第12話 ちょっと寒い(要くん目線)
「石膏で型を取っちゃいたい♡」
綾香さんの独り言って、相変わらずどうかしてる。
僕は石膏を水で溶いたものを身体に塗られるのを想像して「それはさぞかし冷たいだろうなぁ」なんて思ってる。
綾香さんにならされても良いかなって、ドキドキする。
薄明かりの部屋で、シャツを脱がされてズボンを外されて、眠っているふりして無抵抗に待ってても……綾香さんの独り言がちょっとずつ離れて距離を保たれて遠くなる。
眠ってるふりなんかしなきゃ良かった。
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「私、ホスト連れてるように見られてるわよね? 」
って、ニコニコしながら半分本気で言ってる綾香さんもどうかしてる。
「僕なら呼ばれますけど? 」
「そうね、部下に投資した方が健全ね」
そう言って、ガードを決められて僕を人畜無害に仕立てた綾香さんに乗せられるしかなかった。
わんこ系なんて言わせるのも、周りを油断させる処世術なことぐらい分からないのかなぁ。結局は、みんなにとって都合の良いキャラなのにね。得することもあるけど。
——寒い。
綾香さんがその肌で温めてくれるのかと待ってたのが無駄だった。さんざん人の身体を裸にして眺めて冷やしときながら、最後は布団かけておしまい?
わんこポジション、良いことないなって思い知った。
床に転がしたクッションの上に犬みたいに丸くなって寝てる綾香さんの方が、よっぽどわんこみたいだ。
しばらくして、もそもそと身動いでいた綾香さんの寝息が聞こえる。僕がトイレに行っても気が付かないほどご就寝になってる。
撫でて撫でてハグしてキスして、綾香さんの方がよっぽど僕のわんこだよって……したい。
明日の朝、絶対に告白しようって決めた。
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