第13話 ロッペンハイマーへ
「ワン!ワン!」
チューリップが吠え出した瞬間、2人は立ち上がりそれぞれの武器を構えだした。
森の奥からゴブリン供がニヤリと不敵な笑みを浮かべながら少しずつ近づいて来る。その数30匹以上
、メアリーはあたふたしながら2人を見るとそこには先程の様な余裕に満ちた表情は既に無かった。
「ど…どうするニャこの数」
「困ったのう…こりゃワシら2人だけではちょいと厳しいかのう」
ゴブリンマージの1匹が先制攻撃と言わんばかりに炎の矢を飛ばして来た。
「
「甘いニャ
ボミエの放った氷の矢が炎の矢を相殺した。
そのすぐ後からゴブリン4匹がボミエに狙いを定めて襲いかかって来た。
ヨハンがボミエを庇うように前に出て剣で斬りかかる。
「ダブルスラッシュ」
「
ボミエは風魔法でスパッと後ろにいたゴブリンを真っ二つにした。ボミエのすぐとなり、一瞬で3匹を斬り伏せたヨハンは更に間合いを詰めて目の前にいたもう1匹目の喉を貫く。
「ど…どうじゃあと1匹!」
「2人ともアレ」
2人はメアリーが指差している方向へ振り向くと後方のゴブリンアーチャー供が矢を放って来た。ヨハンは剣で上手く弾き、ボミエは
「ウソ…仲間ごと狙って?」
「なんでコイツら仲間の事気にしてないニャ?」
「ゴブリンは仲間であろうともお構いなしじゃよ
なぁやっぱり誰かを守りながら戦うにはこの圧倒的な数の差はキツイのう……」
ゴブリン供はゆっくりと間合いを詰めてくる。
追い詰められるようにジリジリと湖の方へ下がる3人、そこへ湖から大きな何かが近づいて来た。
その近づく音に反応するかのようにメアリーは元気よく両手を上げ、湖の方へ手を振り出した。
すると、大きな魚が勢いよくコチラに向かってザバァっ!と飛びこんで来た。
「うわぁ〜魚がオイラに食べられる為に自分から飛び込んで来たニャ⁉︎」
「先生っ!!」
「えっ?アレが??」
メアリーが大きな声で叫び、ヨハンはその表情を見て仮説の上に築きあげた幻想があっという間に崩れ落ちた。
「アハ〜っ!やっぱり思った通りニャ、ヨハン爺残念だニャ」
突然、ゴブリン供の動きがピタリと止まった。
2人は目の前でプカプカと浮いている魚の仕業なのだとすぐに理解し、いつのまにやら自分達の体の自由が奪われている事に気付く。
魚はメアリーを背中に乗せて、チラッと儂らを見る
「先生、この人達も一緒に乗せてあげて下さい!
さっきゴブリンから私を助けてくれたんです。」
「アラそうなの〜!」
「うわっ何じゃ体が浮いとるぞい」
「これは
魚は倍化スキルで大きくなり、3人を乗せて勢いよく夜の大空へと飛んで行った。
ヨハンは初めての空中飛行に、夜の空に輝く星々の美しさに感激しているがそれとは対照的にボミエは自分が高い所にいるという恐怖のあまりチューリップにしがみつき絶叫している。
「ワン」
「こっ怖いニャーっ! もう魚は食べないから許してニャ」
「何でチューリップに誤っとるんじゃ??」
「大丈夫ですよボミエさん!すぐに慣れますって」
「じゃこのままロッペンハイマーまで行っちゃおうか?お爺さん達、ちょっと道案内頼めるかしら」
「私、まだ町に行った事無いんでヨハンさんそれにボミエさんも道案内をお願いします。」
「うむ、ワシら達に任せてくれ。それと町に着いたらどこか朝ご飯を食べられる所へ行きたいのう」
「あっそれならミンジュンさんのお店に行きませんか?私、
「アラまぁすごいじゃないの」
◇
30分程、星の輝く夜空を飛び、何かに気付いたのかヨハンは突然立ち上がりってボミエの肩を叩きながら正面を指差し、そのすぐそばにいたメアリーもつられて彼と同じ方向を見た。
「おおっみんな見ろロッペンハイマーの町が見えて来たぞい」
「うわぁ!スゴイですねーっ!町って夜でもこんなに明るいんですね。??」
上空から見ると
深夜4時のロッペンハイマーの町並みは酒場が多いのか夜にもかかわらず温かみのある光とレンガ造りの建築が混ざり合って美しい景観を生み出していた。そんな中でもオレンジや赤茶の三角屋根の建物の間から、この町のシンボルである教会の塔が随分と目立っていた。
「アラ、建物が随分とカラフルねー!なかなか賑やかそうな町じゃないの」
「朝になると教会の連中が塔のてっぺんにある鐘を鳴らすニャ」
とりあえず近くに降りてから町の入り口で槍を持った守衛に話しかけると居眠りしていたのかウトウトしていた守衛はピクっと反応して狐につままれたような表情でヨハンを見た。
「ヨハン爺にボミエじゃないか!どうしたんだよ
お前らがこんな時間に帰って来るなんて珍しいな。何かトラブルでもあったのか?」
「アーリッヒいつも入り口の警備ご苦労だニャ」
「実はヘキサの森で野宿するつもりがゴブリンの集団に襲われたんじゃよ」
「そうか大変だったんだなぁ早く帰ってゆっくり休め へへっ」
守衛のアーリッヒは3人を町へ通してくれた。
「先生もう大丈夫ですよ」
アタシは
姿を現し、町並みを見回す。おそらく飲み屋ではないかと思う店のそばに馬車が置いてある。下を見ると石畳はかなりのデコボコ、上を見上げるとオレンジ色に統一された屋根と、塔が広がる景色は、まるで中世ヨーロッパのような綺麗な町並みね〜♪
なるほどこの世界の文明はアタシ達の世界でいうと中世ヨーロッパの 16、7世紀あたりって所かしら? ヨハンとボミエにとってはコレが普通なんでしょうけどもやはりメアリーなんか目を輝かせてもうずっとキョロキョロしっぱなしだし、まぁそりゃそうよね生まれてからずっとあんな暗く汚い村にいたんじゃこの美しくライトアップされた夜の町並みは
感動なんじゃないかしら
「綺麗ですねーっ!!私、町の建物を見てるだけでものすごく感動しちゃいましたよ。」
「さてと感動するのも良いケド目的であるミンジュン君の店行くのでメアリーちゃん
メアリーは頷き、
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