第2話 金色の装飾銃との再会
また1つ、記憶のモザイクが晴れようとしている
だがその前に、銃口を向けながらその少女は言う
「あなたから多量の魔の匂いがします。何者ですか?場合よっては撃ちます」
いまさらだが亜真斗は22才で
その少女は18~20才ぐらいだろう
そんな子が銃を突きつけ魔の匂いだの
亜真斗はもう考えることを投げていた
異世界の謎、実家の火事、現代の魔の気、自分より年下らしき少女の魔発言と装飾銃
亜真斗はもうどうなってもいいと思い答える
「知るか!好きにしやがれ!」
その時、亜真斗も感じていただろうが、亜真斗の体からわずかにだが魔の気が溢れていた
少女は少し表情を強ばらせ少し間を置いてから
声を僅かに荒げながら言う
「なら答えよ この銃の前でおまえの名を!!」
亜真斗の晴れかかっていた1部のモザイクが晴れた
だがその記憶を辿る前に亜真斗はカッとなり言い返す
「立花亜真斗だ!お前より年上のはずだ 口の利き..」その瞬間少女はなにかを口走りながら引き金を引いた
銃声と共に亜真斗の頭に衝撃が走り
亜真斗は視界が真っ暗になり倒れ込んだ...
「俺は死んだのか?」
亜真斗は今、不思議な空間にいた
浮いているのか浮いていないのか
そして風景にさまざまな映像が流れている
「死後の世界なのか?それともいわゆる走馬灯?」
亜真斗は現代に帰ってきてからようやく
落ち着けた気がした
楽になった気がした
そしてさまざまな映像に目をやると
亜真斗の幼少期など、亜真斗の記憶の断片が映像化されているらしい
見回すと、モザイクのかかった映像が無数に集まっているエリアがある
亜真斗はそのあたりに移動しモザイクの映像をかき分ける
すると記憶にない、いや思い出せなかった
異世界に召喚された時の映像が鮮明に
僅かに光を放っているよう映し出されている
亜真斗の記憶が戻る、完全ではないが
異世界の出来事や出会った人達の1部
金色の装飾銃
そして、どのようにして生き延びたのか
少し周りが騒がしい
一段と大きな映像、さっきまでいた路地裏
度々鳴る銃声、そして赤寄りのオレンジ髪の少女、悪魔の影
そして地に這う自分自身の姿が
亜真斗は気づいた、自分はまだ死んでいないことに
そして助けなければいけない気がした
聞かなければいけないことがたくさんある
亜真斗は目覚めた
すぐに走り出し、少女の手を取り、悪魔のいない方向へ
だが少女はすぐに手を振りほどいた
「なにやってるんだ、早く逃げないと!」
少女は血相を変え言う
「何故逃げる、悪魔を狩るのが私の使命だ!
そしてあんたにも...」
少女は言葉を詰まらせた
そして困惑した顔で言う
「あんた人間なの?!」
亜真斗には意味がわからなかったが
話す間もなくすぐ後ろに魔の気が
やばい...
亜真斗には魔を察知する力があっても
倒す術がない
咄嗟に振り返った
それと同時に少女も銃を構え
敵の姿を認識する間もなく引き金を引いた
装飾銃から放たれた青白い閃光は
すぐ目の前、亜真斗達に襲いかかろうとしていた悪魔の額に命中した
「...すごい」
思わず本音が出て、彼女の顔を見たが
彼女自身も驚いた表情をしている。
悪魔達の気配が消えた
恐らく逃げたのだろう
「ひとまず休めそうな所をさがそう」
彼女は頷いた
近くに廃ビルがあったのを思いだし、足を運ぶ
2年の月日が流れていたが廃ビルは健在だった
雨が降り出してきたので
ボロボロだったが選んでられない
扉を壊し中に入り、腰を据えた
そして彼女に問いた
「まず、なんで俺は撃たれた?なんで生きている?君のその銃はなんなんだ!」
少し高圧的だったのかもしれないが
質問したいことが山ほどあった内
自分なりにうまく3つに抑えられた気がした
けれども彼女は不機嫌そうな表情で言う
「君じゃない、キョウカよ」
「あ、ごめん、俺は亜真斗」
「知ってる、さっき聞いた」
少し沈黙があり、再びキョウカが口を開いた
「この銃には特殊な力があるの
まず1つは、大気の力を取り込み弾丸に変える」
「そしてもう1つは、所有者の能力を取り込み、増幅、もしくは昇華させ使用する力」
亜真斗は聞いた覚えがあったがとりあえず頷いた
「そして私の能力 っていうか恐らく父の能力の片鱗、魔族の精神に直接干渉し惑わしたりとかね」
それも亜真斗は知っている気がした
「その力をこの銃は昇華させ、魔族を従属契約させるの、ぽんぽんと使えるものじゃないし、うまくいかないことだらけよ」
亜真斗は思わず話を割った
「待って、その力で俺を撃った訳!?」
さらにキョウカは不機嫌そうな表情になる
「あの時のあなたからは魔の匂いが溢れ出ていた
だから私はあなたを魔人と勘違いした
半人半魔の魔人、半魔なら従属契約させやすいと思ってね」
また亜真斗は被せるように話す
「で、失敗したって訳だよな?俺はにんげ...」
キョウカは少し短気のようだ
苛立たせながら話をねじ込む
「あんたの力、魔族レーダーみたいなもんよね」
亜真斗は驚きを隠せない
「やっぱり…あんたの力を私は共有している、つまり契約は成立してる訳」
「なんだよそれ、意味わかんねぇよ
俺は人間なんだよ!さっさとその契約とやらを無効に」
「出来るならとっくにやってる!
そんな簡単なものじゃないの!」
「それに私が死ねばあんたも死ぬ、契約よ」
亜真斗はもうどうすればいいかわからない
「契約を解く方法をさがす、だからそれまでは手伝ってよ、魔族ハンターを」
亜真斗には他の選択肢が見つからなかった
「わかった、でも俺には魔族と戦う術もなければ
大した力を持ってねえぞ」
「ふふん、でもその力、私には役に立つ」
キョウカのどや顔が鼻につく
おそらくさきほどの悪魔の奇襲を、
俺の能力で察知し一瞬で返り討ちに出来たことがさぞかし嬉しかったんだろう
「とりあえずさ、話してよ、あんたのこと
次はあんたの番だよ」
「あんたじゃない亜真斗だ」
亜真斗はモザイクの晴れた記憶、異世界の話から語る。
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