ミッションクリア!


 シモンに魔術で足場を作ってもらって、倒した地底魚のお腹の上からみんなのところへ移動する。


「クーナちゃん、よかったあ!」


 ルージュさんはわたしを抱きしめてよかった、よかったと何度も呟いた。

 みんなもほっとしたようにわたしを見る。


「るぅうううう!」


 わたしに突進してきたのはルルだ。ルルはモッフモフの体をわたしに擦り付けて、るうるうと鳴いた。どうやらかなり心配させてしまったらしい。


「ごめんね、ルル。何回も……」


「るぅうう……」


 相当心配してくれていたのか、ルルはポフポフとわたしの胸を叩く。


「みなさんも……本当にごめんなさい」


 とりあえずペコっと謝る。マキちゃんがため息を吐いた。


「もう! びっくりしましたよ。勝手に飛び出しちゃダメじゃないですか」


「ご、ごめんなさい……お怪我、なかったですか?」


「私たちは大丈夫です。それよりクーナさんがまさかあんな大胆なことをするなんて、思いませんでしたよ?」


 そう言われて、恥ずかしくなる。


「何言ってんだ。こいつは結構とんでもないことするやつだぜ」


 キリクさんが呆れたようにそう言う。


「なんでいっつも一人で飛び出しちまうんだ」


「うう……」


「クーナ、もっと俺たちを信じてくれ」


 ギアに真剣な顔でそう言われる。そうだよね、わたしが一人で飛び出すよりも、みんなを信じて頼った方が絶対によかった。


「ったく、もっと俺たちを頼れよな。みんなだってそう思ってるよ」


「君が助けを求めれば、どんな時だって俺たちは手を差し伸べる」


 キリクさんとギアにそう叱られて、わたしはごめんなさいっ! と頭を下げた。でもわたしのためを思って叱っていることがわかって、こんな時なのに少し嬉しくなってしまう自分もいる。


「まあなんにせよ、クーナちゃんが無事ならそれでオッケーだ! 終わりよければ全てよしってやつさ! それにしてもクーナちゃんの運動神経、結構すごいよな」


 わたしがペコペコしていると、ガントさんは感心したようにそう言った。

 そういえばモコモット爆発事件の時に、キリクさんに同じ反応されたっけ。


「次があるとは信じたくないですが……今後は私たちを頼ってくださいね」


 シモンにそう言われて、ショボーンと頷く。空から舞い降りてきたモコモット達が、わたしの頭や肩に乗った。心なしか、進化してからの方がちょっと軽い。


「ピイ」


「ピュルル」


「ピュイ!」


 三匹揃って、仲良く大合唱。それを聞いていたら、みんな力が抜けてきたのか、ほっとしたように笑った。よかった。許してくれたみたい。


「ま、とにかく怪我がねぇならいいだろ」


 キリクさんはそう言って頭をガシガシかく。


「モフモフ可愛いの」


「モフモフ欲しいー!」


 ムイムイとマイマイは宙を飛び回ってモフモフ達を追いかけ回した。

 ピピ達は鳴きながら逃げ回る。


「クーナちゃん、無事でよかったわ」


 ステラさんがウィンク。そしてボフッとその豊かな胸にわたしを抱き寄せる。


「わっ!?」


「クーナちゃんに怪我させたら、ルーリーたちがどんなに怒るかしれないからね」


「!」


 そうだ。この依頼はきちんと達成できたんだ。だったらもう、帰れる?


「地上へ戻ろう」


 ギアが言った。シモン達も頷いている。


「クーナ、何はともあれ、よくやりました。目標達成ですよ。しかもこれはSランク級の依頼です」


「!」


「ってことで、帰ってお疲れパーティでもしましょうか」


「パーチィなの!」


「パーチィなのー!」


 ワッとみんなが盛り上がる。いろいろあったけど、とりあえず無事、帰路へつけそうだ。

 わたしはモフモフ達を抱きしめながら、笑顔になった。


「……はい!」


 こんな感じで、わたしの初めての冒険は幕を閉じたのだった。

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