第13話 占い

 それからまたしばらく道路を歩いていると、街灯の下にまたしても人影が見えた。


「よく街灯の下に人がいるなぁ」


 俺は思わず感心してしまう。サヨは……嫌そうな顔をしていた。


「えっと……話しかけてみてもいい?」


「……どうせ、駄目と言っても話しかけるのだろう?」


 俺は素直に頷いた。サヨは呆れていたが「いいだろう」と許可を出してくれた。


 俺は街灯の下に駆け寄っていく。と、よく見ると、その人は別に街灯の下に蹲っているわけではなく、机と椅子を用意しており、椅子に座っていた。


 どことなく妖艶な感じの女性であった。


「おや、お兄さん。どうしました?」


「え……あー……えっと、お姉さんは?」


 俺がそう聞き返すと、女性はニッコリと微笑む。


「私はしがない占い師です。ここで占いをしています」


「え……占い?」


「ええ。占い、したことありませんか?」


 占い……確か、未来の運命を予想することだったと思う。俺は一度も占いをしたこともないし、占いを受けたこともない。


「……ないですね」


「そうですか。では、どうです? お兄さんの未来を占ってあげますよ」


「え? いいんですか?」


「おい、待て」


 と、サヨがいきなり割って入ってきた。


「はい? お姉さんも占ってほしいんですか?」


「ああ。そうだな。おい、ナオヤ、先に私が占ってもらってもいいか?」


 なぜか、サヨは占ってもらうことにとても積極的なようである。


「え……いいけど……サヨ、占い好きだった?」


 俺がそう言うとサヨはムッとした顔で俺を見て、ちょっと来いというジェスチャーをする。俺はそれに付いていった。


「……いいか。私は占いっていうのは、大嫌いなんだ」


「え……嫌いなの?」


「ああ。そして、それがインチキであることも理解している。そもそも……人造人間である私の未来や運命を占えるわけ、ないだろう?」


「え……それは……そうなのかな?」


「ああ。そうだ。だから、ここは私のことをどう占うのか……少しあの女をからかってみたいんだよ」


 サヨが珍しく悪戯っぽい笑顔を浮かべている。珍しいので……俺は反対しなかった。


「……じゃあ、どうぞ」


「よし。見ていろ」


 そう言うと、サヨは占い師の前に立った。


「さぁ、占ってもらおうか」


「……ええ。いいわよ。さぁ、手を見せて頂戴」


 こうして、サヨは女性に占ってもらうことになったのであった。

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