第3話 川底


川底


コンクリートで固められて

どこか辛そうに流れる川に


ある日雨上がり

底に沈んだ自転車を見た


いいじゃないか

流れに逆らって

必死で泥を掴んでさ

引き剥がそうと絡みつくものに

なすがままになっても


誰を乗せることはなく

風を切ることはなくなった

でもなぜか

僕の胸を打った


その川底には

いろいろな物語がある


誰のものでもない

僕が見つけた物語

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