第11話 西洋の外科医術を学ぶ

僕は日本の戦国時代の医学と西洋の医学の違いを知っている。どちらにも良いところもあれば、そうでないところもある。しかし、日本には外科医術は存在していなかった。

僕は各船に船医を2名づつ乗船させていたので、今回の遠征にも多数の軍医を同行させていた。


ちょうど良いタイミングで、ジョンが手首を切り落とさせたので、ジャックに治療の様子を少数の優れた軍医たちに見せるように指示した。


担当医はマイケル・バッカードという者だったようだが、思わぬ方法が飛び込んで来た。



慶次郎が話し出す。

『叔父きよ、ちょっと異才を放つ奴がいるぜ』

『どういうことだ?』

『あっという間に西洋の医学を身に付けてる奴がいるらしい』

『誰だ?』

『道三という若い医者だ』

『斎藤道三は武将であろうに』

『いやいや、別人の道三だよ』

『優れているのだな?』

『ジャックが言うには、天才らしいぜ』

『ちょっと呼べ』

『ラジャー』



(いま、ラジャーって言った?)



『叔父きよ、連れてきたぜ』

『通せ』


それはまさしく才気のある者しか持たないオーラを放った青年が現れた。


『前田さま、お呼びと聞き駆けつけました』


(なんだ、この落ち着きは?)


『道三よ、西洋医術を学ぶのは楽しいか?』

『はい!寝るのがもったいないくらいです』


爛々と輝く瞳は充血していた。


『医者の不養生とはそなたのことだな!』

『あー、つい夢中になり二日ほど寝てませぬもので』

『よいよい、しかしそれも今日までじゃ!西洋医術を織田家に持ち帰るために勉学に励み、書物にせよ。そうだな題名は週刊文秋にせよ』

『週刊文秋ですか?どんな意味が?』

『日本に帰ったら民も帝も驚かせるためじゃよ。文秋砲でな!』

『なにいってるかわかりませぬが、わかりました!』

『アサヒ芸脳でもよいぞ!』

『さっぱりわかりませぬが頑張ります!』

『よし!下がってよいぞ!しかし今日は休め。明日から3日働いたら1日休むのを繰り返せ!よいな?』

『嫌ですがわかりました!文秋砲、芸脳のために、休むのも仕事の内だと思い頑張って休みます!』



ワーカーホリックである。

24時間戦うタイプである。

頭の中でクレイジードクターという曲が流れる。父がよく聞いていた曲だ。



その時、僕は知らなかった。

彼がいつの日か天皇の治療をするほどにまで成長するとは。

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