第5話 真夏の氷



同じ名前の女を抱いた

少し心が軽くなった


同じ匂いの男に会った

話せば長い話をした


救われない世界にだって

助けたい気持ちがある

焼けたアスファルト

体制崩して手をついた

すぐに離れても

熱だけが残った


愛を裏切るんじゃない

愛のために裏切るんだ


悪いことじゃない

ただ許さないだけ


なくせないものの中にある

自爆のための赤いスイッチ

凍りつかないように

氷点下で握りしめた時計が

僕の熱を奪った


与えたものを奪われる

誰のものじゃない

その悔しさも

誰のものじゃない

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