第7話 「良かったんですか」

 やったーーー!

 お月様来たよ!

 これでアンニュイな日々も終わる。

 一人カラオケも一人酒も楽しめる!


 月曜日の朝、ご機嫌で会社に着くと要くんが不機嫌だった。


 ちゃんと挨拶もするし受け応えも丁寧なんだけど、わんこな愛想がないと言うか……意気消沈。


 女の子たちも気に留めて、週末に何があったのかと要くんに聞くも進捗は上手くいってるし、何も問題なし。


『くぅ〜ん』って感じ。


 要くんが、女の子たちのフォローを受けて済まなさそうに笑顔を作ってる。


 こうやって庇護欲を掻き立てるところが罪作りというか、かわいいから許す! でも、なんでそんなに機嫌が悪いの?


 私はせっかく生理が来て安心してるのに、申し訳ない……タイミングをみて要くんに伝えなきゃ。


 もしかしたら、それが心配で気が気じゃないのかも知れないし。私が『責任とって』と迫って来るのが怖いのかも知れない。そう思うと躊躇う。


 そんな平日の数日間が終わった金曜日の夜、一人カラオケ店に入ろうとする私を要くんが捕まえた。


「綾香さん」


 録音しておきたいようなイケボで呼び止められて、私は怯んだ。そうだった……早く要くんを呪縛から解いてあげなきゃいけなかった。


「お話があります」


「私も、大した事じゃないけど伝えたいことがあるわ」


 にっこりと要くんを安心させようと笑顔を向けたのに、わんこな要くんが厳しい目付きで私を責める。


 ——私、何か悪いことした?


「井達さんは、良かったんですか? 」


「はいいいっ?? 」

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