自粛に買い溜めは必要か

 つい先日の話になる。

 そして恥ずかしながら書き始めてから時間が経ってしまい、今はもう緊急事態宣言発令というところまで来てしまっている。


 東京都の小池都知事によって、土日の外出自粛要請が出ている。

 みなさんの行くスーパーでもきっとあった光景だろうが、三月終わりくらいの外出自粛要請が出たあたりで、スーパーではレジにこれでもかと山盛りになったカゴを持つ人が行列を作っていた。

 「うわぁ……」とそれを横目に見ながら思ったときには、すでにカップ麺や冷凍食品、非常食の棚はすっからかんになっていた。

 その時は無事に翌日の昼食は買えたわけだがあえて言いたい。……バカなの?


 何か勘違いしてないか。

 やることが極端過ぎて気持ち悪い。

 

 東日本大震災みたいな物流が死ぬような災害が起きたわけでも、不足しているわけでもなく。

 水道も、電気も、ガスも。

 何一つとして止まるわけではない。

 これこそ何も学んでないとわたしは感じた。


 武漢肺炎を広げないために、土日は大人しくしててください。

 それを満たすために、なんでカップ麺や冷凍食品など、非常食の買い溜めをする必要があるのか。

 この前のトイレットペーパーのデマもそうだけど、さすがに呆れを通り越して腹立たしかった。

 冷静とか、効率とか、助け合いとか、優しさとか。

 自分に都合のいい言葉と、他人への理想を押し付ける言葉が好きな人は多いのに、こういうときには我先にと衝動買いしちゃって。

 活動自粛っていうからって、土日カップ麺や缶詰、冷凍食品を食べて過ごすって、違和感しかないのだけれど。

 繰り返すけど、別に致命的なことではないのだから、二日分のいつも通りの食事をすればいい話なだけだと今でも思うわけだ。


 もしも、それによってスーパーとかも全部店は閉めます。

 とか、

 もしも、かかったときのために自分じゃ作れなくなるだろうから買いだめておく。

 特に後者というなら分かる。けれど、他人の内心は知り得ないものの、後者のような備えではないように感じる。


 もっと根本的に、だ。

 電気や水道、ガスが止まればお湯が使えないので家でもカップ麺は食べられない。

 冷凍食品も食べられない。

 ゆえに、そもそも非常時にしてもどうなの? ってわたしは首を傾げてしまう。

 非常時には、実はそれらは手軽に食べらない食事だろうと。


 「武漢肺炎を恐れる必要はない」と言うつもりはない。

 感染しやすい状況を避ける、衛生管理をしっかりする、といった日頃のわたしたちの注意は以前より増しているとは感じている。

 一時の盛り上がりに扇動されることなく、怖がることが必要ではないか。


 可能な限り定量的に、客観的に、何が必要で何が不要かを、見極めていくことが大切だと思う。

 特別なことは何も言ってないが、たとえばネット記事一つではなく、複数の情報をもとに整合性を高めるとか、ツイッターなどの個人が発信するデータを鵜呑みにしないとか。

 その上で、身を守るためにできることをやっていく。

 それは少なくとも、慌ててカップ麺や冷凍食品の買いだめをすることではないと思う。

 だったら日頃から家の中でルール決めてやっておけば、いざって時に品切れでヒステリックを起こさなくて済むという話。

 ヒステリックを起こしたあとにたまたま別の店で運良く見つけたときには、その人がまた買い占めをするだろう。

 そして他の人に行き渡らないという悪循環。

  ……うんざりしてしまう。


 デマをはじめ、フェイクニュースで騒がれる現状を鑑みて、テレビも新聞もネットも何が正しいか本当のところは分からない。

 だからこそ、何かをする前には一旦情報と、自分自身の感情を疑うことも必要だと考えている。

 

 明日、緊急事態宣言が効力を発するということだから、昨日もそうだったけど、今日もまたスーパーで長蛇の列に並ばなければならないかと思うと、今から気が重い。


 必要なものを、必要な分だけ。

 情報も、モノも溢れているからこそ、「増やしすぎない」だとか、「本当に意味があるのか、必要なのか」とか、「情報、状況の正しさ」というところを、熟考することが重要ではないだろうか。

 立ち位置を誤ると、結局は自分自身が身を滅ぼすようにわたしは感じられてならない。

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