モモ

@haruka1007

1

姉が死んだ。


良く晴れた日の午後だった。

何の前触れもなく、まるで雨が降って止むみたいに、自然に

彼女は電車に飛び込んでこの世を去った。



――姉は後に何も残さなかった。

遺書も、服も、部屋にたくさんあった本さえも。


彼女は自分の持っていたものを全て処分してしまってから、ふらっと消えてしまったのだ。


だから姉の部屋は、はじめから誰も住んでいなかったみたいに空っぽだ。

姉が生きていた証拠など、もうどこにも残っていない。


私は、なんだかそれを、すごく姉らしいな、と思いながら、泣き崩れる両親を橫目にぼうっと立ち尽くしていた。







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