会社の寿命は20年

会社の寿命30年説。

そういう言葉があるそうだ。


ところが、現在

ある経営専門誌が行った、

会社の寿命分析結果を見ると、

「20年弱」へと短命化している

との事だった。


これを教えてくれたのは、

企業の信用調査を行う、

ある会社のベテラン部長。


加えて彼は、

「近年の倒産企業の、創業から倒産

までの平均の事業期間は25年弱程度」

とも話してくれた。


簡単に言えば、事業の寿命は20年。

そう考え、事業の盛衰と向き合う位が

丁度良いと言う事だそうだ。


デジタル化の波、

顧客や働く人の価値観の変化

異業種からの参入激化

そして、

近年当たり前になりつつあるM&A


想像を越えて変化が加速する時代。


ひょっとすると、既存事業の寿命は

もっと短いのかもしれない?


建設事業で創業来70年を越える私達。


建築も土木も

これからも必要な事業だと

確信してはいるが、

単にモノを作るだけの事業では

なくなるだろう。


調査会社の部長は

加えて、こんな話しをしてくれた


「100年続く企業は

少なくとも三度は変革する」


農地整備の事業で創業し、

120年を数える建設会社が

お隣の県にある。


同社は、鉄道関連事業へ進出し、

その後、本格的に建築,土木事業

そして、住宅事業へも参入。


国の施策変更による

整備事業の縮小を乗り越え、

更には、国鉄の終焉による

鉄道関連事業の変革をも

見事切り抜けてきたという。


今では、エネルギー分野に進出し、

脱箱もの時代にしっかり備えている。


農地の整備事業から鉄道事業へ

更に、住宅・建設事業へと変革し

100年を迎え、次の100年に向けて

エネルギーカンパニーへの変身を

目指しているのだ。


変わり続けることが、

変わらず存続することである。


同社の家訓だそうである。


「三度の変革が

世紀を越える鍵となる」


一方、達社長の会社。


一度経営危機があり、

工場などの建築分野を大きく伸ばす

決断をし、大変革したが、

それ以来、土木と建築事業を続けている。


つまり、100年に向け二度目の変革の

必要性が迫っているのではないか?


幸い、業績や受注は悪くないし、

確定ではないが、大型プロジェクトも

控えている。


しかし、つい最近まで

「コンクリートから人へ」

つまり、建設冬の時代だったのだ。


スーパーゼネコンさんが、

地方の少額物件に、

考えられない値段をつけ、

過当競争とも言える物件争奪戦を

していたことも、そんな昔ではない。


今は「宴のさなか」 そう考え、

事業の寿命がつきる前に手を打とう。


とはいえ、答えがあるわけでもなく

少し憂鬱な気分になりながら、

調査会社の部長を見送る

達社長であった。

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