第3話   幼馴染みとテストの後に

 「・・・・・・・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・・・・・・・」

 俺と真波は学校からの帰り道お互いを意識しながら帰っていた。別にまた告白をしたわけでは無い。

 どうしてこんなにもお互いに意識・・・もといお互いに闘志を燃やしてるのかというと、時を遡ること二十分前・・・・・・・・・



 「明日はいよいよ、実力テストですよ。最初のテストから赤点を取らないでくださいね」

 担任の先生が帰りのホームルームでそんなことをのべた。周りから嫌だ、俺の高校生活終わったなどと聞こえてくる。

 俺は別にそうは思はないけどな・・・。実力テストじたい春休みの時に学校から貰った、課題を何回も勉強すればいいだけの話しだしな。

 「しっかりと、勉強してくるようにお願いします。それでは、気をつけて帰ってください・・・・・・・・・後、さとる君明日からはしっかりと男子の制服を着て下さいね」

 「嫌です」

 「そ、そうですか」

 悲しそうな顔をする先生。何でか分からないけど、すがるような目で見られた気がする。

 「今朝もさとる君の服装で生徒指導の先生に怒られたのに・・・・・また怒られる」

 確か先生は学校の先生になったのも浅いうえに、担任も初めてで、まだ色々なれていないんだな。俺も女装は未だになれない、やはり初めてのことは一日、二日ではなれないものだお互い大変ですね・・・・同情を込めて先生の背中に手を合わせておく。

 「さとる帰ろう?」

 「ん?了解」

 真波から、帰りのお誘いを受けたので合わせていた手を引っ込める。

 しかし、一緒に帰っていいのだろうか・・・今朝ご近所さんに変な噂されたばかりなのに。まぁ一緒に帰りたいので何も言わないでおこう。

 


 お互い下駄箱で靴に履き替え外にでる。やはり、まだ生徒からは注目を浴びるな。だが、真波は朝みたいに気にした様子も無く隣を歩く。もうなれたのだろうか。

 「本当さとる今日で有名人になったね。みんなびっくりしてたよ」

 「まあ、目立つとは思っていたけどここまでとはな」

 真波と今日の出来事についてあまり意味もなく話し合いながら帰っていると、

 「そうそう日向先生がさっき言ってたけど、明日実力テストだね」

 そう切り出した。そう、それは俺と真波が一番口にしてはいけない話題のはずだったのだが、、、

 「へぇ、真波からテストの話題を振るなんてよっぽど自信あるんだな」

 「まぁね、今回はいつも以上に勉強してるからね。さとる負けるんじゃない?」

 「面白い冗談だな、中学のテスト通算勝利は俺の方が上だぞ」

 「つ、強がっていられるのも今のうちよ!今回は勝ちを譲ったりしないから」

 いつの頃からお互いテストの点数を意識し始め、気がついたら競い合うようになっていた。それからお互い意識はするものの、テスト前にはお互いテストの話題は出さなくなっていたんだけど。その話題のせいで、、、、、、



 「・・・・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・・・・」

 今こうしてお互い闘志を燃やしているのだが。それから無言でお互い帰路につくのだった。


 自分の寝室に入りベットの上にうつ伏せになる。・・・・・・・そういえば、いつからだったかなここまでテストにやる気を出すようになったのは。まぁ、いいか。

 明日に向けてもう一度勉強するか。


 

 そして、テスト当日の朝

 「・・・おはようさとる。いよいよね」

 「おはよう。そうだな」

 昨日と同じように、真波と登校する。え?今日の服装?勿論女子の制服だ。

 真波は寝ずに勉強したのか目の下に熊が出来ていた。そういえば、昔から真波は一週間前から勉強をするタイプだったな。まぁ、俺も一週間前からやるタイプなのだが、もしかしたらそのせいで成績が似ていたり、点数が近いのかもしれない。

 「ねぇ、さとる。いつも通り点数を競うだけじゃあれだし、負けた方がなんでも一つ言うことをきかないといけないってどう?」

 「よほど、自信があるようだな。いいだろう」

 勝負まで、挑むとはよほどの勉強したのだろう。ならば、その本気の勝負に答えなければ男(女装)がすたるものだ。

 「後悔しても知らないからね!!」

 真波は自信満々に言い放つ。どうのこうのと言ってる内に学校についた。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・真波の負けフラグびんびんに立ってないか?



 「皆さんおはようございます。今日はテストです。一時間目、国語・二時間目、数学・三時間目、英語ですので気合いを入れて頑張ってください。くれぐれもカンニングのないように」

 担任の先生から、テスト前の最後の言葉をもらう。

 実はいつものことなのだが、テスト前になると猛烈に吐きそうになる。さっきまでの威勢はどこにって話なのだが今朝も米粒一粒しか食べられてない。それほどまでに緊張に弱いのだ。

 だけど、今までしてきた努力は裏切らないと信じてるからこそ、この緊張感にギリギリ耐えられている。

 あーーーテストやだなぁぁぁ

 



 一時間目、二時間目、三時間目と無事にテストを終わらせていった。終わってみた感想だが手応えは十分あった。点数は結構いったと思われる。やはり、多少の変化はあれど春休みの課題から出てるので公式や単語などしっかりと覚えていればすらすらと解けたな。

 真波も出来が良かったのか、にっこりと笑っている。テストの結果事態は明日にでも帰ってくるだろう。

 それにしても、毎回テストの点で競ってきていたが、今回は負けた方が何でも言うことを聞く罰ゲームを受けるというルールを設けるとはどういう理由なのだろう?何か命令したいことでもあるのか?

 「島田、どうだったよ?」

 考え事をしていると林に声を掛けられた。

 「まぁ、いつも通りかな」

 「つまり、いつもと同じで高得点かぁ」

 「それは、よく分からないな。出来たと思っても出来てない場合だってあるし、林はどうだった?」

 「ん?全然WAKARANAKATTAZE☆」

 「おい、大丈夫なんだろうな?」

 「怒られるの慣れてるし、大丈夫だよ」

 そう言いながら自分の机に戻る林。駄目だこいつ。中学の時も三十点以下でいつも先生に怒られていたのにそれでも勉強をしない。高校のテストは赤点を取った人は補習と訂正があるのだが、こいつ知ってるのか?

 「さとる!テストどうだった!?私はもう完璧よ」

 「すごい自信だね」

 林と入れ違いで、真波もテストの手応えを聞いてくる。どうやら真波は自信満々のようだ。

 「ん。ぼちぼちかな」

 「今回は私の勝ちかな?何お願いしようかなぁ」

 満開の笑顔で勝ち誇ったような顔をしていたーーーーーーー


 「どうして、負けるのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 結果は俺の勝ちだった。真波の総合は二百七十五点俺は二百八十点と五点差で勝った。 

 「さぁて、どんなお願いしようかなぁ」

 「ひっ」

 真波は自分の身体を守るように両手で抱く。え?なんか変なことお願いすると思われてる?

 「いや、普通に明日休日だからどこか行かないかって言おうと思ってたんだけど」

 「え?そんなこと?もっとなんか別のことでもいいんだよ?私から言い出したことだし」

 「いや、そういえば最近二人で出かけてないと思ってさ」

 中学の卒業式以降二人で出かけていなくて、久しぶりに行きたいと思っていた所だった。

 もともと、明日買い物に行こうと思っていたので誘うならちょうどいいタイミングだと思っていたのでよかった。

 「それって、デート?」

 真波は顔を真っ赤にしながら聞いてくる。

 ふむ、ここは、どう答えるべきなのだろうか。付き合っても無いのにデートと答えていいものか?

 自分が女子なら、、、、幼馴染み真波(男)に買い物に誘われたらデートだと思うよな。もしデートかと聞いて真波(男)にデートだと言われたら嬉しいと思う。

 つまり、質問の答えは、

 「デートだよ」

 真波は顔を真っ赤にしながら笑ったーーーーように見えた少なくても俺には。

 




その後、もちろん林は補習と訂正を受けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

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幼馴染と恋をする前に(仮) 大貴 @3533

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