第7話
どす黒い炎がユーリの体を包もうとしている。
リトはユーリの目前に立ちはだかり、大剣を振りかざした。剣圧で炎が左右に別れ朽ちていく。
森は、真っ赤に空が染まり、獣達が一斉に騒ぎ始めた。
「貴様、ダイソンの者か」
リトは剣をかざしたまま、落ち着いた口調で話した。
賊は薄ら笑いを浮かべると、手に何かを集中し始めた。
「焼き尽くす、貴様ら全員。ミナ様の為にな」
手のひらから巨大な炎の玉が浮かび上がった。
「隊長!話が通じる相手じゃありません!」
リノが草むらから叫んだ。
リトは素早く賊の懐に潜り込んだ。炎の玉がリトに当たる。剣先が賊に触れる瞬間、凄まじい音と共にリトが吹き飛んだ。
今度は、賊の笑い声が森に木霊する。
だが、それは長くは続かなかった。
「がら空きだよ」
鮮血がほとばしる。ユーリのナイフが賊の首元をえぐっていた。
後ろに倒れ込む賊にとどめを刺そうとするユーリに、リトは叫んだ。
「待て、そいつには聞きたい事がある!」
声にユーリは止まった。
「答えろ。誰の指図で俺達を襲った?」
血溜まりの中で賊はマスクを外す、年老いた老婆の顔が見えた。
「ミナ様の地獄の業火で焼け死ぬがいい」
笑い声を残し、老婆の体が燃え始める。骨が見え、灰になるまで数秒もかからなかった。
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