第三十三話『夢の学生生活?』
帝国第一工業高校。
名の通り、工業を専門に学ぶ高校である。
昨今では
故に今まで学ばれていた物よりも工業の知識が社会的に問われる様になった。
その為、帝国は通称『帝国第一』を設立。
徹底的な人材育成を行い、社会的優位性を持つ人間を多数輩出する。
帝国中のエリートが集う学校。
そこに私は、二年生として転入する旨となった。
……元来、転校生という物は注目を浴びてしまう物だ。
既に私の情報も出回っている。
だからだろうか。
──────男子達の騒ぐ声が、聞こえてくるのだ。厄介な事に。
♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢
「なぁ、聞いたか!?」
「うんうん!転校生だよな!!!」
転校生の情報に声音を踊らせる男子高校生二人組。
その表情は期待の意で一杯になっていた。
「しかも女子って聞いたぜ、可愛いのかな!!」
「そりゃそうだろ!っていうかそうでなくちゃ困る!」
うんうんと頷き、発情期の犬の様に羞恥を顧みない話様。
恒例行事なのだろうが、それでも不快としか言えないだろう。
私にとっては、注目を浴びるという事は、ある意味での死に繋がる。
人の視線を浴びて、正体に気付かれでもしたら大問題だ。
その場合は、彼らを人質に取って真っ向戦争でも行おうか。
いや───まずは。
「おっ」
ガラッと扉を開け、教室の中に入り込む。
その際に聞こえた迎え声を完全に無視し、横の先生と共に自己紹介をした。
ああ、その際の名は偽名で。
入国証に記載されたモノを、不本意と言えど名乗る事にした。
「今日転校してきました。エクセラ・シールと申します。宜しくお願いします」
仮初の笑みを込めて。
内側では溜息を零しながらも、私は学生生活を送り始める。
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