第9話 ピザとワインとほにゃらら
私はカラオケマイクを握ってエコーを付けて要くんにツッコミを入れた。
「お話がありますって事だったはずだけどぉ〜? 」
『どぉぉぉ……』という音が密室に響く。
要くんは、カラオケ装置のマイク音源のスイッチを切った。私のツッコミが物理的にねじ伏せられた。カラオケあるって連れ込んだくせに!!
「ありますよ、話」
「私もあるのよ」
私だってこうもされたら態度を変える。要くんが口を固く
「予定通り生理が来ました。これで安心でしょ? 嘘はないわよ? 」
「……綾香さんが嘘をついてメリットあるんですか? 」
「……ないわよ」
なし崩しとは言え合意のセックスだった。とは言え、要くんの若気の至りでは済まされないところはある。
メリット……は、要くんを出来ちゃった婚にもつれ込む? ちょっとは考えちゃったわよ、わんこ夫。
「綾香さんは、井達さんと付き合うんですか? 」
「ん? さっきも言ってたわね。なにそれ」
「井達さんと先週デートしてましたよね? 」
「えっ? そんな話にはなってないわよ」
どこでそんな情報を?
もし社内で噂になってるならマズいわね……
どっちも独身なだけに
二人っきりのディナーなんてダメだったかしら。
「先日は久々に食事をしようってなっただけよ」
「最近、僕が外回りしてる間に何度か接触があったみたいだったから……女の先輩たちが噂してたし、見かけたし……」
「えっ! それは困るわ」
「じゃぁ、なんで綾香さんこの頃ご機嫌なんですか? 」
「あれはぁ、生理が来たから浮かれてたのよ! 社会的に死ぬところだったんだから」
いや、また新たな社会的に死ぬかも案件が起きかけてるけど。
「安全日だったから大丈夫と言ってましたよね? 」
要くん……女性の身体を色々知ってるようで分かってない……
「あのね、何あるか分かんないから。久々のセックスの刺激にホルモンバランスに影響が出たりするから! それだけご無沙汰だったんだから! ……ぁぅっ! 」
って、私、なんか、ぶっちゃけ過ぎた!
綾香、 痛い、恥ずかしい……!!
両手で顔を隠しても何もかもが遅過ぎた。
要くん、ごめん、なんかごめんなさい!
「じゃあ、井達さんとは何でもないんですね? 」
「……そうよ? 」
「ぼくを遠ざけてたのは、井達さんが理由ではないんですね」
「? 要くん? 」
『ピーンポーン』と音が鳴った。
オーダーした品物が届いて、要くんが受け取り口から取り出す。焼き立てのピザの匂いが部屋に広がるが、オーダーした物を思い出して私は
ピザとワインとコンドーム
なんかのドラマのタイトルなら売れない痛いコメディーよ!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます