第5話 迫りくる真実。(その1)

僕はまた、いつものように美香さんに会いに行った。昨日の黒色のさくらさんを思い出せないくらい彼女は美香さんと楽しそうに話している。美香さんとともに、笑顔で挨拶をしてくれた。

僕は久しぶりに心が橙色になった。僕は少し笑い話をしようと、今日起きたら汗だくだった話をした。美香さんは本気で笑ってくれた。僕に初めて見せた、最高の笑顔だ。心の橙色がさらに濃く、澄んだ色にしてくれる。いつどこで出会ったなんか関係なく、ただ美香さんのことが好きだ。そんなことを考えてぼーっとしていると

「どんな夢見た?」

突然さくらさんが聞いてきた。我に帰った僕は、まさかとは思いながらも、昨日見た夢を話した。

「やっぱり、ほぼ一緒だ。」

「ほぼって?」

「私の場合、またあの森だった。あと晴れてた。」

僕は怖かった。さくらさんも怯えていた。僕とさくらさんの間に何が起きているのだろう。

「な、なんの話?」

美香さんは、そんな僕たちを恐る恐る聞いてきた。僕は少し迷ったが、僕とさくらさんが見た、2種類の夢の内容を事細かく話した。美香さんも関係していると思ったからだ。その話を聞いた美香さんの色は霞んだ。

「もし本当のことを知ったとして、自分のことを許せると思う?」

美香さんはふいに、僕に聞いてきた。僕は言っている意味がわからなかったけど、さくらさんはどこかその意味を理解しているようだった。混乱してしまった僕は、許せると思うと言ってしまった。すると美香さんは、

「それなら今週の日曜日、草上川キャンプ場に3人で行こう。」

草上川キャンプ場は、今は凄く廃れているけど昔は凄く人気なキャンプ場だったらしい。キャンプ好きのお父さんが言っていたのを思い出した。

キャンプ場に行く約束をした後僕は、美香さんとさくらさんに手を振った。2人はなぜか、手を振り返してくれなかった。

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