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今日は姉の葬式だった。姉は人気者だったから、きっとたくさんの人があつまるだろうな、と私は思っていたのだけれど、予想に反して、集まったのは身内とごく少数の関係者だけで、すごくひっそりとしたものだった。
私は葬式に出るのは初めてだったから、大人が黒い服を着て、ハンカチで顔を押さえて泣いていたり、姉の写真の前でお線香を上げて、花を手向けたりしているのが、あまり現実のできごとには思えなかった。
大人は泣きながら、時折小さい声でどうして、と溢していて、私はそれを何度か耳で拾いながら、(私は大人みたいに泣くことができなかったけど)、確かにどうしてだろう、と同じように考えていた。
姉は1か0かという考え方をする人だった。
遅刻するくらいなら学校は休んでいたし、服も白か黒のものしか着なかった。
要するに極端だったのだ。
その姉が一度消えると決めたのであれば、それは完璧に消えてしまわなければならなかったのだと思う。
命を絶つだけでなく、彼女の存在そのものを、この世界から跡形もなく消し去らなくてはならなかったのだ。
私は姉の死に対して相当なショックを受けていたけれど、その徹底ぶりに感心してもいた。
『いったい何が、姉にそこまでのことをさせたのだろう。』
どれだけ考えてみても、私にはその答えが分らなかったし、両親にも分らなかったし、ましてや姉の友達にも、先生にも、誰にも分らなかった。
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