っ!剣技 『雷光剣』」
巨大ミミズはスパッと縦真っ二つに斬られ感電しながら消滅していった。
「おそらく地中深く潜ってずっとオレ達の様子をうかがっていたんだろう」
「土の中でずっと待ち伏せしていたのか……って
メアリーさん大丈夫?」
「は……はいミンジュンさん!しかし驚きましたね
まさか足元から魔物がはい出てくるなんて」
「勇者様危ない!」
アーリッヒは大声でミンジュン達に向かって叫んだ
「
突如、空中からハーピィ3匹が近づいて来て炎球魔法を連続で撃ち込んできた。彼等の周りをクルクルと囲むように回り始めた炎の球はミンジュンの目の前でピタリと止まった。
「
無数の炎の球が爆発してミンジュン達は盾で凌いだが大ダメージを受けてしまった。そこへリカント達がニ匹同時に距離を詰めてから勢いよくスパッと飛びかかって来た。守備兵達も爆発を受けたダメージで反応が遅れたのかリザードマンの魔法槍一撃で3人まとめて吹き飛ばされた。
「キシェェーっ!!」
ミンジュンはリザードマンの魔法槍を何とか盾で受け止めるが横からリカントの魔法剣技、さらにハーピィがまた炎球魔法を連続で撃ち込んできた。
メアリーとアーリッヒ、残りの守備兵達は
くそっ手数が多過ぎる……この状況、一体どうすれば覆せるんだ……オレ1人じゃ無理なのか……カイラ、皆んな
ごめんオレはもう……
「
「ぐうえぇぇーっ!!」
ハーピィ供が放った炎球魔法は突然現れたカイラによって全て跳ね返された炎を食らって叫び苦しみながら地面へと落ちて行くのを見た守備兵達がすぐに駆け寄り止めを刺していった。
攻撃を受け過ぎたのかミンジュンはひどく疲れた顔をしていた。守備兵達を意識しながら戦っているという事もあって息が乱れ、肩が不規則に上下していた。まるで溺れかけたところを助けあげられたばかりの人のように見えた。
「カイラ…来てくれた…のか?」
「
カイラはミンジュン達に回復魔法をかけると目の前で構えているリカントを睨みつけた。
「オイっお前たち、オレの仲間を随分と痛めつけてくれたじゃないか! タップリとお返ししてやるからな!」
メアリーは森の奥にいる敵の
パッパララーッラララ!!
その場所からラッパの音が聞こえた事によりアーリッヒ達は仲間達が来た事を知り守備兵達は安堵の表情を浮かべ、先程よりも目に輝きを取り戻していた。
「これは……進軍ラッパの音だ、やっと団長達が到着したか」
「ようやくおでましか待たせやがって!…へへっ」
ロッペンハイマー守備兵団25人の騎馬隊と50人の歩兵部隊がこちらへと向かって来た。騎馬隊の中から先頭のシブイ熟年男性と若い銀髪の女性騎士がミンジュンの所に駆け寄ってくるなり一礼して来た。
「遅くなってすまない勇者殿、私はロッペンハイマー守備兵団の団長を務めるハインツと申す。アーリッヒ達と共に魔物供から町を守ってくれた事心より感謝する。」
「私はロッペンハイマー領主の長女で守備兵団副長のジゼルだ。これより我等が中心となって魔物供を駆逐させてもらうので後はゆっくり休むといい」
メアリーはジゼルの上から目線な態度にミンジュンとカイラの表情が強張ったのを見て少しカチンときたのが分かった。
「ああ言ってるんですし守備兵さん達に任せてみましょうよ?」
「おうそうだ、先生からメアリーを町に戻すように言われたんだ!」
「えっ先生が??」
メアリーは困ってミンジュンの方を見つめると彼は強く頷いた。
「うん行って来い!
青い光に包まれ、メアリーはフッと町へと消えていった。
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