第7話 人にあらざる者
敵の根城の入り口に集まる一同
入り口は狭く、恐らく迷路のような造りだろう
「この勢いで一気に攻略ね」
キョウカは淡々と足を進める、が
突然足を止めた
キョウカは感じただろう
そして亜真斗も感じた、大量の魔の気配
キョウカが言う
「敵の軍勢が迫ってきている」
「え!?」
「説明は後で、僕の力です」
「…挟み撃ち……退路なし…ね」
茂みからセンがあらわれた
「となれば二手に分かれるか」
マスクマンがいきなり仕切りだした
「恐らく根城は迷路のような狭い通路
霧夜の力は活かせないうえに味方を巻き込む恐れがある
パートナーの弥彦も図体が目立つ
そしてセンも遠距離、この3人が
平原にて増援の足止めを
残りの3人で攻め入る、これでどうかな?」
「ちょっと待って下さい
敵の本拠地に行くのに俺なんかじゃ戦力的に問題が」
亜真斗は自分の弱さを訴えかけたが
「君の力があれば、敵に出会わず大将のとこに行ける
後のことは私に任せてくれれば良い
これでどうだい?」
この短期間に亜真斗の能力を理解し
的確な作戦と絶対的自信を持ってマスクマンは言った
他に手は思いつかない
「いいわ、勝てないと感じたらすぐに退くけどそれでも?」
キョウカは不満そうに言った
「かまわない」
そう言いながらマスクマンは入り口に向かう
「キョウカ…大丈夫なのか?」
「建物内の方があんたの探知スキルで安全よ」
そして二手に分かれ、マスクマンとキョウカと亜真斗は敵本陣攻略
霧夜と弥彦とセンで増援の迎撃、足止め作戦を開始する
亜真斗達は、敵の警備を抜け奥に進む
敵の数から恐らく、大将まで目の前の所まで来たあたりで
マスクマンは突然立ち止まり言った
「そろそろいいだろう‥」
そう言いながらマスクを外した
「あんたは…東雲!?」
亜真斗もキョウカも驚きを隠せない
キョウカの父親、あの東雲弦治だ
「そうだ、久しいな亜真斗、
あの戦いぶり、そしてその口振り、
だいぶ記憶が封印されてるな?」
「あぁ、東雲達といたあの世界のこと、
全然おもいだせないんだ」
「そうか‥それは残念だ…
なら生かしておく必要はないな、むしろ憎い!!」
その瞬間、東雲から魔の気が溢れ出る
とっさにキョウカは銃を向けた
だがその瞬間に東雲は銃口を弾き上げた
「こいつを殺る前にお前に聞きたいことがある
何者だ?なぜその銃を持っている?」
僅かな沈黙のあと、キョウカは抵抗しようとするが
東雲に止められた
「騒ぐな、敵に気付かれるぞ?」
そのままキョウカはネジ倒された
「キョウカ!」
亜真斗はついキョウカの名を口にしてしまった
「バカ亜真斗…」
ぼそりとキョウカは呟いた
「やはりおまえだったか」
「東雲やめろ、あんたの娘だろ、手を離せよ」
「時渡り…実にやっかいな力だ
完璧な計画すら狂わす不測の事象だ
亜真斗よ、むすめだから殺せないと?
所詮は未来から来た存在
ここで殺したとで、未来で時渡りを止めれば
なんの問題も無い!」
東雲は懐から曲刀を抜き、振り下ろす
亜真斗は止めようとするが間に合わない
そんな一瞬な最中
亜真斗の周り僅かな魔の気が漂っている
霧夜が使った能力の残り魔だ
その残り魔が、亜真斗の気持ちに呼応し
東雲に向け不可視の刃が飛ぶ
振り下ろそうとした曲刀は弾かれ
宙を舞った
「亜真斗、貴様ァァ!」
東雲は逆上しながら、亜真斗に向け
2本目の曲刀を抜こうとしている
亜真斗はその腕を掴み抵抗する
「ふっざけんなぁぁあぁあ!!」
亜真斗の視界の端でキョウカがブチ切れているのが見える
そしてその銃口には、莫大な気が込められていた
「ま、まってキョウ…」
キョウカは止まらない
東雲に向かって引き金を引いた
莫大な気は空気を飲み込みながら東雲に向かう
恐らく当たれば、亜真斗も無事ではすまない
亜真斗とっさに、東雲を蹴り飛ばし
その勢いで、射線上から離れる
亜真斗も東雲も直撃は避けたが
莫大な気は足下で爆発した
大きな爆発音とともに、近くの壁は崩れ落ちた
そして鳴り響く警鐘
当然ながら潜入はバレて、魔族たちが動き出す
砂埃で東雲の姿は見当たらない
「バカキョウカ」
亜真斗はキョウカの肩を掴み、すぐさまその場を離れる
魔族の動きを読み、出会わないルートを選び逃げる
するとなにか違和感のある部屋に辿りつく
壁など至る所にうっすら青白く光る
術式が描かれている
そして奥の方には檻のようなものが
なにかに引かれるように
亜真斗は檻に近付く
その檻の中には黒に近い紺色の長髪の
きれいな女の子が捕まっていた
魔の気は感じられないが
人のようで人じゃない
だがすぐに半人半魔の魔人だと気付く
周囲に描かれた術式が魔力を吸い取っているせいで
魔の気が感じられなかったようだ
「君は一体?どうして捕まってるの?」
亜真斗は声を掛けた
すると女の子はゆっくりと目を開け話始めた
「なんじゃおぬしは、こんな所に何用じゃ
ん?、人間と魔に堕ちかけている人間か」
変わった口調、それに亜真斗に向かって魔に堕ちかけていると言ったのに対し、少しひるんだが
亜真斗は話しかける
「僕は亜真斗、こっちが…」
「自己紹介などいらんぞ立花」
彼女は自己紹介を遮った
一同は驚きを隠せない
「気にするな、昔だが身内に予言士がいてな
よく話を聞かせてくれた
子供だましの作り話かと思っていたがな」
そういいながら微笑む
「調律者 立花、それと時渡りの巫女娘 東雲キョウカ
わしをここから連れ出せ」
「なによその二つ名、しかも連れ出せって
こっちに何の得があるのよ」
キョウカは少し苛立っている
「まぁまぁ落ち着け、予言士のお話じゃよ
それにわしも、ふぁーっとじゃが少し予言ができてな
わしなしでこの先を進むのは
最初のダンジョンで休息所素っ飛ばして
準備もままならぬまま
助っ人がこの先はしっかり準備した方が言い
っと強敵フラグを立ててるぐらいピンチじゃぞ」
「いやなんだよその例えは」
「言ったじゃろ、ふぁーっとしか出来んて」
「わかりにくいが具体的すぎるわ」
亜真斗とキョウカはこれから
どうするのかを話し合う
「捕まっているとはいえ魔人よね?助けて大丈夫なのあれ?
いろいろやばそうよね」
キョウカは不安を隠せない
「確かに、予言てなに?どこまで信用できるもんなのかな」
謎が多すぎて考えが追いつかない
「おーい、お~い、未来は決まっておる
予言に出ておる、はやく出さんか
それに、長居しておると……やばそうじゃよ」
魔族たちが徐々にこちらの方にむかってきているのがわかる
それに戦闘音も聞こえる
「くそ…、キョウカ、助けよう
考えてもしかたない、直感がそう言っている」
「亜真斗、ちゃんと責任とりなさいよ!」
キョウカは檻の支点らしきところを
撃ち抜いていく
術式の発光が消え、檻は無力化した
扉を開け、彼女は出てきた
「ご苦労じゃった、わしの名は
ラドラス・ルイ・アスモデリウス
よろしくたのむぞ」
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