第6話

早朝。


暗い森を抜け、ダイソンへと急ぐリト達。リトはユーリ、リノと少数の部下を従い目的地へと急いでいた。アビス、ロゼをヴェルニカに残した理由は、ダイソンが攻めて来た時に手薄になってはまずいと判断したからだった。


「リト隊長のご指名とあらばこのリノは火の中水の中付いていきます!」


リノは屈託のない笑顔を見せる。リトは笑顔を返すと裏腹に、きな臭い予感が脳裏から離れなかった。


「ユーリも隊長の指名なんだから頑張ろ!」


「うん・・・でも私なんかが付いてきてよかったのか?まだ新米なのに」


「隊長はユーリの力を見込んで連れて来たんだからそんな事を言っちゃだめだよ〜。危なくなったら私が守ってやるから安心しな」


「ありがとリノ」


やれやれ、この調子じゃ守られるのはリノかもしれないなとリトは思った。


「リノ、これから戦が始まるかの瀬戸際なんだからメリハリつけろよ。臆病風に吹かれないのはお前の唯一の取り柄だが、時と場合によるんだぞ?」


「わかってますよ〜」


リノは頬をぷくっと膨らませそっぽを向く。


ダイソンまでの道のりは、東の森を抜けたところにある。この森も侵入者を阻むかのような巨大な森だった。地理に詳しくなければ迷ってしまうほどで、土地勘のある者も今回は連れてきたのだ。


「あとどれくらいだろ?」と、リノは呟いた。


「そうだな、二時間ってところだな」


リトは地図を見ながら応えた。


「隊長、あれ見て」


ふと、その時だった。道の真ん中に誰かが倒れているのをユーリが発見した。


旅装束の格好から見て旅人だろうか。フードで顔は見えないが髪の長さからすると女性のようだった。


リトは用心深く近づく。


「大丈夫か?」


リノとユーリも後に続く。


「気を失ってるだけみたいですね」


リノは脈を取り言った。


言い終わらないうちにリノに赤い炎の塊が降り注ぐ。リトはリノの体を瞬時に抱き、草むらに飛び込んだ。


「き、貴様っ!」


リトが振り返ると、ユーリが旅装束に飛びかかっていた。


森の中にユーリの悲鳴が木霊した。

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