第17話 利家さま弟子入りを懇願す
トントントン日野のニトン♪とは、冗談で。ママがキッチンで晩御飯を作っている。
『ママどのー!ママどのー!』
『はいはい♪利家ちゃん♪きこえてるわよ♪』
『折り入って頼みがある!』
『なあに?利家ちゃん♪』
『弟子にしてくだれ!この通りだ!』
バッと見事な土下座をみせる利家さま。
『だめです!既に右左が弟子入りしています』
『そこをなんとか!』
『だめです!』
『利家さま。ママは決まりを守っているだけなのです。加賀延命流は一子相伝、なのであきらめてください』
『利家ちゃん♪時々、お稽古にはお付き合いするわよ♪』
『そ、それで構わぬ!うん!結構!結構!』
なんとか、折り合いは付いたようだ。
ママは揚げ物を作り始めた、そしてサラダもたっぷり用意している。
『今夜はこの間つけた、大根寿司よ♪』
『ママの大根寿司は最高だからな!』
『ママどのー。食の神、武の神よ』
(なんだか利家さまがキャラ変してないか?)
食事の時間である、奇妙な一家団欒の景色である。
『利家ちゃん?利家ちゃんの時代には合気道はあったかしら?』
『なんでしょうか?それは?』
『ないわよねー♪知ってた、うふふ♪』
『ママ?もしかして?』
『そのもしかしてよ、パパっ♪』
『良かったですね、利家さま』
『何が良いのかさっぱりじゃの』
『ママはですね、加賀延命流は伝授できないかわりに大東流合気柔術を伝授するといっているのです』
『ママさまの技ならなんでもいい!』
『利家ちゃん♪お稽古は明日からですからね♪今夜は食休みしたらパパとお稽古して、お風呂入って寝なさいね♪』
『ママさま、いや!今日子殿!感謝つかまつります!』
『はい♪よろしい♪』
(ママに仕込まれた右左は武器もつかえるけど、無手になると化け物になるからな)
こうして、楽しい食事を終えて家族でテレビを見て(意図的に前田利家公の歴史をDVDでながしているが)いる。
『いやいや、この場面はおかしいぞ!』
『信長さまに追い出されただと!?』
いちいちリアクションがうるさい。
そんな時間をすごした後に、私と利家さまは道場へ行く。
『前川どの!一つ頼みがある!』
『なんでしょう?利家さま?』
『こうしようではないか?この家の中では又左、外に出たり来客があるときは、右左とよばれよ!』
『ほーん。確かに理にかなっていますな』
『ほれ、呼んでみよ』
『又左さま』
『ちがうわい!又左と呼び捨てにするのじゃ!わかってないのう』
『ゴホッ、うん!うん!…又左』
ほんのりと頬が赤くなる又左
(こいつやっべーんじゃねーの?)
『悪くない又左でいこう』
こうして、又左へと呼び名を変えた利家さまとの稽古を始める。
『前川どのとは、いつまでも打ち合いが出来るのが良いの!力量が同じなのじゃろう』
『又左は強いですね!』
『前川どのも中々のものじゃよ、戦場でも充分戦働きができるじゃろうて』
気がつけば夜の10時である。
『パパー♪利家ちゃん♪お風呂わいたわよー♪』
『今日子殿、前川どのとも話したのじゃが…わしのことは又左と呼んでくだされ』
『そーぉお?じゃあ言うわよ♪又左ちゃん♪』
真っ赤かである!赤面とはこのことか!
『又左ちゃん、明日は朝からお稽古ですからね、早く寝るのよ♪』
『はーい♪今日子殿』
『ちがーう♪そこはママでしょ?』
『あ、え、ふぁ、…ママ』
『又左ちゃん!可愛いわあ♪』
顔を真っ赤にしながら又左はお風呂へ、ふらふらと向かっていった。
さてさて、明日からどうなることやら。
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