第32話 光の粒-1
例えばフェルメールであれば、「牛乳を注ぐ女」。フェルメールの作品は「青」の項目でも述べたように、青色が特徴である。
しかし彼は青を上手く使っただけではなく光の性質をよく理解しようとし、それを絵に組み入れた。
画像を見れる人は、「牛乳を注ぐ女」の手元を見て欲しい。そこにはパンが置いてあると思うが、実はそれをよく見ると赤い斑点や青い斑点などをみることができる。これは何故か。
実は真っ白な光には、様々な色が含まれている。それが物にあたると、物は必要な光だけを吸収し、その他の色を反射するのだ。そして反射した光が目に入ることにより、私達は色を認識している。
しかし、物質が反射している色というのは、単純ではない。
例えば、私達がりんごやレモンを描くとき、単純にりんごは赤一色、レモンは黄色一色で描くだろう。だが描きあがったものを見て分かるように、リアルなりんごには見えない。
このことについて、分子生物学者・福岡伸一氏は次のように述べている。
赤く見えるものも、実は単一な赤ではない。レモンの黄色も、複雑な黄色で構成されている。
(TV朝日 奇跡の地球物語 #117 2012.4.1フェルメール~人類が追い求めた青~より)
つまり、私達はりんごの色を言うときは「赤」というし、簡単にりんごを絵で描こうとしたならば赤一色で描く。
しかしりんご自体は、赤を主体に反射してはいるものの、他の色も反射しているというのである。そのため、フェルメールもパンの中に赤い粒のような青い斑点のようなものを描くことで、よりリアルな状況をそこに生み出そうとしたのではないかと考えられている。
【補足】
*私たちが「色」を認識できる原理
【絵画】
*「牛乳を注ぐ女」
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