第5話
リトは、国王に次の遠征の件で呼び出されていた。最近休みがないとはいえ、軍事国家ダイソンがいつ仕掛けてくるかの瀬戸際なのだから仕方がない。少なくとも当分の間、休日はないだろう。休日返上は致し方ない。
案の定、王宮に入り、玉座の前に座るゼルス国王の顔には焦りが出ていた。老いてもなお爛々と光る瞳には現役の兵士達ですら手を焼くと言われた荒ぶる王。気性の荒さだけではなくしっかり筋を通す。しかし、今日はやけに疲れているように見えるのは気のせいだろうか。リトは不思議に思っていた。
「リト、東の軍事国家ダイソンの密偵をしてくれないか?」
ゼルスは申し訳なさそうに話し始めた。
「近頃、東の魔女を背に巨大な力をつけたと聞いておる。その動向を探ってほしいのだ。人員はお主が選抜したまえ」
「わかりました」
リトは深々とお辞儀をする。厄介な事になる。リトはそう感じずにはいられなかった。
フォレスト・ウルフの森の件といい、何かが起きようとしている。この国は平和かもしれないが他国の情勢がわからない。不安に駆り立てられる。
(嫌な気分だ。この予感が的中しなければいいが)
リトは複雑な気持ちで王宮を後にした。
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