第25話 それで?
「それで? 」
「それで……」
綾香さんが興味津々に聞いてくる。朝起きたら裸にされてた。
「頭痛い……」
怠いし起きる気がしない。
結局僕は眠気に耐えられずに、井達さんとジェシカさんの会話を全部は聞き取れなかったんだ。
部下だと言うのと同じ沿線に住んでるのを理由に綾香さんと僕はタクシーで帰宅した。
僕はやっぱりお酒は少ししか飲めない。綾香さんはかなりいける口。
「ジェシカさんはワイナリー買いたいんだけど、そこのオーナーにパートナーのいないワーカーには売らないと言われて、それで再婚してって話だった」
「ジェシカ……めちゃくちゃ。で、井達くんは? 」
「相変わらず身勝手だなぁ〜って、言ってた」
井達さんも大変なんだなって思った。入社した早々にジェシカさんと結婚したかと思ったら、ロスに戻ってイラストレーターになると言われて捨てられるとか。
ネットのあるご時世なんだから日本じゃダメなのか? と言ったところで「ネットがあるからやり取り出来るじゃない? 」って別居されたなんて。
ジェシカさん、なかなか酷い。
それでもチョイチョイ行き来して、離婚した後も付き合いが続いちゃったとか……離婚した意味がよく分からない。
「で、どうするの、再婚するの!? 」
綾香さん、あったかぁ〜♡
珍しく綾香さんからベタベタしてくる。興味のある話を聞き出したいみたいで、素肌を擦り付けて積極的。僕は話をわざと焦らして耐えてる。
綾香さんって井達さんの事どう思ってるのかなぁ〜って気になってはいたんだけど、ジェシカさんに会った後だと、すべての詮索が無駄な気もする。
振り回される井達さんの方に興味がある。ただし、僕は巻き込まれたくはない。
「ねー、覚えてないの? 」
「うーん」
「もう、めんどくさいなぁ〜。いいや、井達くんに直接聞くから」
スマホに手を伸ばす綾香さんを制して、布団を深く被せた。ちょっと待て! 僕はそういう状態じゃなくなってるんだけど!!
「朝っぱらから邪魔したら不味いんじゃない? 」
「……あらそう」
若干ネタバレさせちゃった。
「綾香さんあったかぁ〜」
「そう? 」
ペッタリくっつくいて温まってると眠くなる。気分は眠たいんだけどついつい刺激しあってマッタリ♡ 身体のどこを触っても温かくて気持ちいい。
「別に風邪ひいたりしてないよね? 」
「全然? 」
ちょっと心配したけど、綾香さんはとろけてふわっとしてる。こんな日曜日の朝が毎週あって欲しいなぁ〜と願う。
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