第2話 ベルの頼み事

いつもと同じように昇る太陽が、いつもと同じ順番で家々の窓を叩いて、街の住人達を起こして回ります。いつもと同じ時間に仕事の支度を終えたピートは、窓辺のスパティフィラムに別れの挨拶をして玄関のドアを開けます。

細い廊下に出ると、昨日よりも大きい雷鳴のようないびきの音が、階下からアパート中に響き渡っています。轟音に両耳を塞ぎながら踊り場を回ったところで、ピートの足が止まります。

なんと、三階の廊下では昨晩の乱痴気騒ぎの客達が、階段や廊下の手すりにもたれ掛かって大いびきをかいているのです。ピートは呆れ果てた顔で、それでも寝ている人達を起こさないように足の置き場に気をつけながら、そっと三階の廊下を抜けていきます。

アパートの玄関を出たピートは、あまりの光景に目を見開いてしまいます。

椅子、枕、鞄、スリッパ、電気スタンドにハンガーラック、靴なら男女合わせて十足以上、ありとあらゆる物がアパートの前の坂道に転がっているのです。玄関脇のピートの自転車にも、カーテンのような布が引っ掛かっています。

〝一体、どれだけ飲んだらこんなにめちゃくちゃになるんだ″

ピートは深いため息をついてから自転車に掛かる布を引っ張りますが、その布が女性のスカートだということに気づいて、赤面しながら慌てて手を離します。周りを見渡して誰もいないことを確認したピートは、もう一度ため息をつくと、散乱した家具を避けながら自転車を押して坂道を下って行きました。


「こらぁ、お前ら、もっときびきび動かんか」

赤い煉瓦造りの郵便局の倉庫には、今日も局長の太い声が響いています。その周りでは、局員達が荷物の山の間を蜜を運ぶハチのように慌ただしく動き回っています。

「ピート、お前の担当は昨日と同じ1から6区だ。荷物は昨日の倍はあるからな。しっかり今日のうちに片付けろよ」

ピートは荷物の宛先を確認しつつ、頭の地図に入っている路地や脇道、地図にない抜け道を使って、最短のルートを組み立てていきます。頭の中の道順が噴水広場まで来たところで、急にトニオとかいう楽師の顔が浮かんできます。

「あいつの顔を見なけりゃいけないのか」

自転車と荷物の山の間を往復しながら、ピートは渋い顔で悪態をつきます。

「あんなやつに誰が惚れるってんだ。あいつに恋文なんて来るものか」

ふと荷物を抱えたピートの視線が、倉庫の一番奥の壁に備えられた棚に止まります。ピートは急に何かを思いついたように、手にした荷物を下ろして奥の壁へと近づき、壁一面にある棚の引き出しの一つを開けます。両手で引かなければ開かない程重い引き出しには、たくさんの郵便物がぎっしり詰まっています。

ピートは引き出しの中の大量の郵便物を、手品師がトランプを扱うように慣れた手つきで選別し、その中からいくつかの封筒を選び出します。そして、ニヤリと一つ笑みを浮かべると、封筒を鞄にしまいこんで何事もなかったかのように作業に戻ります。

「さぁ、さぁ、荷物が来るぞ。クビになりたくなけりゃどんどん運べ」

局長の大声を背中に受けながら、局員達は担当の地区に向けて一斉に飛び出していきます。


昼下がりの噴水広場は、穏やかな陽気と大勢の人達が作り出す喧騒で満ちています。

楽師のトニオは仲間達と共に、ダンスの輪の中心で肩にかけたピカピカのバンジョーを掻き鳴らして、民族音楽の曲調が入ったテンポの早い軽快な大衆歌を演奏しています。

トニオの横では体の大きな楽師が酒樽に腰を掛けて、その身体に見合う大きな弦楽器を指で弾いています。噴水の脇ではパイプを咥えたパーカッション担当の楽師が、ずらりと並べた大小様々なドラムを叩いて陽気なリズムを打ち出します。少し離れたところで、顔半分に白髭を蓄えたサンタクロースのような老楽師が、突き出たお腹に乗せたアコーディオンの蛇腹を器用に伸び縮みさせています。楽師達の周りでは、コーラスガールの三人娘がお揃いのドレスのスカートをひるがえしながら、息の合ったダンスを披露しています。

楽師達が一斉に演奏を止め、曲が終わると、集まった聴衆から大きな歓声と拍手が湧き起こります。トニオが聴衆の前に出て、頭を下げ、次の曲の紹介をしようと大きく息を吸った時、人垣の向こうに見覚えのある萌木色の制服がちょこまかと動いているのが見えます。

トニオはにたりと笑うと、口上を他の楽師に託して、人垣をすらりと抜け、あくせく働いているピートの背後に回り込みます。

「よぉ、郵便屋。相変わらずの忙しさだなぁ」

トニオはピートを驚かすために、わざと大きな声を出して覆い被さる様に肩に手を掛けます。

「なんだ、楽師様か。見ての通りだよ、お前と遊んでる程暇じゃないんだ」

ピートはまとわりつく腕を払いのけながら、素っ気ない返事を返します。

「おいおい、今はシェスタの時間だぜ、目のないサイコロ。仕事なんてほっぽりだせよ。俺の故郷じゃ、この時間は誰も働かないぞ」

「お前の郷里の人はいつ働くんだよ」

「俺の田舎のことなんかどうだっていいんだよ。そんなことよりだ、今日こそ持ってきたんだろうな」

思惑通りの言葉にピートはほくそ笑みますが、わざととぼけた声で言い返します。

「持って来るって、いったい何のことだ。僕は楽師様にプレゼントを持って来るほど音楽通じゃないぞ」

「お前からの差し入れなんて誰が欲しがる。トニオ様宛のラブレターだよ。俺への思いで胸を焦がしている女の子からのラブレターだ」

トニオはピートの前に立ちふさがり、自信たっぷりに胸を張って、親指で自分を差してみせます。ピートはその様子がおかしくてたまりません。

「あぁ、トニオ様宛の手紙ね。さて、あったかな。なんだか見たような、見ていないような」

ピートはトニオを焦らすため、郵便鞄の奥を探っては、わざと宛名の違う封筒の束を取り出して鞄に戻す仕草を繰り返します。

「やあ、これだったけな。いや、違うなぁ」

トニオは鼻の穴を膨らませてポーズを決めたままでいましたが、すぐに待ちきれなくなって、ピートの手から封筒の束を強引に掴み取ります。

「ええい、俺がやる。貸せ」

奪い取った封筒の宛名を一枚一枚確認し、その中に自分の名前を見つけたトニオが興奮気味に叫びます。

「あった、あったぞ」

ピートの方へ向き直したトニオは、どれ見たことかと言わんばかりの顔で自分の宛名の封筒をピートの目の前でひらつかせると、姿勢を正して一つ咳払いをしてから、おもむろに蝋封を外します。

「えー、親愛なるトニオ様」

折り畳まれた便箋を丁寧に開き、宣誓でもするかのように高々と掲げて読み上げるトニオを、ピートは直視出来ず下を向いて肩を震わせます。

「日頃より当店をご愛顧いただきありがとうございます。つきましては、先日のご利用の代金を早急にお支払いいただきたく…」

読み進めるにつれトニオの声が次第に低くなっていくことに、ピートはもう堪えきれずお腹を抱えてゲラゲラ笑い出します。

「なんだこりゃ、飲み代の催促じゃねぇか」

「そうだ、わざわざ宛先不明の棚から探して持ってきたんだ。ありがたく受け取れ」

ピートは大笑いしながら、倉庫の奥の未配達品の棚に埋もれていた督促状の束をトニオのズボンのポケット突っ込みます。

「ふざけんな、こんなものいるか。持って帰りやがれ」

「そうはいくか。持ち帰って欲しけりゃ宛名を変えて切手を張り直せ」

ピートは封筒をつっかえそうとする手をかわして、自転車に飛び乗ると颯爽と駆け出します。

「おい、待て。郵便屋。サイコロ野郎」

トニオの悔しそうな声を背中に受けながら、ピートはすっかり上機嫌で広場を後にしました。


穏やかな日差しがフローリスト・ベルの前の小さな公園に降り注いでいます。人影のないベンチにはナラの葉の木漏れ日が落ち、小さな花壇には秋桜の花が赤や黄色の斑点模様を作っています。

公園につき出すように伸びている緑と白のストライプのシェードの下では、花屋の娘ベルが店のウィンドウに貼ってあるポスターを、心ここにあらずといった様子で見つめています。

ショーウィンドウの奥、店内の作業台では、グラント氏が大きなハサミを器用に動かしながら、注文されたリースの仕上げにはみ出した葉を落としています。時折目を遠ざけてはリース全体のバランスを確認し、最後に満足した様子で一人頷くと店先にいる娘に呼びかけます。

「ベル、ベル」

しかし、店先にいる娘は別の何かに心が向いているようで、父親の呼び掛けに気がつきません。娘の反応が一向にないことが気になったグラント氏は、店先に出てきて、ウィンドウのポスターの前で立ちつくしている娘を見つけます。

そのポスターは商店の寄合の仲間から掲示するよう頼まれた音楽祭のポスターで、紙面にはスポットライトの当たるステージの上で歌っている若い男女と、植物に見立てた花咲く五線譜の絵が描かれています。グラント氏は娘の横顔とウィンドウのポスターを交互に見比べた後、ベルを驚かさないように小さな声でもう一度娘の名を呼びます。

「ベル」

急に現実に引き戻されたベルは、肩から頭までを震わせて驚きながら、裏返った声で返事を返します。

「な、なあに。お父さん」

「ちょいとすまんが、棚の上の箱を取ってくれんか」

「ええ、今すぐやるわ」

ベルは戸惑いを隠すように、早足で店の奥へと消えていきます。グラント氏は怪訝な顔でポスターを見上げると、鼻をふんと鳴らして店内へと戻っていきます。


ピートがナラの木の公園に着いたのはその頃です。公園の脇に自転車を止めたピートは、昨日の失態を繰り返さないように周囲をよく確認して、一つ呼吸を落ち着けてから店先へと向かいます。

「こんにちは、郵便です」

開け放たれている入り口の扉をノックして、ピートは店内を覗きこみます。花屋の主人は、娘と一緒に作業台の上で仕上げたばかりのリースを包装用のチェックの紙箱に納めている最中でした。

「はーい」

リボンを押さえていたベルが顔を上げ、耳触りの良い清んだ声で返事をすると、何かを期待するかのように目の奥を輝かせながら、ピートに向かって小走りで近づいてきます。

〝まいったな″

ピートはその期待を裏切ってしまうのを知っていて、ベルと目を合わせる事ができません。

「え、えーと、こちらが本日分の伝票で、封筒が3枚、郵便物が2点です。こちらにサインをお願いします」

細い指でペン先を伝票に走らせるベルが、ちらりちらりと何かを聞きたそうに上目遣いで見上げてくることに、ピートの心はさらに重苦しくなります。

「あの…」

「あ、今日の」

伝票を手渡すタイミングで、二人の言葉が重なります。

「は、はい」

「あ、いえ、どうぞ」

また言葉を重ねながら、二人同時に先を譲り合い、そこでお互いに言いたいことが分かってしまいます。

「私宛の手紙はなかった、ですね」

「申し訳ありませんが、今日の荷物には」

少し肩を落として呟くベルの姿にピートは最後まで言葉が続きません。

大きな鳶色の瞳にかかる長いまつげが揺れるのが目に入ってしまい、ピートの視線は落ちつく先を無くして、グラント氏が包装紙をまとめる音しか聞こえない店内をぐるぐる回ります。その時、ふと脳裏に倉庫の奥にある棚の事が浮かんで、ピートは思わず声を出します。

「あっ」

ピートはグラント氏の方を気にしながら、ベルにだけ聞こえるように身を乗り出して話しかけます。

「ベルさん、もしかしたら何かの手違いで未配達になっているかもしれません。局に戻ったら、宛先不明の棚も調べてみますね」

思いもよらない言葉に、ベルが顔をぱっと明るくしてピートを見上げます。

「本当ですか、嬉しい。ぜひぜひお願いします」

〝こいつはまいったな〟

想像以上に喜ぶベルの様子を見たピートは、期待を持たせてしまったことを内心後悔しながらも、同時にどうにか手紙を見つけてあげたいという気持ちに駈られます。

「差出人の名前を教えて頂ければ見つけ易くなります。ベルさんがよろしければですが」

ベルは鳶色の瞳を輝かせながら二回も頷き、振り返ってグラント氏が背中を向けているのを確認すると、ピートに顔を近づけて小声で告げます。

「ジェフリーです。ジェフリー・リッテンバーグ」

「ジェフリー・リッテンバーグさんですね」

緩いウェーブのかかったベルの髪先が肩に触れるまで近づいた事に、ピートは顔を赤くしながら差出人の名前を復唱します。

「それでは、また明日」

ピートは受け取った伝票を鞄にしまいこんで、ベルに一礼すると、早足で戸口へ向かいます。

「ありがとうございます。本当に、本当に、よろしくお願いします」

ベルは店先まで出てきて、立ち去るピートに何度も頭を下げます。

〝こいつはいよいよまずいぞ〟

ピートは背中に目一杯の重圧を感じながら、公園脇に停めた自転車まで小走りで駆け寄ると、サドルに飛び乗りペダルを漕ぎ出します。

〝これは何としてでも、今日中に手紙を見つけなければ〟

荷台に積み上がっている配達物を一刻も早く終わらせるため、ピートは自転車を全速力で走らせ、ナラの木の公園を後にしました。


その日、ピートが郵便局に戻ってこれたのは、結局昨日よりも遅い時間でした。

一日分の配達伝票を整理し、回収した荷物と未配達分を各地区の棚に仕分けし、報告書を作成して、回覧の書類に目を通した後、ピートはようやく倉庫の奥の棚の前へとやってきます。

その棚は広い倉庫の一面に水平に並べられていて、宛先不明、転居先が分からないもの、受け取り拒否など、様々な理由で配達できなかった郵便物が隙間なく詰めてあります。

〝この中から手紙一枚を探し出すのは相当骨が折れるな。まったく余計なお節介をするんじゃなかった〟

自分の背丈の二倍はある棚を見上げながら、ピートは軽い弾みで出た言葉を悔やみます。

〝つい、弾みでいい格好をしてしまった。これで手紙を見つけられなかったら、ベルさんをまた悲しませる事になるな〟

ピートの頭に、鳶色の瞳を伏し目がちにしたベルの悲しそうな顔がよぎります。

「こうなりゃやるだけやるしかない」

ピートは気持ちを奮い立たせると、地区毎に区分けされた棚を目で追いながら歩きだします。

〝フローリスト・ベルは中央広場の3区だ。もし、何かの理由で未配達になっていたとしても、その近辺にはあるだろう〟

中央広場は街で一番栄えている地区です。未配達品の棚は中央広場地区だけでも五台もあります。ピートは各地区の棚についている小さい郵便物用の引き出しを開けて、ぎっしり詰まっている郵便物の宛名を一つ一つ確認していきます。

「ジェフリー、ジェフリー・リッテンバーグ」

ベルから聴いた名前を何度も復唱しながら、引き出しの中の封筒の束を取り出し、確認してはしまいこむ作業を延々と繰り返します。引き出しの横幅は大人が手を広げたくらいの大きさで、扱いに慣れたピートでも引き出し一つを調べ終わるには半時ほどかかります。それが1区だけで四段もあるのですから大変な作業です。

壁にかかる時計の短針はとっくに12時を回っていますが、ようやく地区の半分が終わった程度です。ピートは疲れと眠さですっかり重たくなった瞼が落ちてくる度に、頭を振って眠気を払いのけます。

「眠たくなんかないぞ。明日、あの娘に手紙を届けるんだ。ええぃ、ジェフリー・リッテンバーグめ。ここにいるなら返事しやがれ」

ピートはわざと大きな声で一人言を言った後、倉庫の高い天井を見上げてふぅっと息を吐きます。

「しかし、ジェフリー・リッテンバーグってのはいったいどんな奴だろうなぁ。ベルさんがあれだけ心待ちにしているなら、ただの友達じゃないだろう。思いを寄せている相手だろうな」

ピートは作業の手を止めて、剥き出しの鉄骨が支える冷たい天井に未だ見ぬジェフリー・リッテンバーグを思い浮かべます。

「ベルさんに思いを寄せられるなら余程いい男なんだろう。背も高くて、体つきも立派だ。きっと、ジェフリー・リッテンバーグは七つの海を渡る船乗りか、自由の為の戦いに身を捧げる闘士みたいな奴だろう。それで、今、この瞬間も戦場に身を置きながらベルさんの事を思っているんだな」

ピートの頭に、菜の花が咲き誇る一面黄色の丘の上で、映画俳優のような端正な顔をした長身の男がベルの細い肩を優しく抱いている絵が思い起こされます。

「ふう、僕もお前に会ってみたいよ、ジェフリー」

ピートは一つため息をつくと、少し気落ちした様子で、また引き出しから封筒の束を取り出します。その時、取り出した束の中から一枚の封筒がするりと飛び出し、ピートの足下に舞い降ります。何とない仕草で封筒を拾い上げ、引き出しに戻そうとしたピートの手がぴたりと止まります。

手にした封筒の宛名には、ベル・グラントの名が筆圧の強いしっかりした字体で記されており、送り主にはジェフリー・リッテンバーグのサインがあります。

「ベル・グラント、ジェフリー・リッテンバーグ」

ピートは震える手で封筒を何度も読み返し、自分の目に間違いがないことを確認すると、興奮した様子で封筒を高々と掲げ、くるりくるりと回り出します。

「ハハ、ハハハ、何だよ、ジェフリー。本当に会いに来てくれたのか。お前、なかなか良い奴じゃないか。おおっ」

調子に乗って回り過ぎたピートが足下の荷物につまずき床に倒れこみますが、それでも、ピートは天井の薄暗い照明に封筒をかざして愛しそうに見つめています。

「これでベルさんの悲しい顔を見なくてすむな」

自分の使命を果たした達成感とともに、手紙を受け取って喜ぶベルの顔が瞼に浮かんで、ピートはなぜか急に胸の奥に冷たい風をあてられたような気持ちになります。

「本当にお前が羨ましいよ、ジェフリー。恋文なんて毎日のように見ているけど、僕は一度だって書いたことも貰ったこともない。郵便屋はいつだって配達するだけのかやの外の人間だ」

ピートは床に倒れたまま、返事をしない封筒の宛名と差出名を交互に見比べ、ベルとジェフリーの名前の間に入っているピートの知らないストーリーに思いを馳せます。

「ん」

ふと違和感を感じたピートが上半身を起こして宛書きに目を凝らすと、住所の記載に間違いがあるのに気がつきます。

「ひどいな。スペルミスが3箇所もあるし、こんな名前の通りはないぞ。これじゃまともに届くはずない。どうやらジェフリーは相当おっちょこちょいらしいな」

長身の端正な顔をした自由の闘士にも意外な欠点があるのを発見したピートは、少しだけ気分を取り直し、大事な手紙を胸ポケットにしまいこむと、勢いよく立ち上がって未配達の棚を離れていきました。

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