第二十二話『潜入』

 私は今、帝国軍基地の真横に居る。

 だが警備が居て入るタイミングを伺っているところだ。


 まぁどうやってここまで来たのかと言う事は……。

 レネには聞いてませんよ。自力で来ました───が。


 攻めあぐねている。

 この先に、ツアーも居ると思うんですが……うむ、仕方ない。


「レネ」

「はいはーい。早く呼んでくれたら退屈しないんですけどねぇぇ」

「妬みですか?怒りたいのはこっちなんですよ……ってうわ」


 警備兵がこっちの向いて来たので咄嗟に頭を下げ、遮蔽物に隠れ。

 レネを見詰めて、本題に移った。


「兎に角、基地に侵入する経路を教えてもらえますかね」

「エクセルさぁん。私の事、便利な女だと思ってません?」

「……実際、思ってますが」

「ひっどー。でも分かりましたぁー。はいはい教えますよー」


 少し頬を膨らませながらも、レネは流暢に教えてくれた。

 いやー、便利ですよね。


「この近くに排水溝が在るんですが、そこから入れますよ」

「……え、それだけですか?」

「それだけです」

「え、あ、ああ。己の力で切りぬけろ、と?」

「あの戦場で生き残ったエクセルさんなら、行けるでしょう?」

「はいはい。分かりました」


 適当に返しながら、私はその指示に従った。

 そう。


 こんな最小限の説明で、私は帝国の精鋭が集う基地に潜入するのだ。

 ───これも試練だと捉えれば、少し楽になるでしょうか。


 いや。

 まずは復讐を果たす事のみを考えましょう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る