第5話 過去、未来、現在
「んでもって3人で生き抜き、現代に帰ってきたって訳だ」
亜真斗は意気揚々と語る
「ちょっと待って、はしょりすぎよ
もっと色々、大事な内容あるでしょうよ!」
キョウカは鼻息荒げ食らいつく
「いや、ごめん 実はなんか記憶が飛んじゃってるみたいでぇ」
キョウカは呆れていた
「でさ、その銃はどやって手に入れたの」
恐らくトーコが持っていたのと同じだ
亜真斗は冷静に質問する
するとキョウカは、少し眉間にしわを寄せたが
すぐに答えてくれた
「簡単にわかりやすくいうと、この銃は母の形見」
「ほんでもって亜真斗が行った異世界てのはほぼまちがいなく、
この世界の過去ね」
亜真斗は冷や汗が止まらない
続けてキョウカは言った
「私の母の名がトーコで
そして私の名字は東雲なの」
亜真斗の浦島状態は止まることを知らなかった
「てことは、その過去てのは約20年ぐらい前てことか」
思考をフル回転させ、亜真斗はなんとか現状を、把握しようとした
「残念ね、それ以下よ 具体的にはわからないけれども、実は私自身も未来から来たの」
さらなる追い打ちが亜真斗を襲う
「いやいや、情勢ての??違いすぎませんか
あんだけ魔物とドンパチしといて
この世界では魔物、なんですかそれ?って勢いですよ」
「ちょっとだまって、ちゃんと説明するから反論禁止」
キョウカは少ししかめっ面をしている
短気が発動したのだろう
「ドンパチしてた魔族殲滅戦、それが急に魔物達がおとなしくなったの
理由は恐らく
戦力強化の為に行った、次元召喚術ね
簡単に言うとこれは、未来から戦力を召喚したってこと
そのせいでまず、勢力争いの内乱は起こるわ
そして時が進むと、戦力の駒達が次元召喚によって、過去に消えていく
そのせいで魔族たちは衰退し
気付けば魔族は姿を消して、人類の勝利ー
で終わればよかったのだけど
突然、人間達の記憶から[魔物]という存在が消えてったの
それがいまの世の中ね」
「そして、この私がいる時代で
身を潜めていた魔族共が突然現れたの
人間達が魔物を忘れ、戦う術を無くしてしまった時を狙って
もちろん戦える者は応戦したんだけど
魔族は十分に力をつけていた
それに[アポカリプス]と呼ばれる最凶の魔物
こいつには誰も、手も足も出せない馬鹿強さ、敵味方、区別なくすべてを消し去っていく
もう人類には滅亡しか残っていない状況よ」
「だから私は元凶を、断つために過去に渡ってきたって訳 理解した?」
亜真斗は自信なさげに頷く
「とりあえずは魔物を狩りつつ、私の父
東雲弦治をさがしましょう
父ならなにか知ってるはず」
「捜すってあてはあるの?」
「ない」
キョウカは即答した
「けどこの時代の父は、魔族を追いかけ続けて、ほぼ家に帰ってこなかったの」
「だから魔物狩ってたらいつかは出会えるはずよ」
根拠のない自信に亜真斗は呆れている
「あ、もし父に出会っても
私が娘ってのは内緒だからね
どう未来が変わるかわからないから」
「わかった、あと俺からも1つお願いいいかな?」
亜真斗は突然真剣な、どこか影のある顔をした
「この世界に帰ってきた直後、
俺の実家が燃やされ、家族が行方不明なんだ」
「それも一緒に捜してくれってお願い?」
キョウカは恐る恐る聞いた
「なんの根拠もないんだけど
多分、魔物の仕業だと思う
いや、絶対そうだと俺の心が言ってる」
「だから、手伝ってとは言わないけど
俺の中での優先事項はその魔物への復讐だ
これだけは忘れないでいてほしい」
キョウカはゆっくりと頷いた
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