評価と感情の二値化は、悪意を増幅する
武漢肺炎で騒ぎになる前から、アマゾンや楽天といった通販サイトを利用されている方は多いだろう。
それらの評価を参考に商品を購入される方も多いかと思うが、結局嘘でもホントでも評価の高い商品に手を伸ばしがちになる。
そこには「これだけ多くの人が高評価しているから間違いない」という思い込みがあるとわたしは考えている。
その思惑が外れれば、反動で最低評価をつけてしまう、いわゆる評価の二値化、あるいは二極化がひどく進んでしまっているように思うが、いかがだろうか。
通販サイトを先に例に挙げたが、いわゆる「いいね」がたくさんついてバズったり、その逆でSNSでの集団リンチのようなことが起きたりと、一極集中も先鋭化しているとも感じている。
この「事象への一極集中」と、「評価の二値化」をわたしはとても危惧している。
例えば先ほどの通販の話で言うと、例えば「予定通りに商品が届かなかった」として最低評価(星1)をつける人がいる。
ゴミ使い物にならない、とだけ書く人もいる。
逆に「まだ届いてないけど楽しみ」として最高評価(星5)をつける人もいれば、梱包が丁寧で配達が早かったとする人もいる。
評価の付け方は人それぞれだと思うものの、あえて揚げ足を取るなら「それは商品じゃなくてショップの評価だよね」、「そもそも何がよい、悪いがない」というのはある。
何が言いたいかといえば、あくまでわたし個人の目線で、本質からズレていると感じるのもあるが。
それ以上にネットという匿名性が強い環境では、非常に感情的、衝動的、煽動的な発言、行動が年々増えているように思うわけだ。
先日の木村花さんが自殺なさって誹謗中傷に対して騒いでいるが、あくまでも人の注目を集める人が起こした結果であって、そんなものは随分前から跋扈していたことは言うまでもない。
それをおそらくメディアは知らん振りしてきただろう。
あるいは、メディア自身がそれに加担してきた例だって、あるのではないか。
あくまで私見で、特定の媒体を攻撃したいわけじゃないのは誤解しないでもらいたいが、今回の誹謗中傷だって、所詮注目された話題に乗っかって、群がって、利益を得ようとしているだけにしか見えない。
ネットの記事で見たが、そういった誹謗中傷をした人々が、罪に問われることを恐れて次々とアカウントや、投稿の削除、相手への謝罪をしているらしい。
個人のアカウントなんて、所詮その程度の価値しかないことも象徴している。
この動きもまた非常に気に食わないし、初めから誹謗中傷だって多くの人は分かってるということを如実に示している。
思うに、ネットの空間というのは対面であればさして気にもならない悪意が増幅されてしまう、アンプのようなものだということを再認識する必要がある。
つまりは画面の向こう側にいる相手が、定型文しか話せない村人のようなぼんやりとした象徴に変わっている。
あるいは、一層にその存在を意識してなお、加虐心が増幅されてしまう。
日頃の不満や理不尽の行き場もなく、一方的にぶつけて相手に攻撃して、その反応に快感を覚えているんじゃないか。
もっと具体的に例を挙げれば、ゲームの中では街を歩いている人を大量に虐殺するようなこと、普通の現実では起こりえない非現実が同居していて、形を変えて現実に表出しているのだろう。
こういった反応は、ある一側面だけを見た0か1のコンピュータの世界によく似ているとわたしはよく感じる。
しかも、マイナス方向に極端に触れやすい補正がかかっている。
いいか、悪いか。
好きか、嫌いか。
嬉しいか、腹が立つか。
要するに、快、不快のどちらかしかなくて、ひとたび不快に入れば急激にそれが増幅させて、攻撃的になるし、好きなら際限なくきっと好意を持ってしまう。
ある意味、ソシャゲでキャラを気に入ったキャラクターを手に入れるために、数万とつぎ込むのもきっと、その一環だろう。
推しキャラクターに貢ぐのも、結果としてそれが企業の利益となって、人の生活を支えていることも事実。
ゆえにそれも生活が破綻しない範囲なら悪くないと思う。
手に入れたことにより、ストレス解消や、幸福感を得られるならそれもいい。
警鐘を鳴らしたいのはあくまで、攻撃的、感情的になってしまう事象についてだが、これは多分どうしようもない。
だって他人の心だもの。
提言するなら、自分の感情の高ぶりや、攻撃性を感じたら、送信する前に一晩おいておけ、っていうくらい。
一部の劣悪な加害者も、一箇所に集まってしまえば炎上してしまう。
自分がそうした存在にならないことはもちろん、いかに身を守るのかは常に考えておく必要がある。
フラットな自分の基準をまず作った上で、極端に思考の針が触れてないか、今のうちに論理的に自己監視する力を養わなければきっと、何も分からないままコンテンツを貪るだけの生きる屍になるだろうとわたしは思う。
0と1しかないなら、人よりコンピュータの方が優秀だ。
コンピュータやネットは支配するものであって、翻弄され支配されるものであってはいけない。
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