ルミちゃん


 女の子は群れを作る。

 私とルミちゃんはいつも一緒にいる。


 男の子は不潔で嫌い。

 女の子はやかましくて嫌い。

 ルミちゃんだけが私のきれいで静かで大切な人。

 私たちは小さな校舎の小さな教室で放課後いつも手をつないだ。一緒にいようねって笑いながら。


 はじめてキスをしたのは手をつないで帰っているとき、次の突き当りをルミちゃんは右に曲がって帰っちゃうなとぼんやり考えていたとき。

 ルミちゃんからだった。柔らかな頬が触れて、反射的に目をつぶった。ゆっくりと目を開けるとルミちゃんの顔がすぐそこにあって、ルミちゃんのまつげが深い影を落としていた。


 可愛い。私のルミちゃん。

 二度目は私から。彼女の細い体を抱きしめた。

 ドキドキして、心臓が痛い。苦しいよ。

 コーヒーみたいに苦くて、お砂糖みたいに甘いのどうしてなの。

 ルミちゃんはいつもみたいにきれいに微笑んでいるのに、私は顔が熱くて仕方なくなっちゃう。余裕がないみたいで恥ずかしい。私は制服の紺リボンを意味もなく直した。顔を俯かせる理由がほしかった。なんて、幸せなんだろう。

 ルミちゃんはそんな私の小さな見栄もわかっているみたいで、ふふって笑って私のリボンに手を伸ばした。


 私とルミちゃんはいつも一緒。

 きっと、ずっと、これからも。

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