第4話「同志」
「お目覚めかしら?斬月禮?」
ベッドから起き上がった俺の目の前には、金髪ロングの少女。服は生徒会のみが着けることが許される服。まぁあの惨状だ、多少はボロボロだが。そして彼女の右腕には「生徒会長」の腕章が。
俺はその瞬間察した。
「お前…麻里奈か。生きていたか。」
<自称最強生徒会長 明智 麻里奈>
「本当にあなたという方はドライですわね!呆れますわ!この最強たる私がそう簡単に死ぬとでも思いまして?」
彼女の名は「明智 麻里奈」。霊威学園の生徒会長だ。容姿端麗で成績優秀。絵にかいたような生徒会長のお手本みたいな存在だ。ただ、性格の高慢さを除いて。そこを除けばいい奴だ。
「あなた麻里奈っていうのね!あたしは華玖夜!よろしくね!」「よせ華玖夜。パシリみたいにされるぞ。自分が最強だと信じて疑わないようなやつだしな。」
「失礼ですわね!誰がパシリにするですって?…あ、華玖夜さん、これから最強たる私をよろしくお願いしますわ!」
「ほら言った。」
別に最強だと名乗るのを責めはしない。ただ自分が最強だと信じて疑わずに人を傷つけるのが嫌なのだ。
「ふ…ふん!私が最強なのは変わりのない事ですわ!…ところで話は変わりますが、先ほど襲ってきた集団の事の話、あなた方にもしておかなければなりませんわ。ついてらっしゃい。」
「お、おう。」「わかった。禮君、立てる?」「ああ。」
<ジャスティス帝国>
~避難用シェルター 食堂~
「着きましたわよ。あなた方はここに座って。」
ここはシェルターの食堂。少し狭いがみんなが集まるには丁度いい場所だ。俺たちはここで、襲ってきた連中は何者かという話をすることになった。
「とりあえず現在生きている人、名前と能力の紹介をしてくれまして?一応これからの行動ではぐれたら困りますし。」
現在生き残っている人は俺たち含めて7名。
「高杉 稔(たかすぎ みのる)、の、能力は「風穴」。か、簡単に言えば「右手の人差し指でつついたものに風穴を開ける」。です。」
「織田 俊介(おだ しゅんすけ)だ。能力は「現在地から10歩以内ならば瞬間的に移動できる『縮地』」。よろしく頼む。」
「大槻 澪(おおつき みお)。能力は「調律」。「自分の周囲の精神をいじくってテンションを上げたり、戦意を喪失させたりできる」。よろしく。」
「七瀬 躯です。能力は「風圧」。「自分の右手で空気を圧縮して、圧縮した空気を相手に向けて放ち吹き飛ばす」能力ですね。」
「斬月 禮。能力は「鋼鉄」。「周囲の金属を操る」。よろしく。」
「蓬莱寺 華玖夜です。能力は「虚数空間」。簡単に言えば「相手を虚数空間に飲み込む」。よろしくね!」
「そして私が最強たる「明智 麻里奈」。能力はみんな知ってると思うけど「錬金」。「6種類の要素を組み合わせて攻撃する」能力ですわ!」
こうして自己紹介が終わった。本題はここからだ。
(ここからは登場人物を載せます。ご了承ください。)
澪「ところでさ、今日襲ってきたのって、誰?」
開口一番、澪が言った。すると麻里奈は
麻里奈「ええ、それが今回ここに集まってもらった理由。今日襲ってきたのは名前は知っているとは思うけど、「ジャスティス」って連中…というよりは「軍」に襲われたからですわ。」
「軍」、あのテロリスト連中を「軍」呼ばわりとはどういうことだと思った矢先。
俊介「ちょっと待て、麻里奈、さっき「軍」って言ったが、どういうことだ?」
俊介にその言葉を取られた。ぐぬぬ。
麻里奈「正式名称は『ジャスティス帝国軍』。彼らはある人物に絶対的な忠誠を誓っている…。」
禮「絶対的な忠誠?誰にだ?」
麻里奈「それは…わが明智財閥の情報網でもつかめなかった。でも1つ分かっているのは『帝国軍の兵士は全員その人物を「神」と呼んでいる』ことですわ。本名ではないのは分かっているけど…。」
『ジャスティス帝国軍』。それが今回のテロ事件の犯人で、その黒幕が「神」と呼ばれる存在。自分を神格化している痛い連中だなと思った。
禮「連中はよくこんなことをするのか?」
麻里奈「ええ。華玖夜さんは1度経験しているんじゃなくて?」
おい、初耳だぞ?
華玖夜「え?違うよ?その時はテロじゃなくて、前に通った学校がなぜか廃校にされて転校せざるを得ない状態になったの。なぜ取り壊されたかはわからないけど…。」
禮「…」
麻里奈「そう。ジャスティス帝国軍の連中はテロや理不尽に近い言いがかりをつけて強引に学校を取り壊す。目的は恐らく「彼らが説く「絶対正義」に反するから、そんな学校はいらない」って感じじゃないかしら。」
俊介「ひどいな…。自分たちの思い通りにならないことを教える場所なんかいらないって言ってるもんじゃないか。」
禮「ああ、おそらくその跡地に自分たちの言うことだけを聞く学校を立て直すんだろうな。まさに『洗脳』だな。とはいえ帝国軍ってくらいだからその…『親』とでもいった方がいいのか?そいつらの親は『国』なのか?」
麻里奈「ええ。れっきとした帝国ですわ。実際には「神」による独裁国家、だけど。」
俺はこの時「ジャスティス帝国は一体どんな国なのか」を考えていた。『ジャスティス』の名の通り「正義」にやたら厳しい国なのだろうと思った。
稔「洗脳…怖いよ…。」
澪「稔、落ち着いて。だれも私たちを洗脳するだなんて言ってないでしょ。それにあんたみたいな弱虫、誰が洗脳するのよ。あんたみたいなザコ。」
稔「うう…」
うわ。澪のやつさらっとひどいこと言いやがった。そう思ったその時。
麻里奈「澪さん。その発言、もしジャスティス帝国軍の耳に入ったらあなた今頃拷問の果てに惨殺処刑されてますわよ。」
禮「どういうことだ?」
俺はこの『惨殺処刑』に引っかかったのだ。悪口を言っただけで惨殺される。あんまりではないかと思った。確かに罵詈雑言を言うのはよくない行為だ。しかしそれだけだ『処刑』はあんまりではないか。そう思った。
さっきの「正義の名の通り苛烈な正義が掲げられている国」だと予想していた。
麻里奈「ジャスティス帝国軍、並びにジャスティス帝国は些細な悪すら許さない。たとえ冗談で誰かをからかおうものならその場で射殺。さっきみたいに誰かの悪口を言おうものなら公開処刑。人をいじめようものならばその人物は物理的に影も形も残らず惨殺される。わかったらもう彼を罵るのはよした方がよろしいわよ。澪さん?」
予想的中。いや、それ以上だった。悪口やジョークを言っただけで処刑だなんておかしい。そんな正義など間違っている。そんな正義はただ殺人による恐怖で国民を押さえつけている。ある種の恐怖政治だ。
澪「…なんだよ。」
おい、と心の中で思った。閑話休題。
躯「…要は彼らの目的は「自分たちの正義を世界中に広め、その力で世界を支配する。」って感じですか。」
麻里奈「そう。そしてここからが私たちがこれから取るべき行動について。私たちはこれから『レジスタンス』と合流する。そして…」
その時だった。
どごぉぉおぉおおおおおぉおおぉぉおぉぉぉんんんん!!!!!
麻里奈「なんですの!」
俊介「砲撃…まさか!」
どこからか鳴り響く砲撃音。俺はその時察した。食堂を出て玄関のドアの窓から外を見てみると、やはり来ていた。ジャスティス帝国軍だ。
兵士1「出てこい!いるのは分かっている!」
兵士2「レールガン戦車の餌食になりたくなければ、直ちに出てこい!出てくれば手荒なことはしない!」
禮「…くそ!やはり嗅ぎ付けてきたか!」
第5話「叛旗」へ続く。
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