第4話
「華やかな国だ」
ユーリは街行く人々を眺め感嘆の溜息を付く。ここはヴェルニカ国。水と資源に恵まれた国。リトはユーリをフォレスト・ウルフの約束通りに自国に連れて来ていた。国王には旅先で出会い、隊に力を貸してれると報告しただけだったが、国王ゼルスは気持ちよく承諾してくれたのが幸いだった。兵士の人手不足もあり、国入りを簡単に認められた事はユーリにとっても幸いだった。下級兵士としてユーリは迎え入れられたのだ。
アビス、リノ、ロゼも歓迎する。酒場で簡単な宴会を開いていた。
「ユーリの服を見立てなきゃな、その格好じゃここでは浮いちゃうよ」
リノは率先してユーリの服装のコーディネートを始める。お姉さん気取りにロゼは思わず笑みがこぼれた。
「リノってユーリと姉妹みたいだね」
リノは顔を真っ赤にした。
「別にあたしはこいつが恥ずかしくない格好をして欲しいんだよ!せっかく仲間なんだからな!」
「にしては、ずいぶんユーリにご熱心だね」
ロゼは含み笑いを浮かべリノをからかう。
アビスは微笑えましい光景にふんと鼻で笑う。
「気を抜くなよ、今は、この国は平和だがいつ何が起きるかわからんからな。東の軍事国家ダイソンがいつ攻めてくるかもしれん」
「ダイソン?危険な国なのか?」
ユーリはアビスに訊ねた。
「なんでも東の魔女を雇い、この国に攻め入るとかきいたがな。どこまで本当なのか気になるところだぜ」
アビスは酒を一口飲んだ。
「あたしがいる限りこの国は平和に決まってるじゃん!このリノ様が!」
リノは笑いながら酒をあおる。
「お前酔ってるだろ、大概にしろよ」
アビスは頬杖付きながらリノに怒鳴った。
「次の遠征はダイソンかもしれないね」と、ロゼは静かに呟いた。
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