第一章 第八章

「ようこそ、おいでくださいました!さぁさぁ、席についてください!」

 現総統の黄麗華おう りーほんさんが迎えてくれた。中年を過ぎた感じの恰幅のいい近所のおばさんという印象だ。

「どうも黄さん!私は日本国海上自衛隊呉基地臨時艦隊司令兼むらさめ艦長の赤城翔太二等海佐と申します!今回の協力感謝いたします!」

 先ほどの青年といい、黄さんといい、本当に日本語がお上手だ。さすが親日国。こんな素晴らしい国と国交を絶つなんて、日本も惜しい事をしたものである。

「いえいえ!私たちこそ、親愛なる日本政府から久しぶりに協力要請がきて嬉しかったです!何より故郷の次に大好きな日本に協力出来てとても嬉しいです!」

「ほんと急な要請になって申し訳ないです!まさか二つ返事をいただけるとは、思ってませんでした!」

「いえ、中華人民共和国は私たちの同族でもありますから、同じ民族が起こしたことは少しでも協力しないと思っておりますし。残念ながら、私たちの護衛軍は憲法の都合上国際紛争の解決の手段でしか出撃できませんので……」

 日本の憲法9条でも交戦権は認められていない。しかし、今回は特例として認められている。

「そうですか、それでも、軍港の提供してくださるだけでも本当に助かっています!この補給で、かなり安定して戦うことができます!」

 本当に今回の補給があるかないかで、大きく変わってくる。護衛艦の船員達の戦意上昇にもつながるだろう。なにしろ、この戦いに協賛してくれている国があるという事を身近に感じられた事もかなり大きな意味を持つ。

「それでは、存分に使ってください!私は、これから会議がありますので後はそこの護衛軍の参謀長にお任せします!」

「わかりました!ありがとうございます!」

 そして、黄さんは側近と共に去っていった。

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