第4話 111,402人って、どんなフォロー・フォロワー関係になってるの?
(注意)本作で出てくるデータは、全て2020年2月21日までに取得されたものです。
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今日も今日とて『カクヨム総合研究所』で研究に励む俺は、
その労力を小説書くのにつぎ込めって? 仰る通り!
「ねぇ、タケル君。カクヨムユーザーのフォロー・フォロワー関係って、どうなってるのかしら」
モニターに映し出されたネットワークの図を眺めながら、
「助手のケイコよ。俺のことは
「はいはい、月でも木星でも行ってらっしゃい。そんなことより、私の疑問に答えてくれない?」
「……ユーザーのフォロー・フォロワー関係について統計を見ていこう」
「素直でよろしい。カクヨムでは、ユーザーをフォローすると新作通知が行くのよね」
「その通りだ。推しの作家がいれば、その方の新作は絶対に読み逃したくないよな」
「『読み専』に優しい機能だわ」
「俺は作家の繋がりを作りたいという理由でも使ってるけどね」
「ふーん、そうなんだ」
「と言うわけで、111,402人の傾向を見てみよう。まずはフォロー数だ」
「待って。確認しておきたいんだけど、『フォロー数』って具体的にどういうこと?」
「自分が他人のユーザーをフォローした数だ。『あ、この作者と繋がりたい』と思ってフォローボタンを押すとユーザーをフォローできるでしょ? この回数を数えていると思ったらいい。小説のフォローではないことに注意な」
「なるほど、分かったわ」
「ちなみに、他のユーザーが何人フォローしているかは、その人のプロフィールページから見ることができるぞ。それじゃぁ、統計データを見てみよう」
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統計情報:全ユーザー(111,402人)のフォロー数
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平均値±標準偏差:5.98人±35.96人
最大値 :2,779人
中央値 :0人
最頻値 :0人
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「ユーザーは平均5.98回、他人のフォローボタンを押してるってことね」
「うん」
「平均値と最大値は分かるけど……
「データのばらつきを示す指標だな。この数字が小さいとデータが平均値の近くに固まっていることを表している」
「中央値は?」
「データを小さい順に並べたとき、中央にくる値のことだ。例えば、次のような5個のデータの場合――
『0 0 0 1 2』(平均値:0.6)
――中央値は真ん中の0だ」
「なるほど。平均とは異なる場合があるのね。もう一つ、
「最も頻繁に出現する値のことだ。上の例だとやっぱり0だな」
「つまり、誰もフォローしていない人が一番多いってことかしら?」
「正解だ。111,402人のうち、実に56,247人 (50.49%) が誰もフォローしていないという結果を得られたぞ」
「えぇー! それは意外……」
「次はフォロワー関係を見ていこう。さっきまで見てきたフォロー関係は、自分でアクションを起こせるタイプだった。だけど、フォロワー関係ではそれができない」
「相手からフォローされないといけないもんね」
「その通りだ。どれくらいフォローされているかの情報は、ユーザープロフィールページから見ることが出来ない。だから、他の人がどれくらいフォローされているかはみんな気になるんじゃないかな」
「ちなみに、タケル君のフォロワー数ってどれくらいなの?」
「フォロー数は49、フォロワー数は33。いずれも2020年2月21日時点の数字だ。そして、これは111,402人集めてきたデータとピタリ一致した」
「まじでか」
「
「なんで公開されてないデータが再現できるの? よく分かんない」
「そりゃ、繋がってるユーザーのデータを全部集めてきたからね。ネットワーク全体の情報を集めてきたから、再現できるのさ」
「ふーん、よく分かんないけどすごそうね」
「ただし、『読み専』アカウントの取りこぼしは多少あると考えられる。小説を書いてないから『新着小説一覧』から見つけられないし、仮にそのアカウントが誰かをフォローしていても、フォローバックされていないとこちらのデータ収集網に引っかからないんだ」
「じゃぁ、完全って訳じゃないのね」
「俺は『読み専』からのフォローがほとんどないから完全に一致したけど、人によっては多少数字が低いデータになっている可能性はある」
「多数の『読み専』を抱えている作家ほど誤差が大きいかもね」
「その通りだ。では、結果を見てみよう。なお、個別のお問い合わせには一切応じませんのでご了承ください」
「『あの人のフォロワー数教えてください』とか、絶対に聞かないでね? ケイコとの約束よ!」
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統計情報:全ユーザー(111,402人)のフォロワー数
――――――――――――――――
平均値±標準偏差:5.98人±31.38人
最大値 :3,034人
中央値 :1人
最頻値 :1人
――――――――――――――――
「あれ? 平均値がフォロー関係と同じに見えるんだけど」
「全く同じだよ。これはネットワークの性質上、そうなるんだ。詳しい説明は省略する」
「そうなのね。ばらつきはフォロワー関係の方が小さいわね」
「うん。フォロー関係よりかはフォロワー関係の方が平均値に近い分布になってるらしい」
「中央値と最頻値が共に1になってるわ」
「111,402人のデータの内、85,142人はフォロー・フォロワー関係から拾ってきたユーザーだからな。最低一人はフォローされてないと、この網に引っかからない」
「なるほどね……。それにしても、3,034人にフォローされているとかバケモノかよ」
「まさしく最強インフルエンサーだな」
「フォロワー関係については、もう少しだけ詳しく見てみよう」
「そうね。普段お目にかかれない数字だから、ちょっとドキドキしちゃう」
「フォロワー数のヒストグラム――度数分布表を作ってみたぞ」
「ひすとぐらむ?」
「フォロワー数が○人~△人の人は××人という具合に、ある区間の人数を集計した表のことだよ」
「なるほど」
「早速見てみよう」
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ヒストグラム:フォロワー数
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0~9人 :25,184人 (22.61%)
10~19人:77,103人 (91.82%)
20~29人:3,962人 (95.37%)
30~39人:1,465人 (96.69%)
40~49人:769人 (97.38%)
50~59人:579人 (97.90%)
60~69人:392人 (98.25%)
70~79人:259人 (98.48%)
80~89人:233人 (98.69%)
90~99人:188人 (98.86%)
100~109人:135人 (98.98%)
110~119人:121人 (99.09%)
120人~ :1,012人 (100.00%)
――――――――――――――――
「フォロワー数10人~19人の人たちが最も多いのね」
「そのようだ。俺のフォロワー数は33だから、1,465人の内の1人ということになるな」
「ところで、括弧の中に書いてあるパーセントは何?」
「その度数までの累積人数を111,402人で割った値だ。例えば『20~29人』に書かれているパーセントは――
(3,962 + 77,103 + 25,184)÷111,402×100 ≒ 95.37
――のように計算することができる」
「と言うことは、99%の人がフォロワー数119人以下ってことで合ってる?」
「正解」
「なるほどなー。ところでこれって、『書き手』だけに絞ると結果って変わってくるのかしら?」
「良い質問だね。それについては――」
「うんうん?」
「次回以降、見ていくことにしよう」
「くっそー! ちょい出しかよ!」
「どうだったかな? ケイコちゃん――助手のケイコよ」
「くーっ! 他のデータが気になる! 早く続きを書かないと罰ゲームなんだから!」
「ば、罰ゲーム……?」
「そう、私のためだけに一生小説を書き続けるの刑!」
「えええ……。ちなみに、22,631人がフォロー数及びフォロワー数ともに0だった。これらのユーザーは全て『新着小説一覧』から拾ってきたユーザーなので、全員『書き手』に分類されるぞ」
「なんですって? 孤高の戦士がいるのね。みんなで発掘してあげなくちゃ!」
「よし……なんとかケイコちゃんの目をよそに向けることが出来たぞ」
「あ、ちなみにタケル君のことは通知欄で監視可能って忘れてない? 『最新話を公開』の通知がなければ、どうなるか分かってるよね?」
「え、えぇ!? 頼むから大人しく待っててくれー!」
こうして、111,402人分のデータがいよいよ本領を発揮し始めた。果たして、ケイコは大人しく次回更新を待つことができるのか?
地球滅亡――ユーザー数40万人突破のXデーまで、あと80日!
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今日の研究ノートまとめ
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・フォロー・フォロワー数は平均すると5.98人
・フォロー数に比べてフォロワー数はばらつきがやや少ない
・120人以上のフォロワーを集めればあなたも人気作家の仲間入り! ……かも?
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