事業は陳腐化する・・

たまには、経営の勉強を。

そう考え、出席した講習会で、

ある講師から


「事業は必ず陳腐化する

あなたの会社の事業価値に

未来はあるか」


この問いが、

達社長の頭から離れなくなっていた。


「会社の寿命は20年」

そう思い知らされた直後の講習

だったこともあるだろう。


講師から

事例を踏まえ、

次の3つの問いに答えることで

事業の未来価値を

考えて欲しいと言われた。


①変化する価値観


講師

「従来の価値観を覆す変化が、

起きていないか」


オンリー1であることが

ピンチになる・・


ある部品メーカーは

オンリー1の部品を作る事で

主たる顧客との

専売取引を実現していた。


しかしある時、大きな自然災害で

部品を供給出来なくなり、

それが理由で、調達先が複数購買に

切り替える方針の転換をしたと言う。


特殊要因ではあるが、

災害が、顧客の購買方針という

価値観を変えてしまったのだ。


達社長

「働き方改革一つとっても、

確かに数年前とは比較にならない

ほど変化をしている」


②役割の変容


講師

「自社の求められる役割が

変容していないか」


ある運送会社は、

単なる資材配送だけでなく

取り付け工事や現場管理まで

ワンストップサービスを

行うことで、高収益化している。


達社長

「良い建物をリーズナブルにつくる」

だけでなく、

「建築した施設の運営や

集客ノウハウ、あるいは地域の

空き家群の再生まで、

明らかに求められる役割が

変容し始めている」


③ライバルの質的変化


講師

「ライバルの質的変化が

起きていないか」


「つまり、異業種が真のライバルに

なり始めていないか」


苦戦するある老舗リフォーム会社。


現在、最大のライバルは、

シニア向けに観光を企画する、

ツーリズム企業だと言う。


第二の人生だからこそ

生涯の思い出づくりに


こんな問いかけで、躍進。

費用が高額なこともあり

シニア向けリフォームが

下火になってしまっているのだ。


言い換えるなら

価値観の変化が最大のライバル。



達社長


「そう言えば、

ある自動車メーカーが、自ら

街づくりを担うと話していたな

しかし、さすがに、ライバルとは

よべないだろうが」


そして、講師はこう締めくくった。

「当てはまる項目が一つでも

あるなら、その事業は陳腐化

し始めていると考えよう」


陳腐化とは中々な表現だが、

どんな事業でも、

成長から成熟へ向かい

やがて衰退すると言う意味だ。


「他社に変えられるか?」

「自らの意志で変わるのか?」


「うーん 変わらなければとは

考えていたが、事業を脱皮させる

ってどうするのだろう」


答えをだせず、

達社長、少し戸惑いを感じていた。

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