第2話 幼馴染みと登校した後に
「なぁ、いい加減気を直してくれよ真波」
通学路を二人で歩いているのだが先程から、何故かずっと睨まれている。ただ、女子の制服を着ているだけなのに何がいけないのだろうか?
それと、周りの人達がさっきからこそこそと何か喋って、どこか冷めた目で見ている気が。
(やだ、さとる君あんな趣味があったの?)(もしかしたら真波ちゃんの趣味なのかもよ)
まったく、真波は変な噂に流されやすいな何も変な事なんて無いから気にしなくていいのに。俺みたいに堂々としてれば・・・・・ん?自分の格好をもう一度見直す。女子の制服を着ている・・・・間違いなく原因これだわ。
「真波,真面目な話がある聞いてくれるか?」
「うううううう,うん」
おや?急に顔を赤らめて俯いてしまった。どうしたんだ?
「俺は別に女装の趣味はないぞ」
「え?」
「この女装は、真波のことをもっと知るために仕方ないことなんだ」
(やっぱり、真波ちゃんの趣味なんだわ)(さとる君も大変ねぇ)
周りの人達の声のこそこそ話無くならないな。もしかして、逆効果か?本当の話をしたら誤解も解けると思ったんだが。
「ま、真波?」
「もう、知らない!!」
本当にこれで女心なんて分かるか不安になってきた・・・・
周りの冷たい視線を浴びながら、ようやく校門まで辿り着いたが、その間真波は口を聞いてくれなかった。
「なぁ、もういいだろう?この格好は仕方なかったんだよ」
「はぁ。もう、どうでもよくなったわ。・・・・それにさとるが女装していてくれればモテる心配は無くなるわけだよね」
お?何か分からないけど口をきてくれてよかった。最後ら辺はうまく聞き取れなかったが。
「君、それはなんだ?」
声を掛けられ振り返ると、ロングヘアの美人な女子生徒が立っていた。確かこの学園の生徒会長の西野森会長だ。
「えっと、服装のことですか?でも校則には男子が女子の制服を着てはいけないなんて書いてないですし」
「そこじゃ、無いと思うんだけど」
「服装のことは、別にどうでもいい」
どうでもいいんだ。とは口が裂けても言えない。
「その格好じゃ全然だめだ。君には足りない物がある」
「足りない物ですか?」
「これを付けてみろ」
「これは、カツラですか?」
何故か会長からポニーテールのカツラを貰ったのだが・・・とりあえず付けてみるか。
「うむ。それでいい」
「なるほど、何か足りないと思っていたけどカツラだったんですね!!」
「なんなのこの茶番」
さすが、生徒会長この学園を収めるだけあって生徒のことをよく理解している。
「それでは会長ありがとうございます!?」
会長がすれ違いざまに突然俺の耳元に近づいてきて、誰にも聞こえない様に,耳打ちをしてくる。
「君もそっちの趣味があったんだね。ナカマがいてうれしいよ。またいつでもおいで」
なにか今聞いちゃいけないことを聞いた気がする。え?あの人男?嘘だろ・・・・・
クラスにつくと、高身長で茶髪の男性が声をかけてきた。
「おはよう!まじで、女装してきたのかよお前。というかカツラも付けてきたのかよ」
「おはよう林。まあな」
中学の頃からの同じクラスだったので本人から聞いた話だが林は小学生の頃から陸上部であり、小中と沢山の賞を取ったそうだ。あと、よくモテる。
「それで、女装してみて何か理解できたか?」
「そうだな、周りからの視線が痛いのと恥ずかしことはよく分かったな」
「最初から気付よ」
林は呆れたように首を左右に振る。
「別に女心を知るために女装をする必要ないだろ?明日から普通の格好にしろよ」
「いや、俺は女じゃないからな形からでもいいから女にならないと分かるものも分からないかと」
「島田ってよく分からないところで真面目だよな」
「そうか?」
そうだよと笑顔で答えた後に自分の机に戻っていった。
「はぁ、疲れた」
昼休みになり、疲労も重なった俺は机に突っ伏している。理由は授業の度に教科担の先生が驚いたり、休み時間になると女装している男子がいるとかでいろんなクラスの生徒が押し寄せてきたりと、色々大変だったのが原因だ。自業自得なのでなにもいえないのだが、まさか女装するだけでこんなに注目されるとは。
せっかく休み時間に真波と喋ったりする予定だったのに、くそう。ちなみに真波は、クラスの女子ともう打ち解けたみたいで楽しそうに休み時間を過ごしていた。まぁ邪魔虫(男子生徒)ではないので排除に向かわなくていいだろう。
「ねえ、さとる」
「ん?どうした真波」
まさか、真波のほうから話しかけてくるとはビックリした。その手にはお弁当を持っている。一緒に食べてくれるのか?
「ご飯早く食べよ!」
自分の椅子を俺の机の前に置き、弁当を置く。おぉ神様このよな機会を作って頂きありがとうございます!
「あんたも早く弁当出しなさいよ」
「あ、ああ。まさか、心配してくれたのか?」
「ん?いや、普通にあんたのおかずを横からもらうためだけど?」
「さよでっか・・・」
昔から真波は俺の弁当をよく横から取る癖がある。前理由を聞いてみたことあったが、味が濃すぎなくて俺の作る料理が美味しいからしい。そう言われると悪い気がしないので毎回おかずを分けたりしているのだ。
俺は自分の鞄から布の袋を取り出し、中から二段弁当を出す。確か、今日のおかずは・・・
上の段には、唐揚げ、カレー味のもやし炒め。そしてきゅうりの漬物。下の段は白米の上に生姜焼きを載せている。
どこにでもある普通の弁当だと思うが、真波は美味しそうと目を輝かせていた。
「あ、そういえば今日私も初めて弁当を作ってきたの」
「まじで!?」
「そんな驚くこと?」
そうは言っても料理を普段せず出来る料理は中学の時教えた、卵焼きがやっとなはずだったよな。どんな料理を作ってきたんだ?
「気になる?」
「ああ。とっても」
「だったら、そのお弁当と交換しない?」
「俺のと?」
どうしたものか・・・。でも、真波の手料理は、卵焼きしかたべたことないので、食べたいのが正直な感想なんだが。答えに詰まっていると、
「そうだよね。私のお弁当なんか食べたくないよね」
真波は悲しそうに目を伏せた。というか、今にでも泣き出しそうだ。
「・・・・・・さとるのために作ってきたのに・・・」
ゑ?俺のためにわざわざ作ってくれたのか、、、嬉しすぎるんだが。
そういえば、昨日女心について女装以外にネットで調べていた時、女子が手料理を作る意味は女として見て欲しいとか書いてあった気がする。あとは、、、よく覚えてないな。
「分かった。ありがたくもらうよ」
「本当?とても嬉しい!!じゃあさ、弁当交換しない?」
「ん?いいけど」
真波は嬉しそうに自分の弁当を差し出した。それを受け取り自分の弁当を渡す。
受け取った弁当の蓋を開けてみると、メインのおかずが卵焼きと卵焼き。その隣も卵焼き、卵焼き。下の段には白米・・・
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
真波に視線を向けると、思いっきりそらされた。こいつ、俺の弁当を全部食べたいが為にやりやがったな。
まぁ、いいけどさ。
『ごちそうさま』
二人で手を合わせる。
「どうだった?」
「おいしかったぞ」
真波のお弁当はとりあえずは、美味しかった。卵焼きの中にネギやニラ、しらすなどが入って味に飽きることはなかった。なぜかそれはそれで腹がたったのだが。
「よかった~。家でもっと練習するね!」
「お、おう」
卵焼きのレパートリーまだ増やすのか?と思ったけど口には出さないでおいた。
だって、真波がとても嬉しそうな顔をしているから。もしかしたらこういうのが、女心を理解しているというのかもしれないが、今はまだよく分からない。けど、焦らずゆっくりと知っていこうと思う。
とりあえず、休みの時にでも料理を教えようと、そう誓った。
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