第2話 春の色と蝶の羽ばたき

 

 愛がなんだかわからない。


 いや、きっとわかろうとしていない。だけなんだ。


 それが答えだ。



「貴方は自分が好きなのよ? 他人を本気で好きになったこともないくせに……」

 

 衝撃的すぎる言葉だった。

 的確に胸の奥底をつつく。ズキズキというよりもグチグチと傷を広げていくような痛みにも似たそれは、作り上げてきた積み木をゆっくりと崩していった。


 それまで揚々と羽ばたいていた羽根を片方だけをもぎ取られたように。痛みは心に沁みていき根っこをはる。いつまでも根強く残る。忘れたと思っても、ふとした瞬間に戻ってきてはまた痛みを伴うのだ。なんとも残酷だ。


 あれだけ綺麗に咲いていた花も風で吹き飛ばされ、萼だけが残り、最後にはそれも腐り落ちる。通り過ぎる人々に踏まれ綺麗だったモノは無惨に跡形もなく忘れ去られる。唯一残ったのは太陽の光に透かされる青々とした葉だけだった。それも秋には枯れ散っていく。


 僕もその繰り返しだった。

 きっと今年も変わらずに同じことを繰り返し生きていくのだ。


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