ブラッシング
キリクさんが出発してから、数日が経った。彼のことは心配だったけれど、わたしができることは特に何もないので、いつも通り暮らすのみだ。今日は午前休だったので、モフモフたちのブラッシングをしている。
「ルル、気持ちいい?」
「きゅるぅ~!」
「ふふ、そっか」
ピンク色のモフ毛にブラシを通すと、ルルは目を細めて甲高く鳴いた。ふわふわとした毛を撫でながらブラッシングすると、ピピ達も寄ってきて、自分もやってくれと体をすりすりしてくる。
「ちょっと待ってね」
モコモット達に断ってから、ルルに今日はどのリボンがいいか聞いてみる。これこれ、と赤色のリボンをさしたので、赤いリボンを首のところで巻いてやると、ルルは大満足したのか、わたしの太腿からやっと退いてくれた。
「さあ、次は誰がいい?」
「ぴーっ!」
「ぴぎゅ!」
「むぴー」
三匹がそれぞれ突っ込んでくるものだから、ベッドの上でくすぐったくて悶える。
「はいはい、じゃあ今日はリリからね!」
「ぴー」
いつもマイペースのリリを手にすくって、小さめのコームでモフ毛を梳いてやった。
黄色いふわふわの、赤ちゃんみたいな毛。リリはつぶらな黒い目を閉じて、気持ちよさそうにしている。もったりとしたその毛をコームで梳いていると、リリの毛の間で何かがチカリと光った。
「……?」
一体なんだろう?
目を細めてよく見てみると、リリの毛の一部がふわふわと光っているようだった。
「わあ! これ何?」
「ぴ?」
よく観察してみると、一部分だけでなく、あっちこっちで薄らと輝いているようだ。
「なんで光ってるの?」
そう聞いても、リリは首を傾げるばかり。そうしているうちに、ピピとララもわたしのところへ飛んできた。見て! というようにお尻を向けたり、羽をバタつかせたりしている。
「あれ! みんな光ってる!」
なんで気づかなかったんだろう。
モコモット達は、よく見るとあっちこっちがピカピカと光っている。
「もしかして……本当に進化するのかな」
ルルが興味深そうに、モコモット達をくんくんした。
モコモット達はそれぞれ体を光らせつつ、ブラッシングを要求してくる。
「あ、ちょ……くすぐったいってば」
ルルも含めて四匹で襲ってくるものだから、わたしはベッドの上で悶えてしまったのだった。
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