23:よく分からない人
「一通り館の説明をするわ。こちらに来て」
二人はリナルディについて行く。
後ろを歩きながら、耳元に何やら通信が入った。
『こちらヴィラ。二人共、聞こえてる?』
「聞こえてます」
「私もです」
二人とも耳元に手を添えた。
片耳には小型の機械が装着されている。
かなり小さく、透明なので目立ちにくい。
これは互いに連絡が取れる魔法具だ。
しかも最新機器らしい。
今までは手のひらサイズの機械が主流だったようだ。というのも、この魔法具はまだ一般的には使われておらず、上官たちが実用化に向けて先に使用しているらしい。が、さらに改良を重ね、今まで以上に連絡が取りやすくなっている。
魔法兵団で開発され、仕事で使えるか試してほしいと、科学班に頼まれた。機械が動くのは魔力が主なようで、魔力のないアンネは、魔力が入った瓶を所持している。最近やっと初めて魔法具を使ったガラクは「技術の進歩はすごいなぁ」とのんきに笑っていた。聞けば支給されてから半年経っても使用していなかったらしい。
『了解。合図が出たら、作戦通りによろしくね』
「「はい」」
「そういえば、その人物のお名前は?」
説明を受けたあと、アンネが質問する。
するとリナルディは少し困ったような顔をした。
「それが彼、名前を言ってくれないの。殿下に似ているから、みんなからは『殿下』って呼ばれているわ」
フィーベルは少しむっとする。
殿下じゃないくせにそう呼ばせるのはどういうことだ。
すると表情で分かったのか、苦笑された。
「彼が呼ばせているわけじゃないのよ? それに、彼は殿下のことを何も言っていないの」
「どういう意味ですか?」
「殿下にお顔が似てるっていうのは周りから言われたらしくてね。その噂が独り歩きして、今に至るみたいなの。それに彼、私におかしなことを言ったのよ」
リナルディはその人物の相手をしたこともあるようだ。一緒におしゃべりをしたり、お酒を飲んだり、一緒に食事をするなど軽いことのようだが。
「『そろそろ俺のことを広めてくれないか』って」
「え……?」
「ガラク隊長から聞いたけど、みんな彼のこと知らなかったんでしょう? 夜の街ではここ数か月、彼の話で持ち切りだったわ。でも城には届いていない。殿下に似ているのなら、真っ先に届きそうなのに。それに、こっそり私に情報を伝えるように言ってきた。お客様の情報を私達娼婦が勝手に流すことはできない。……だけど、私が城の人達とつながっていることを知っていた。そう言われたから、私はガラク隊長たちに伝えたの。彼には謎が多い。でも一つだけ言えるのは、かなり頭が切れるということよ」
こちらが思っていたことと、今リナルディが話してくれた内容が、若干異なっている。その人物自身が殿下の名前を言いふらしていたのだと思っていた。容姿がよく似ているから。そのせいで、クライヴの悪評が広まってしまうと思っていた。
だが実際はその人物が言ったわけではなく、周りが言いだした。そして今度は本人が周りに広めて欲しいと頼んだ。まるで、自分を見つけて欲しいと言わんばかりに。
『……なにが目的なんだろうね』
魔法具の通信は入ったままにしている。
ヴィラも分からない、といった声になっていた。
「とにかく、捕まえるのみですね」
フィーベルが静かに、だが強い意志を感じさせる声色を出す。するとアンネも頷いた。姿は見えないが、おそらくヴィラも同じように頷いていたことだろう。
あまりにも相手の情報が少なすぎる。どんな人物なのかも分からない。だが、もし挑発してくるような危険な相手だったとしても、クライヴのためにも、必ず捕まえる。フィーベルは仕事の顔になっていた。
「ようこそ、リフレヴァースの館へ」
娼婦の女性たちが一列に並び、客人を迎える。
その中にはアンネの姿もあった。フィーベルも娼婦たちの傍に立ち、周りを見渡す。客人はもちろんのこと、娼婦や他のスタッフもみんな、目元だけ仮面で覆われている。自身の姿がバレないのはいいことだが、同時に相手がどんな顔をしているのか、どんな人物なのか把握がしづらい。
フィーベルは護衛という立場なので、遠慮なく客人を観察する。開店時間になるとわりと一気に人が来るようだ。愛想笑いをしながら挨拶をしつつ、今回話題に上がっている人物がいないか注意深く見て回る。リナルディは相手の姿が分かっているので、いれば合図をしてくれることにはなっている。が、彼女も仕事中だ。全て任せるわけにはいかない。彼の髪色はどうやら亜麻色らしい。髪色を確認しながら探していると、見覚えのある制服が目に映った。
「うおっ、見ろよ美人ぞろい……! やっぱり高級娼婦は違うなぁ!」
「おいこら、少しは声を落とせ。俺達の品格が疑われるだろう? ……けどやっぱ来てよかったな……!」
青よりも深い藍色の制服に身を包んでいる騎士に、深緑色の制服に身を包んだ魔法兵。仮面のおかげで誰なのか分からないものの、明らかに身内(同じ城で働く者)が来たことで、フィーベルは少しだけ焦る。正体がバレないよう、より男性感が出るように背筋を伸ばした。するとアンネも同じことを思ったのか、いつもより口角を上げて微笑んでいた。
「あ! 俺あの黒いドレスの子がいい!」
そう言われて二人共身体をびくつかせた。
黒いドレスを着ているのはアンネだけだ。華やかな世界でもあるので、他の娼婦たちはもっと明るい色のドレスを着ている。アンネはあえて黒を選んだ。他の人と違う方がかえって目を引く場合もあると、そう考えたようだ。……別の意味で目立ったかもしれない。
ここでアンネに指名がつくと、後から来るであろう目的の人物に会えない可能性がある。それはさすがに阻止しないといけない。フィーベルがその場を歩き出し、声をかけようとした。
が、それよりも動きが早い人物がいた。
後から来たのか、茶黒の革のブーツを鳴らしながら速やかにアンネの目の前に来る。背の高いその人物は上等な質の洋服を身にまとっていた。髪は黒に近い藍色。夜空を思い起こさせる髪色に、一言も発さずに口を結んでいる。どことなく威圧感があり、アンネを指名しようとした騎士もその空気に圧倒されていた。
彼はすっとアンネの手を取り、その場を歩き出す。
向かった先はおそらく二人きりになるための部屋だ。何も言わずに行動され、みんなが呆気に取られながらその様子を見ていた。フィーベルとアンネでさえ、早すぎる動きに反応が遅れる。
「あの、」
さすがにこのまま連れていかれるのは困る。アンネはすぐに掴まれた手から逃れようとした。が、その青年は彼女に耳打ちする。するとアンネは驚いたのか、少し口が開いた。
(……え?)
どういうことなのだろうとフィーベルはアンネを見つめる。するとアンネがこちらを見た。見た上で、頷く。二人は並んで部屋に向かってしまった。
『どうしたの? 大丈夫?』
「は、はい」
アンネの傍には先程の客人がいる。
ならば迂闊に応答できないだろう。フィーベルがヴィラに短く答える。
アンネは動じる素振りもなく、あっさりと先程の青年と一緒に部屋に向かった。ということは「危険ではない」ということだろう。アンネは警戒心が強い。男性には特に。それは日頃からだ。そんな彼女が何も言わずにその場を去るということは、大丈夫なのだろう。
とはいえ、フィーベルは心配だった。
男性と二人きりだ。二人きりという状況が一番危険であるのに、本当に大丈夫なのだろうか。それとも彼のことを、知っているのだろうか。フィーベルは心の中で祈る。大声でも上げてくれれば遠慮なく助けに行くことができる。そうならないことを祈りながら、そのときのためにすぐ動けるよう、耳を傾けた。
一緒に部屋に向かうが、静かだった。
アンネも、客人も。無言の時間がいやに長い。
部屋に到着し、ドアを閉める。
中はさすが高級娼婦館なだけあり、豪勢な造りになっていた。机に椅子にベッド。少し暗めの濃い赤色をした家具に、金色の刺繍がたっぷりある。どの部屋にも同じものが置かれているが、一つ一つに刺繍が施されており、それは手作業でなければ表現できない複雑なものだ。あまりの緻密さと美しさだが、アンネもその青年も、そんなものには目もくれない。
「まさかここで会うとは」
静かに言葉を口にしながら、仮面を取る。
そこには綺麗なラピスラズリ色の瞳があった。
真っ白の肌につり目だが大きい瞳。宝石のように輝くその瞳に見つめられると、普通の女性なら頬を染めてしまうかもしれない。だがアンネは顔を歪めた。
先程彼に耳打ちされた言葉。
『アンネ殿』
自分を知る人物であることは分かった。
まさか彼……イズミだとは思わなかったが。
イズミ・エドウィン。
魔法兵。歳は二十歳。
彼の個性魔法は「水」。液体だけでなく気体さえも自在に操ることができる。魔法の実力だけでなく、真面目で難しい仕事も難なくこなす、優秀な人物なようだ。魔法兵団に入団したときから将来を期待されており、その期待も込めて唯一ヴィラ隊の隊員として配属を許可されている。ちなみにヴィラ隊は特殊で、ヴィラとエダン、そしてイズミしかいない。ここにフィーベルも加わったのだから、それなりに上官から期待されている隊であることは伺える。
普段は寡黙で、彼が言葉を発している姿を見かけることの方が少ない。常に前だけを見ており、左右に顔を動かしている姿を見たこともない。だが、その無駄なことを言わないところが女性に人気を集め、密かに彼を想っている女性が多いと聞く。容姿だって凛々しく目を引く。メイド仲間の中にはファンもおり、彼の情報や噂は、自然にやってきた。
それだけ周りに注目されていれば、さすがのアンネもその人物を目で追ってしまうことがある。いや、メイド仲間たちの方が騒ぐのだ。騒ぐから、たまに見ていたことがある。
すると、彼とよく目が合うことに気が付いた。
メイド仲間たちが「今私と目が合ったわ」「いいえ私よ!」とお決まりの台詞を言うのを聞きながら、アンネは目を逸らしていた。決して自分を見ていたわけじゃない。そう信じて。
そっと再度見れば、もう目は合わない。
いつものように、前だけを見ていた。
そんなことが、何度もあった。
「このっ!」
いきなりコップに入った水をぶっかけられ、アンネな全身びしょびしょになった。メイド服は黒だが、それでも濡れたことは一目瞭然だ。だがアンネは、動じなかった。
「どうして私の恋人に色目を使うわけ!? さっきも見ていたでしょうっ! 彼だってあなたのことを見つめてた。一体どういうことなの。ここのメイドの教育はどうなっているのっ!?」
式典の次の日。
客人の中には城に泊まる者もいた。
メイドたちは客人たちの世話もする。部屋に食事を運び、必要なものがあれば洗濯し、客人の要望に応える。いくらクライヴのお世話係といっても、他の仕事だって行う。それが当たり前で、普通で、どの客人に対しても丁寧に接するのがメイドの仕事だ。
丁寧に行ったつもりだった。色目なんて使ってない。使ってないのに、相手の方から熱視線で見られる。それをこちらのせいだと喚かれる。相手に恋人がいる場合は特にひどい。
「ねぇ、なにか言ったらどうなのよっ! それと、あなたは二度とこの部屋に来ないでっ!」
「大変申し訳ございません。代わりのメイドを呼んでまいります」
アンネは深く頭を下げ、その場を後にする。
ついでに自分の濡れた姿を隠す為、バスタオルを一枚手に取った。
すぐに仲間のメイドに連絡し、仕事を変わってもらう。心配そうな目で見られたが、笑って「大丈夫」と伝えた。
このようなことは今回が初めてではない。今まで何度もある。何かある度に「またか」と思った。アンネは幼少期の頃から、その美貌故か、変なことに巻き込まれることが多かった。いつの間にか男が群がり、友人の恋人に惚れられ、友人と決別するようなことも多かった。
いっそのこと嫌われようと容姿を気にせず悪くしてみても逆に同情からか男から言い寄られ、それを見た女性からは反感も買った。今では潔く自分の美と健康のために尽くしている。
男性に対する態度は決してよくないと思っている。よくしてしまえばなぜかみんな近付いてくるのだ。訳が分からない。他にも素敵な人はたくさんいる。わざわざ自分でなくてもいいというのに。
バスタオルを被りながら、早く着替えようと小走りで部屋に向かっていた。そのときにたまたまイズミに会った。いつも遠くばかりで、こんなに顔を近くで見るのは初めてかもしれない。男性にあまり近寄らないようにしているので、イズミも例外ではない。アンネは目を合わせないようにして会釈をし、通り過ぎる。すると彼は言葉を発した。
「
するとその瞬間、アンネにまとわっていた水が全て気体となった。メイド服に触れると渇いており、自分の髪も濡れていない。思わず振り返れば、イズミはこちらを見ていた。
水を自在に操り、その水自体を失くすこともできる。魔法の存在は知っていたものの、見たのは初めてだ。
「ありがとうございます」
声色が明るくなり過ぎないように気を付けながら、表情も微笑み過ぎないように気を付けながらお礼を伝えた。どちらも相手に気がないことを伝えるためだ。
するとイズミは真顔のまま背を向けて歩き出す。
これにはアンネの方が目をぱちくりさせた。
今までアンネがお礼を言って喜ばない男の方がいなかった。この言い方だと語弊がありそうだが、普通にお礼を伝えただけだ。それだけなのに、ついでとばかりに言い寄られたりもした。そうでなくても、嬉しそうにしたり、頬を赤らめている者もいた。だがイズミは、何も変わらない。
それが新鮮で、不思議で、だが興味が沸いた。
だからいつも言わないことを言ったのだ。
「あの」
すると相手は立ち止まる。
「なんで何も聞かないんですか」
ずぶ濡れになっているメイドを見て、普通は何か言うだろう。どうしたんだ、とか、誰にやられたんだ、とか。介抱しようか、とか。他にも大丈夫か、とか、何か労いの言葉をかけるとか。
だが相手はあっさり答えた。
「聞いて答えてくれるのか?」
「…………」
「だろう?」
どうやら彼はアンネのことをよく分かっているようだった。
そうだ。仮に聞かれても詳しいことなど伝えない。同情を誘うようなことはしない。弱さは見せない。隙を作れば、すぐにでも付け込まれる。分かった上で聞いたのだが、相手の方が一枚上手のようだ。
イズミは言葉を付け足す。
「言いたくないなら言わなくていい。だが、一人で傷ついているのは放っておけない」
言い終われば、イズミはこちらを見向きもせずにまた歩き出した。口数が少ないのは知っていたが、それ以上に何も言われないので何を考えているのか分からない。
アンネは被っていたバスタオルを手に持ち変え、その場を後にした。
仕事の持ち場に戻ろうとするとたまたまエリノアからの伝言を受け取り、ヨヅカを探しているうちにガラクに声をかけられる。そして今回の話を聞いた。だからガラクと共に三人に会いに行ったのだ。
バスタオルを洗濯しようと思っていたのに、あのまま持っていた。ガラクから詳しい話を聞いている間も、イズミのことがしばらく頭から離れなかった。
「どうしてここに」
短く聞く。
「それはこちらの台詞だ」
彼が返す。
「…………」
アンネは口にしなかった。
これは重要な仕事であり、迂闊に話すことはできない。この会話を聞いているであろうヴィラは何も言ってこないが、同じ隊の仲間がここにいることで、逆に動揺しているのかもしれない。
「言い方を変える」
急に宣言された。
「仲間はいるか」
「え?」
「仲間は、いるか」
再度同じことを言われた。
普通であればこの問いが何を意味しているか分からないかもしれない。だがアンネは予想した。おそらく「他にも同じように潜入している者はいるのか」と聞かれている。答えようか迷った。だが言っていいのかの判断はできなかった。できればヴィラからの指示がほしいが。
「君一人でここに来たわけじゃないんだろう?」
少しだけ眉を寄せて聞かれた。
あまりにも静かでいたせいだろうか。
ヴィラからの指示がない。
これは自分で判断しないといけないようだ。
「……一人ではありません」
むしろ一人なわけがない。一人だ、というなら、メイドから娼婦に転職したのか、ということになる。大の男嫌いであることは城中に広まっているはず。少しでもイズミが小耳に挟んでいたなら、きっとおかしいと返されるだろう。だから正直に答えた。最も、全部言ったわけでもない。
だがすぐにイズミは息を吐く。
顔色は変わっていないが、ほっとした様子だった。
「ならいい」
「……え」
「何か訳があるんだろう。引き留めて悪かった。戻ろう」
言いながらイズミは再度仮面をつけ、部屋から出ようとする。アンネは唖然とした。わざわざ部屋に連れ込んで確かめたかったのはそれだけか。他にもっとあるんじゃないのか。
本来ならこのままでいいはずなのに、思わず彼の腕を掴む。
「待って」
「! どうした」
少し驚かれる。
こちらからすれば、どうした、じゃない。
「なんで何も聞かないんですか」
「さっき聞いただろう」
彼からすればそうかもしれない。
だがそれは言葉を返しただけだ。
「それに、聞いて答えてくれるのか?」
「…………」
「だろう?」
あの時と同じやり取りになる。
なら、と質問を変えた。
「どうしてここまで連れて来たんですか」
歩いてきた勢いのまま、彼は手を取ってここまで連れて来た。どことなく怖い威圧感まで出して。まるでアンネが何かしてしまったみたいに。
だが彼は冷静だった。
「君が一人なのか気になった。一人じゃないならいい」
「なんで……それに、どうして私だって」
一応こちらも仮面をつけている。
髪だっていつもより巻いているし、格好だって普段するようなことはないものだ。着飾ることは好きでも、男性が好むような格好はしない。このドレスはまだ清楚だが、それでもスカート部分はふんわりしており、いつも着ている服よりも丈が短い。あの一瞬でアンネだとは誰も分からないだろう。
「分かる」
「え?」
「見れば分かる」
思わず口を開けてしまう。
即答すぎて逆に信じられない。
「……分からないでしょう」
「現に今も分かったからここまで連れてきた」
「…………」
彼はよく分からない人だ。
見ているくせに、近付かない。
そのくせ、突き放したりもしない。
アンネが今まで出会ったことのない人間だった。
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