第四十七話『尋問開始』

 

 視界が暗黒へ転換。

 それが終わりを迎え、目覚めた頃には。


 手首を縛られ。

 椅子に鎮座され、そこで固定されていた。


 周りは。

 暗い暗い、資材置き場。


 磨りガラスから差し込む光のみが、頼り。

 ふと目を上げた先には、金髪の女性が神妙に佇んでいた。


「何、者だ……」


 シール?

 そのような面影を、ユリスは察していたのかもしれない。


「エクセル・シエル。帝国を滅する為だけに、ここにいる」

「そ、そ、そうか……」


 それと同時に、彼は殆どを理解したのであろう。

 故に私の金髪を見た時の彼の反応は、希薄なものに留まった。


「き、君みたいな大物が、こ、こんな所に居るなんて……」

「……協力者、って言葉知ってます?」

「え、あ?あ、うん。───恨む程に」


 彼は顔を顰め、首を擡げた。

 私を見つめる為に。


 話を拒むような姿勢には見えない。

 従ってくれるならば。それはそれでいい。


「それは良かった。では遠慮無く。───尋問を行わせていただきますね」


 彼の目は、諦めと共に閉じられていく。

 この先にあるのは、自分の罪の告白であると、そう悟ったのだろう。


 取った首筋の機械を地面に置く。

 そして淡く、小さく、光が散った。


 ホログラム。

 織り成されるそれは、刻限を持って起動して。


 ──────ある二人の輪郭を、鮮明に映し出した。

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