カクヨムユーザーの興味
第10話 111,402人って、どんなジャンルに興味があるの?(異世界ファンタジー編)
(注意)本作で出てくるデータは、全て2020年2月21日までに取得されたものです。
――――――――――――――――
「ここは……どこだ?」
見覚えのない奇妙な光景が目の前に広がっている。
薄暗い背景に浮かび上がる、文字、文字、文字――
俺――カクヨム総合研究所の
俺はさっきまで確かに研究所にいたはずだ。えーっと、何をしてたっけ……。あぁ、そうだ。情報収集のための新しいプログラムを書き終え、バグがないかテストを実行したんだ。
――まさか、プログラムバグのせいで異世界に召喚されたのか!?
「……あの、大丈夫ですか?」
気がつくと、よく見知った一人の少女が目に前に立っていた。俺の顔を心配そうに見つめている。
「ケイコちゃん!」
「ケイコ? 誰でしょう、そのお方は」
「……え?」
「わたくしは女神のケイア。カクヨム神界を統治する、情報神です」
情報神? そんな神様、聞いたことがないな。
「実は、あなた様のチート級プログラミングスキルを見込んで、お願いがあるのです」
「お願い?」
「はい。お恥ずかしながら――情報が欲しいのです」
「え、ケイコちゃん。今、情報神って言ったよね」
「ケイアです。えぇ、言いました。しかし、このポジションはくじ引きによって決まったものでして……わたくし、情報系のスキルは何も持ってないのです」
くじ引きで神様のポジションを決めたぁ!? どうなってんだ、このカクヨム神界とやらは!
なんだかケイコちゃん――女神ケイアがかわいそうに思えてきた。
「それで、どんな情報が欲しいんだ?」
「はい。
「カクヨム神界って、魔王サイドかよ!?」
「お願いします、タケル様ぁ。あなた様だけが頼りなんですぅ!」
女神ケイアは突然泣き出した。それはもう、恥も外聞も無く。
ますます哀れに思えてきた。しょうがない、外見はどこをどう見ても幼馴染みだ。助けることにしよう。
「分かったよ、協力する」
「あ、ありがとうございます!」
「まずは、俺の研究ノートを召喚したいんだが……できるか?」
「はい、お任せください」
ケイアがそう言うと、あっという間に俺の手元に研究ノートが現れた。
便利だな、召喚スキル。
「さて、ケイコちゃん――ケイア。前に、ノード(○)とノードを繋いでいる棒――エッジは、ユーザーのフォロー・フォロワー関係を表していると言ったのは覚えてるか?」
「???」
そうか、この子はケイコちゃんの記憶を持っている訳ではないらしい。俺は、前回までの話を要約してケイアに説明した。
『第9話 111,402人の繋がりを可視化するとどうなるの?』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894358323/episodes/1177354054894433905
「なるほど。概要は掴めました」
「よし。それで、エッジには向きがあって――」
――――――――――――――――
有向エッジ
○―――――>○
ノード1 ノード2
――――――――――――――――
「――こんな感じになっている。で、矢印の根元の人(ノード1)が、矢印の先端の人(ノード2)をフォローしていることを意味しているんだ」
「ふむふむ」
この女神、先ほどから俺の話を聞きながら、せわしなく空中で指を動かしている。その指先からは俺には読めない淡く光る文字が生み出され、川のように空中を流れ、空間に溶け込んでいく。
それは、光っては消えていくはかない蛍の光のように、なかなか幻想的な光景だった。
「仮にノード1が異世界ファンタジーの『書き手』で、ノード2が現代ファンタジーの『書き手』だとする。このとき、このような関係にあるエッジの本数を数えると、異世界ファンタジーの『書き手』がどれくらい現代ファンタジーの『書き手』に興味を持っているかを計ることが出来るんだ」
「おぉ、素晴らしい発想です。タケル様」
「逆に、ノード1が現代ファンタジーの『書き手』で、ノード2が異世界ファンタジーの『書き手』だとする。このとき、このような関係にあるエッジの本数を数えると、異世界ファンタジーの『書き手』は現代ファンタジーの『書き手』からどれくらい興味を持たれているかを計ることが出来るぞ」
「
「まずは、異世界ファンタジーの『書き手』がどれくらい他ジャンルの『書き手』に興味を持っているかのデータを見てみよう」
「お願いします」
「注意なんだけど、これはのべ人数なので異世界ファンタジーの『書き手』の数を上回るのはエラーでもなんでもないぞ」
「そうなのですか?」
「同じ人が何回も異世界ファンタジーの『書き手』にフォローされているのは普通だからな。さぁ、結果を出すからメモしてくれ」
「分かりました」
――――――――――――――――
統計情報:異世界ファンタジーの『書き手』14,603人が興味のあるジャンル
○―――――>○
異世界 ランキング
――――――――――――――――
1位:読み専
66,258人 (174.53%)
2位:異世界ファンタジー
37,963人 (100.00%)
3位:現代ファンタジー
13,830人 (36.43%)
4位:現代ドラマ
10,668人 (28.10%)
5位:SF
9,351人 (24.63%)
6位:恋愛
8,067人 (21.25%)
7位:ラブコメ
6,542人 (17.23%)
8位:詩・童話・その他
4,806人 (12.66%)
9位:エッセイ・ノンフィクション
4,276人 (11.26%)
10位:ホラー
2,676人 (7.05%)
11位:ミステリー
1,774人 (4.67%)
12位:歴史・時代・伝奇
1,720人 (4.53%)
13位:創作論・評論
717人 (1.89%)
14位:二次創作:けものフレンズ
203人 (0.53%)
15位:二次創作:ダブルクロス The 3rd Edition
59人 (0.16%)
16位:二次創作:グリムノーツ
51人 (0.13%)
17位:二次創作:この素晴らしい世界に祝福を!
43人 (0.11%)
18位:二次創作:涼宮ハルヒの憂鬱
18人 (0.05%)
19位:二次創作:ソード・ワールド2.5
8人 (0.02%)
20位T:二次創作:第2回冲方塾対象作品
7人 (0.02%)
20位T:二次創作:『青春ブタ野郎』
7人 (0.02%)
22位T:二次創作:幼女戦記
6人 (0.02%)
22位T:二次創作:バカとテストと召喚獣
6人 (0.02%)
24位T:二次創作:冴えない彼女の育てかた
5人 (0.01%)
24位T:二次創作:精霊使いの剣舞
5人 (0.01%)
26位T:二次創作:フルメタル・パニック!
4人 (0.01%)
26位T:二次創作:オーバーロード
4人 (0.01%)
28位T:二次創作:勇者死す。
2人 (0.01%)
28位T:二次創作:アリアンロッドRPG2E
2人 (0.01%)
28位T:二次創作:キミラノ
2人 (0.01%)
28位T:二次創作:闇の皇太子
2人 (0.01%)
32位T:二次創作:問題児たちが異世界から来るそうですよ?
1人 (0.00%)
32位T:二次創作:神話創世RPG アマデウス
1人 (0.00%)
32位T:二次創作:ログ・ホライズン
1人 (0.00%)
――――――――――――――――
※Tは順位タイを表す。
「数字の後ろに書いてあるパーセントは何でしょうか?」
「データをそのジャンルの数で割ったものだ。今回は異世界ファンタジーだから、例えば1位の『読み専』は――
66,258(人)÷37,963(人)×100≒174.53(%)
――で、計算できる」
「つまり、自分のジャンルは常に100%になるのでございますね」
「その通りだ。自分のジャンルから自分のジャンルに興味がある数と自分のジャンルから他のジャンルに興味がある数との比率と考えてくれ」
「これは、異世界ファンタジーの『書き手』は『読み専』をめっちゃフォローしまくってるってことでよろしいのでしょうか?」
「うん。『読み専』は59,436人しかいないけど、さっきも言ったように重複を許しているから、このデータはエラーじゃないぞ」
「分かりました。要は、複数フォローされている『読み専』がいるということですね」
「異世界ファンタジーの人は、同類が一番好きなのでしょうか?」
「そうだな。当たり前じゃんと思われるかも知れないが、他のジャンルではこうなっていない場合もある」
「あら、そうなのでございますか?」
「それについては、他のジャンルを取り上げたときに随時見ていくことにしよう」
「承知しましたわ。ちょっと意外なのは、恋愛とラブコメの数がそんなに多くないことでございますね」
「そうだなぁ。あくまで個人的な意見だけど、ファンタジーが好きな人はファンタジーの中で全てが完結してるんじゃないかな」
「どういうことでしょう?」
「ファンタジーの中で恋愛をやる。ファンタジーの中でラブコメをやる。ファンタジーの中でSFをやるって感じ」
「なんか分かる気がいたします」
「別に、わざわざ他のジャンルに行く必要がないんだと思うよ」
「さて次は、異世界ファンタジーの『書き手』がどれくらい他ジャンルの『書き手』に興味を持たれているかのデータだ」
「
「そうだね。特に『読み専』からどれくらい興味を持たれているかは、そのジャンルにとってはある意味死活問題だ」
「読まれる確率が上がりますわね」
「そうだな。ここでも1つ注意がある」
「なんでしょう?」
「ネットワークの性質上、同じジャンルの数字は上の結果と全く同じになるんだ。これもエラーではないのでそれだけは言っておきたい」
「承知しました」
「それじゃぁ結果を出すぞ。メモを取ってくれ」
「かしこまりました」
――――――――――――――――
統計情報:異世界ファンタジーの『書き手』14,603人が興味を持たれているジャンル
○―――――>○
ランキング 異世界
――――――――――――――――
1位:読み専
66,718人 (175.74%)
2位:異世界ファンタジー
37,963人 (100.00%)
3位:現代ファンタジー
15,058人 (39.66%)
4位:現代ドラマ
10,461人 (27.56%)
5位:SF
10,041人 (26.45%)
6位:恋愛
6,879人 (18.12%)
7位:ラブコメ
5,822人 (15.34%)
8位:詩・童話・その他
5,634人 (14.84%)
9位:エッセイ・ノンフィクション
4,495人 (11.84%)
10位:ホラー
2,598人 (6.84%)
11位:ミステリー
2,088人 (5.50%)
12位:歴史・時代・伝奇
1,531人 (4.03%)
13位:創作論・評論
689人 (1.81%)
14位:二次創作:けものフレンズ
241人 (0.63%)
15位:二次創作:ダブルクロス The 3rd Edition
70人 (0.18%)
16位:二次創作:グリムノーツ
32人 (0.08%)
17位:二次創作:この素晴らしい世界に祝福を!
37人 (0.10%)
18位:二次創作:涼宮ハルヒの憂鬱
22人 (0.06%)
19位:二次創作:ソード・ワールド2.5
13人 (0.03%)
20位:二次創作:バカとテストと召喚獣
10人 (0.02%)↑
21位:二次創作:幼女戦記
8人 (0.02%)↑
22位T:二次創作:第2回冲方塾対象作品
5人 (0.01%)↓
22位T:二次創作:冴えない彼女の育てかた
5人 (0.01%)↑
22位T:二次創作:キミラノ
5人 (0.01%)↑
25位T:二次創作:精霊使いの剣舞
4人 (0.01%)↓
25位T:二次創作:フルメタル・パニック!
4人 (0.01%)↑
25位T:二次創作:オーバーロード
4人 (0.01%)↑
28位T:二次創作:『青春ブタ野郎』
3人 (0.02%)↓
28位T:二次創作:闇の皇太子
3人 (0.01%)
30位T:二次創作:アリアンロッドRPG2E
1人 (0.00%)↓
30位T:二次創作:ドレッドノート
1人 (0.00%)↑
32位T:二次創作:勇者死す。
0人 (0.00%)↓
32位T:二次創作:問題児たちが異世界から来るそうですよ?
0人 (0.00%)↓
32位T:二次創作:神話創世RPG アマデウス
0人 (0.00%)↓
32位T:二次創作:ログ・ホライズン
0人 (0.00%)↓
――――――――――――――――
※Tは順位タイを表す。
「新しい記号がございますね。パーセントの後ろの上向き矢印とか下向き矢印とかは何でしょう?」
「最初の結果とこの結果と比較して、順位が上がったか下がったかを示している」
「なるほど。つまり、上位陣に変動はなかったということでございますね」
「その通りだ」
「それにしても、すごい数の『読み専』がついていますわ」
「改めて異世界ファンタジーの人気を証明する数字になったな」
「興味を持っているジャンルと興味を持たれているジャンルが違うなんてことがあるのかしら?」
「それがあるんだなー」
「そ、そうなのでございますね! 興味があります!」
「まぁ、今回の異世界ファンタジーが1つの基準になるから、随時参照していくことにしよう」
「頼りにしております、タケル様。今回は本当にありがとうございました――」
…………
……
――はっ!
なんだ、今のは!? ここは……研究所?
「あ、タケル君。起きたわね」
ケイア、いや、ケイコの声だ。
「コーヒーを淹れるわ」
「あ、あぁ……ありがとう」
部屋から出て行こうとする少女を見る。それは、見間違えようもなく幼馴染みのケイコちゃんだった。
俺は自分のデスクに突っ伏して寝ていたのか? さっきのは全部夢か?
俺は研究ノートをパラパラとめくる。そして、気がついた。
研究ノートの新しいページには、俺が書き込んだ覚えのないこんな言葉が記されていることを――
『ユーザー数40万人突破のXデー、当たることをお祈りしております♪ ケイア』
地球滅亡――ユーザー数40万人突破のXデーまで、あと77日!
――――――――――――――――
今日の研究ノートまとめ
――――――――――――――――
・異世界ファンタジーの『書き手』は異世界ファンタジーに1番興味がある
・異世界ファンタジーの『書き手』は『読み専』に滅茶苦茶興味を持たれている
・やっぱり異世界ファンタジー最強
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