ふわふわしっぽ


 結局、二人に選んでもらったオフショルダーのワンピースと、首の後ろでリボンを結ぶインナーを買うことにした。あと髪飾りも。

 お買い物を終え、三人でお昼ごはんを食べた後。二人はそれぞれ別の用事があるということで、解散になった。しっかりお礼を言って、エレンさんとクロナさんに手を振る。


 わたしはこのままギルドに帰ろうかと思ったけれど、せっかくの休みなので、もう少し街をブラブラすることにした。お祭りの準備で、街はとっても賑やかだ。

 ふと覗き込んだお菓子屋さんのガラス窓に、自分の全身が写った。


「……」


 しょぼしょぼのしっぽと耳。そういえばクロナさんに、どうしたらそんなに綺麗な毛並みになるのか聞きそびれてしまった。こんなわたしじゃ、さっき買った服、やっぱり似合わないかなぁ。

 ……そんなことをぼんやり考えていると。


「やっほ!」


「きゃあ!」


 突然、後ろからぼん! と背中を叩かれた。びっくりしすぎて、飛び上がってしまう。


「あはは、びっくりした?」


「レア!?」


 振り返れば、おかしそうに笑うレアがいた。後ろには、困った顔をしたイングリットさんもいる。


「レア、なんてことをするの。クーナさん、びっくりしてるでしょう」


「ごめんごめん! ぼーっとしてたから、驚かしてやろうと思って」


 変な人じゃなくてよかったと、ほっと胸を撫でおろす。


「こんにちは、クーナさん。レアがごめんなさいね。今日はお休みなのかしら?」


「はい、さっきお買い物を済ませたところです」


 そう言うと、レアが首を傾げて言った。


「あんた、ガラス窓に映った自分なんか見て、どうしちゃったわけ?」


「あ……」


 二人の顔に「?」が浮かんでいる。思わず、二人の耳としっぽを見てしまった。

 フワッフワだ……。対してわたしのしっぽは、ボワボワしているような……。


「あのぅ……」


 そ、そのふわふわしっぽは、一体どうしているのでしょうか……。



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