第2話「虚桜」
『あらすじ』
ここに転校生が来る。以上。
***
教室内はみんな転校生の話題でいっぱいで、とてもうるさい。分かっているのになぜ騒ぐ必要があるのだ。全く理解できない。
「みんな!今日からこのクラスに新しい仲間が加わるから、仲良くしてやってくれ!!」
先生のテンションも高い。そりゃそうだ。
確か8時30分のホームルームの時に転校生は教室の中に入る。それを生徒は楽しみに待っているってのが今の状況だ。俺にとっては転校生のことなんかどうでもよかった。なぜ?大体こういう場合に限り、面倒ごとに巻き込まれるからだ。誰だって面倒ごとに足を突っ込みたくない。自己防衛でもない限りは。
とにかく俺は教室の隅の席で端末から小説を読んでいた。その時だった。
<8時26分>
「あと4分で来るからな!もうちょっと待っててくれ!俺は転校生の様子を見に行ってくる!!」
あー、先生もうるさい。と思っていた。その時事件は起こった。
バタッ
「きゃああああああああああああああああああああああああああ!!!」
女子生徒の猿8匹分の悲鳴が聞こえた。その声に驚かされた俺は悲鳴が聞こえた廊下に出た。
「どうした?」
「動くな貴様ら!」
そこには、マシンガンを持った重装備の兵装をした男が女子生徒に銃を突き付けていた。一応言っておくがこの女子生徒は転校生ではない。俺はとっさに
「何の用だ?」といった。すると男は
「俺は『ジャスティス』のために働く絶対正義の兵士だ!」
『ジャスティス』?なんだそれは。どうでもいい。人様に迷惑をかける奴に正義を語る資格はない。相手がジャスティス=正義を執行しようとしているのならば、こちらも俺なりの『正義』を執行しよう。
「すべてはあのお方のために!あのお方の『絶対正義』のた…め…に。」
ふん。小心者め。
「なんか化け物でも見たかい?」
俺の能力の片りんでビビるとは。兵士にしては弱いな。
「あれ?私のペンは?」「俺のベルトもない!」
俺が何をしたかって?答えは簡単。
近くにあった金属。この場合は男がマシンガンとは別に装備していたナイフや自動小銃、さらにはほかの生徒が持っていた金属製のペンなどで巨大な拳を作ってやったのだ。
「さぁ、かかって来いよ。その自慢のマシンガンで俺の心臓を貫いてみろよ。この拳を貫けるならば、な。」
軽く煽ってやった。
「てめぇ!なめやがって!出会え出会え!!」
男が誰かを呼ぶと、俺の周囲を3人ほどの兵士が囲った。どちらも目の前の男と同じ装備をしている。
「「「全てはあのお方のために!」」」
「さすがに3人がかりは…きついな。」
俺は先ほど作った拳を破壊し、空中に金属を浮かせると、今度は3本の刀の形に再構築した。
「あんまり手を煩わせるなよ…。」
「うるさい!撃て!絶対正義のために!!」
「「絶対なる正義のために!!」」
3方向から放たれるマシンガンの弾丸。
「無駄なことを…」
弾幕は2本の刀を空中で操作し、盾の形に変形させることで防ぐ。その後残った刀で兵士のマシンガンの銃口を突き貫いて撃てなくした。
「貴様ぁ!よくも!」「我らの正義には向かう気か!」
はぁ。疲れる。
「勘弁してくれないか?こういうの。」
3人の兵士は、依然戦闘態勢をとっている。
「誰がやめるか!我らは『この学校が我らに反旗を翻す邪悪なる組織』であることを突き止めている!おとなしく正義のために滅べ!」
「滅べと言われた奴がみすみす滅ぶか?普通に考えて。」
当たり前だろ。と思った時だった。
「煽ったな!それも…つ…み!?」
「どうした!?同志よ!何が起き…て…」
「体が…『星空』に飲み込まれる…!」
「もー、先生がいつまでたっても来ないと思ったら、こういうことだったのね。」
沈みゆく兵士、その奥にはターコイズブルーの髪で俺から見て左側と後ろにしっぽ髪ができていて巨大なアホ毛とロングヘアの少女が立っていた。彼女の眼はオッドアイで右が赤で左が青。特徴だらけの少女が頬を膨らませて立っていた。
間違いない。
__俺の幼馴染だ。
「久しぶりだな。『華玖夜』。」
第3話「逃走」へ続く。
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