第11話 バレてた 最終話♡?

 要くんと秘密のお付き合いがしばらく平穏に続くと思っていた。


 ある日、会社の廊下で井達くんに声を掛けられると海外出張のお土産をもらった。


「お前のわんこにやるよ」と渡された紙袋を開けると、男性用下着だった。


「え? 何? ちょっと、なんで? わんこなんか飼ってないから!? 」


 慌てて返そうとしたら、井達くんに腕組みされて見下ろされた……


「いや、『お前にわんこのやるよ』って、なんか、俺、言い間違えた? 」


 ボクサーパンツに犬柄のプリントだった。


 私が口をぱくぱくさせていると、井達くんは広い背中を壁にしてサッサと行ってしまった。


「あううぅ……」


 な、なんでバレてるの!?

 私、死ぬの?

 社会的に死ぬの?


 海外出張が頻繁な井達くんにバレてるって事は、社内中にバレてるって事じゃない??


 頭を抱えフラフラしながら部署に戻って、要くんに伝えると、要くんが井達くんの情報源だった。


「牽制しといた」


 なんてこったい……強者だわ。わんこのくせに、あの猛獣に挑みかかるとは……


 そこからがやたらハイスピードだった。

 あれだけちゃんと避妊していたはずが……


 どうしてか授かり婚になってしまった。

 おかしい、おかしい。


 渋々と順番に注意を払って、要くんと二人で社内報告に回る。


 拍子抜けするほどプロジェクトメンバーをはじめ、部署の皆さんに意外と温かく祝福された。


 わんこ系要くん、社内アイドルに手を出したのを、もっと責められるかと思っていたのに。


 プロジェクトがまとまった流れもあって社外までおめでたが伝わり、恥ずかしいほど派手婚になってしまった……。


 同じ会社に居座ってたらそんな事もあるよね。


 招待客多過ぎ……。

 半分被ってるからまだマシ?


 井達くんは、あれから元妻とよりを戻して再婚した。


 要くん家は勢いで二世帯住宅にリフォームすると言い出した。まだまだ定年前のお義父さん、専業主婦のお義母さんが、めちゃくちゃノリノリで迎えてくれるし……。お二人ともまだまだ若い。早く結婚する家系なんだろうか。


 育休産休はしっかり取る予定。


 要くんは新しいプロジェクトに加わると、メンバーで一番年下なのに唯一の既婚者という変なポジションになってた。楽しそうに仕事をしているけど、頑張って早く帰ってくる。


 ——幸せです。


 FIN


(と、言いながら続きます。要くん目線)

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